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中医学的“がん”とは

 黄帝内経という現存する最も古い医学書に、腫瘍についての記載があり、その病因と病機は正気不足と邪気留着であると記載されています。
現代中医学にも中医腫瘍学があり、がんについての漢方治療の研究が盛んになっているようです。

 

※病因:病の原因
  病機:病の成り立ちや進行の仕方、病のメカニズム
  正気不足:体にとって必要な気血の不足
  邪気留着:体にとって不必要なものの停滞

 

 しかし、西洋医学同様、東洋医学でもがんの治療法は確立されておらず、中国でも伝統医学における先人の知恵と経験を補完療法の一つとして用いられているようです。

 

 中医学では、正気と邪気の闘争が、がんの発生・増殖・浸潤・転移に関係しており、体表または体内に腫瘤が発生します。腫瘤が形成される病機として、痰濁・瘀血・熱毒内結があります。

 

※痰濁:代謝しきれなかった余剰な水分
   瘀血:血液の滞り
   熱毒内結:体内に炎症が存在すること

 

 漢方治療としては、この痰濁・瘀血・熱毒を去邪していくことが、がんそのものの治療ですが、正気の不足ががんの発生につながったのですから、正気を補うことも必要になります。また、西洋医学の治療の副作用によって、不都合が起こっている場合はそれに対応します。

 

 がんは、色々場所(臓器など)、その人の体力、病気の勢いなど個々の状態を把握して対応する必要があります。

 

 また、東洋医学の特徴として、補うという考え方があることだと思います。西洋医学の治療は攻める事をしていきますが、東洋医学では補うことと、攻める事を同時進行していくことが可能で、その割合を加減することもできるのがいいですね。

 

 西洋医学も東洋医学もまだ満足のいく状況ではありませんが、両方の良いところを利用する事で、“少しでも元気でいて欲しい”という願いが叶えられる可能性が有るのではないかと思っています。


昭和堂薬局 | 2018年6月23日

 

“がん”ってどうにかならないの?

 私の母親ががんで亡くなって5年が経ちました。亡くなる少し前、炎症を示すCRPという検査値が驚くような値になり、病院でも為す術が無いといった感じでした。その時点で甲状腺がんの手術から4年半が経過していましたが…
以前から、免疫について色々と調べていたのですが母を亡くして以来、がんについての専門書をよく読むようになりました。

 

 現在、がんの治療は外科的切除、化学療法、放射線療法と最近注目されているがん免疫療法があります。少し前にチェックポイント阻害剤がマスコミでも話題になっていたので、ご存知の方も多いかもしれません。この薬はがんが様々な免疫抑制機構により免疫系からの攻撃を回避しているものの一つをブロックして免疫系ががんを攻撃できるようにしている薬です。これらの薬は画期的でしたし、劇的効果があったようです。ただし、2割ぐらいの人たちにです。また、最近では効果があった人たちにも使っていると耐性ができてしまい効果がなくなることが分かってきました。

 

 また、免疫抑制機構を抑制しがん免疫応答を機能させるために、がん免疫療法とステロイドの併用などの工夫もされてはいますが、もう少し時間が必要なようです。

 

 しかし、実際に効果がある人がいるのですから…
がんの個人差によるものなのか?
その人の生活環境や食生活などによるものなのか?(がんの発生はこのようなことから起こるのでしょうが)

 

 実際にがんはどうなっているのだろう?

 

 がんは、がん細胞だけで病態が規定されているわけではなく、各種免疫細胞も含めて、多様な間質細胞(ガン細胞の周辺のがん細胞以外の細胞)とともに形成されたがん組織ががん病態を形成しています。
腫瘍組織では、がん細胞促進的・免疫抵抗性の微小環境が構築されています。がんの特徴として、免疫学的には、「免疫からの逃避」と「炎症によるがん進展の促進」が挙げられています。

 

 エフェクター細胞(働こうとしている細胞)である腫瘍抗原特異的なCD8+T細胞がその人の体内で誘導され機能するために、がん細胞の障害、がん細胞成分の専門的抗原提示細胞による取り込みと腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化、T細胞の腫瘍組織への遊走、腫瘍組織内でのがん細胞の破壊という一連のがん免疫サイクルが作動する必要があります。この一連のサイクルが起こってくれれば、がんを克服できると考えられます。しかし、ほとんどのケースでうまく機能してくれないのです。

 

 がん組織は変化を続け、進化して生き残ったがんのみが増えていきます。この変化に炎症が関係しているのでは?あくまでも私見ですが、炎症を制御できると、「免疫からの逃避」と「がんの進展」が抑制できるのではないかと…
どうすればがん治療の手助けが私たちの立場でできるのか。
東洋医学や食事の面からサポートできることを日々精進していきたいと思います。


昭和堂薬局 | 2018年6月13日

 

中医学的“血”って何⁈

 「血」と聞くと、“血液でしょ”と思われる方が多いと思います。
中医学的な「血」は、西洋学的な血液よりも少し広い概念があります。
中医学において「血」とは、「血管中を流れる赤色の液体で、人体を構成し、生命活動を維持するうえで基本的な物質」と言われています。

 

 「血」が作られる経路は2つあり、ひとつは食べ物(水穀)から作られた気(営気)と水(津液)が混じり合い、脈に注がれて赤くなったもの。
また、腎に存在する「精(腎精)」が血に変化することからも作られます。
腎精は髄を生じ、骨を満たし、その骨から血が作られるという経路があります。
2つ目の経路は骨髄から血液が生じるという点で西洋医学的にも立証されている作られ方ですね。

 

 では中医学的な「血」は身体の中でどんな働きをしているのでしょう。
1つは、営養作用といわれるもので、これは血が脈の中を流れ、全身に行き渡り、身体の隅々まで栄養と潤いを与えます。
したがって「血」が不足すると、皮膚の色がくすんだり、爪が割れやすくなったり、髪の毛が細くなったり艶やコシが無くなったりします。ふくらはぎや筋肉のつりも同様で、筋肉のけいれんやつりに良く効くといわれている芍薬甘草湯も「血」を補う処方です。(特に“肝血”を補い、肝は筋肉と関連が深い臓です。)
2つめは、安神作用と呼ばれ、人間の精神や意識と深く関わりがあります。
少しイヤな例えですが、“出血多量で意識不明の重体”などの現象があるように、血が不足すると意識・無意識の切り替えがうまくいかず眠りに入り辛い、睡眠が浅いなどの現象が起こりやすくなります。
「血」が少ないにもかかわらず全身に行き渡らせなければならないため、ポンプの役割である“心”が一生懸命に動くことになり、動悸などの症状も出やすくなります。
「血」が少ない事で“心”が安定した動きができなくなる=“安心”できなくなるために、不安感などの症状も出てくる場合もあります。

 

 特に女性は、血との関わりが深く、月経、妊娠、授乳など女性にしかできない素晴らしいことができる力が備わっているが故、男性よりも血を消耗しやすく、陰陽学説において女性は陰に属するとあり、同じく陰に属する「血」の影響を受けやすいのです。
補血の漢方、「婦宝当帰膠」が女性に人気があるのも頷けます。
東洋医学の知恵を用いて、いつまでも艶のある女性を目指してみませんか。


昭和堂薬局 | 2018年5月31日

 

東洋医学のよく言う“気”ってなに?!

 元気、気合い、気力、天気、空気など気という字がついている言葉はたくさんあります。
では「気」とはどんなものなのでしょうか?
昔から、目に見えない力やエネルギー(物理学的エネルギーや熱エネルギー)のことを「気」と表現していました。中医学でも「気」は非常に大切な概念です。

 

 「気」というエネルギーは体の中で、どんなことをしているのでしょうか?

 

 中医学でいう「気」の作用の一つが推動(すいどう)作用です。臓腑(内臓)を動かし、血や津液(体に必要な水)などモノを「動かす」力が推動作用です。
「気」が足りないと様々な「滞り」が起こってしまいます。気が不足すると血のめぐりが悪くなったり、臓腑がうまく働かなくなったりします。

 

 「気」の作用の二つ目は温煦(おんく)作用です。熱エネルギーや体温の事を指し、体を温める力が「気」にはあります。「気」が足りないと寒がりになります 。クーラーに弱い人も「気」が足りていない可能性があります。

 

 「気」の作用の三つ目は防衛作用です。体を守る力です。免疫力に近い概念です。「気」が足りない方は 、風邪をひきやすくなったりします。
気が張っていて風邪を引かなかった。気が緩んで風邪を引いた、などの表現を思い出していただければわかりやすいかと思います。

 

 「気」の作用の四つ目は固摂(こせつ )作用です。
漏れを防ぎ、元の位置(固有の位置)に留める作用です。私たちは重力の影響下で生活しているにもかかわらず、内臓が体外に落ちることなく生きています。
尿もれ、不正出血、胃下垂、子宮脱・脱肛などが「気」の不足によって起こることがあります。

 

 「気」の作用の五つ目は気化作用です。モノを変化させる作用です。食べたものを血液や筋肉などに変化させ、食べたものの糟粕を大便に変化させる作用の事を指します。
少し難しいのですが、例えば要らない水分を尿に変える時に「気」の力が必要と考えます。よって「気」が足りないとむくみや尿が少ないなどの症状が出ることもあります。

 

 「気」の作用の六つ目は営養作用です。体を滋養する作用です。疲れやすい、太れないという方は「気」が不足していると考えられます。

 

 以上のような働きの「気」ですが、これが不足してしまうということは、食べ物や呼吸により「気」をうまく作れなくなったり、必要以上に「気」を使ってしまって製造が追いつかないときに起こります。

 

 気の不足は、臓腑でいうと脾胃(胃腸)がうまく働かないことから起ることが多く、中医学において脾胃(胃腸)は“湿”を嫌う傾向があり、特に気温や湿度が高くなると胃腸に負担がかかるので注意が必要です。
まして中国のような大陸と違い、日本は島国で周囲を海に囲まれており、一年を通して湿度が高く、そこに暮らす私たちの脾胃に掛かる負担は同じ黄色人種の中華圏の方々よりもはるかに高いといえるでしょう。
日本の伝統的な食文化は素晴らしいものですが、生冷物(生もの)の過食は気の温煦(おんく)作用の低下を招きます。
食材だけではなく調理方法のバランスにも気をつけた食事を心がけ、脾胃(胃腸)を大切にし元気に初夏をお過ごしください。


昭和堂薬局 | 2018年5月23日

 

油とうつの関係

 春になると、メンタルの相談が増えてきます。パニック障害やうつ病が主な疾患です。一般的にも5月病などを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

 1998年に、魚食量が多い国ほどうつ病が少ないという地域相関が発表されてから、魚油に含まれるω3系脂肪酸と精神疾患の関連の研究が盛んにされてきました。そんな中、国際栄養精神学会では、精神疾患の予防や治療の補助に貢献する栄養素として、ω3脂肪酸を挙げています。

 

 うつ病の方の末梢血多価不飽和脂肪酸を解析した研究では、うつ病患者は健常人に比べエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)が低値であることが示されました。

 

 また、うつ病治療におけるω3系脂肪酸の効果を検討したランダム化比較試験では、EPA含有量が高いω3脂肪酸を与えた場合に有効で、DHA中心のω3系脂肪酸では効果が得られにくく、ω3系脂肪酸摂取はうつ病が重症なほど効果が大きいことが示されました。

 

 人の精神機能や精神疾患のメカニズムは、科学が進歩した現在でもその解明はまだ十分なものではありません。しかし、うつ病患者さんの体内では炎症性サイトカイン(IL-1やTNF-α)が増加してくることは解っています。EPAは抗炎症性の脂肪酸であることは良く知られています。この抗炎症作用が抗うつ効果に関与していることが推測されます。

 

 最近、いろいろな病気と慢性炎症の関係が言われています。精神疾患であるうつ病も関係しているということは、非常に興味深い結果だと思います。現代の人はω3系脂肪酸の摂取量が少ないことが問題視されています。それと比較して、その他の油(ω6やω9)を多く摂取する傾向にあります。このことが体に微弱な炎症(慢性炎症)を引き起こし、病気を呼んでしまうのではないでしょうか。

 

 健康のためにどんなことをしていけばいいのか?何となく見えてきていますよね。


昭和堂薬局 | 2018年5月7日

 

妊娠の不思議 その2

 科学や画像解析、遺伝子検査などの技術が発達した現在でも、人間の身体はわかっていないことが多くあります。特に生殖系に関しては人権や倫理の問題もあり、よくわかっていないことが多いのです。そこで今回も妊娠の不思議についてお話ししてまいります。

 

 最近、腸内細菌と病気の関係が、様々なところで報告されています。その中でも妊娠・出産による腸内細菌叢の変化について、現在言われていることをお話ししたいと思います。

 

 一般的に、腸内細菌叢の構成異常により微弱な炎症(慢性炎症)が発生、この慢性炎症により体重増加をきたし糖尿病などのリスクが増大していきます。
 しかし、この腸内細菌叢の構成異常が正常な妊婦さんでも起こっていることがわかってきました。妊婦さんにとっての腸内細菌の変化は必要なことであり、正常な妊娠経過や胎児の成長に貢献していると考えられています。

 

 このような妊娠という環境の変化に加え、妊娠中の食事(高脂肪食など)や抗菌剤・抗生物質の使用により母体や胎児の腸内細菌叢がさらに変化することで、炎症が関係する流産や早産の原因になったり、生まれてくる子供の免疫機能にも影響を及ぼし、アレルギーをはじめとする各種の疾患を併発する可能性があります。

 

 これらの結果から、妊婦さんや妊娠を希望している方々は、食事のバランスに気を付けて腸内環境を良い状態を保っている必要があります。自閉症と妊娠時の母体の腸内細菌叢についての報告もされているようです。
 食事のバランスをとる心がけは必要で、特に高脂肪食は腸内細菌叢の構成に乱れを起こすと考えられています。
 わからないことが多い人間の身体です。できることから始めていきましょう。


昭和堂薬局 | 2018年4月26日

 

妊娠の不思議

 妊娠については、謎が多いものの、妊娠についての構造や基本的な発達段階はわかってきています。受精から1週間以内に「栄養膜細胞」という特殊な細胞が胚の表面に現れます。この細胞が胚の存在を母体に知らせ、子宮壁に穴を開け、子宮に入り込みます。子宮に入り込んだ後、この栄養膜細胞は急速に分裂し、放射状に突起を伸ばしていきます。その後、栄養膜細胞から構成される「細胞性栄養膜」の上に融合した細胞層(合胞体性栄養膜)が重なり、これが胎盤の表面になります。胎盤は最終的に、分岐構造によって子宮にくっついた円盤状になります。これらの分岐は受精後2~3週間で支持細胞と血管によって満たされ始め、その後成熟して絨毛膜絨毛と呼ばれる構造になります。

 

 妊娠が順調に進むかどうかは、母体と胎児の境界部分の活動にかかっています。この境界部分が母体から胎児へ酸素、栄養、体液を供給しますが、それが適切に発達して機能するには、胎盤の細胞と子宮、更に母体の免疫系の協調が必要です。

 

 胎盤の発達と機能の詳細はまだ不明な部分が多くあります。大きな謎は、何が分娩を引き起こすのかという疑問です。分娩の時期が来ると休止状態にあった子宮筋が、大きな力で収縮して赤ちゃんと胎盤を押し出します。その時までしっかり子宮とその血管にしっかり結合していた胎盤がどのようにして分離するのだろうか?また、胎盤は通常病原体や毒素をブロックしているのに、いくつかのウイルスや炎症性物質は胎盤を通過し、胎児に達し異常を引き起こすのだろうか?

 

 まだまだ、不思議なことが多い妊娠ではありますが、もしかすると、母体の環境が大きく関係している可能性もあります。妊娠前から、血流を良くしておくこと、腸内環境を良くしておくこと、食生活などは見直しておくことが必要なのでしょうね。


昭和堂薬局 | 2018年4月9日

 

最近発売された週刊誌の見出しの「ガン克服 あと10年で」に目が止まった。

 最近発売された週刊誌の見出しの「ガン克服 あと10年で」に目が止まった。
 確かに最先端医療の事が書かれており、もしかすると期待できるのかもしれない。わたし自身、専門医学書を読んでいて、あと10年ぐらいでもしかすると…と思っていたので納得する部分もあります。しかし、この雑誌の中で、ガン診療経験のある500人以上の医師にアンケートした結果が載っており、進行度4期のガンでは半数近くの医師が、ガンそのものの治療ではなく、苦痛を軽減してくれる緩和ケアを選択すると言っています。ガン治療の現状はまだまだという事なのですね。

 

 ひとくちにガンと言っても、色々なものがある事は分かっています。(ガン細胞も生き残ろうとしていろいろな形に変化するのです)ですから、そのタイプによって色々な治療法がなければいけないのです。できる場所も違えば、タイプも色々です。本当に克服できるのでしょうか?
現在、難治性のものから、比較的軽いものまで、いろいろな病気があります。
では、今どのくらいの病気が治るようになったのでしょうか?

 

 例えば糖尿病、昔は糖尿病で亡くなる人は大勢いました。今はそれほど怖い病気ではなくなったと言われていますが、それでも亡くなる人はいますし、糖尿病は無くなっていません。それは糖尿病が治る病気になったと言っていいのでしょうか?

 

 雑誌の中でも、ガンを遠ざける生活の話が出ています。食生活の見直しや嗜好品を止めるまたは節制する、運動、体重管理でガンのリスクが減ると言っています。おそらく、これらは病気になりにくい生活習慣でガンに限ったことではないように思います。

 

 人間の体は、まだまだ分かっていない事だらけです。先端医療はかなり高額で、未知の副作用などもあるかもしれません。そこに期待するのではなく、バランスのとれた生活こそが病気克服の早道なのでしょうね。

 

 体のバランスというと東洋医学の基本的な考え方です。体のバランスと整える東洋医学をとれ入れたりするのもいいかもしれませんね。
東洋医学と言ってもいろいろです。漢方や鍼灸、太極拳なんかも良いのでは…


昭和堂薬局 | 2018年2月26日

 

一つの栄養素だけで病気は防げるの?

 17日にNHKの「ためしてガッテン」で葉酸を取り上げていました。葉酸摂取で動脈硬化や認知症を防げると…
番組関係者はそうは思ってないかもしれませんが、番組を見た方々はそう感じたのではないでしょうか?
もし、葉酸だけで認知症は予防できるなら葉酸が薬になっているのでは?

 

 認知症、特にアルツハイマー病の進行を食い止める治療薬は、未だ見つかっていません。
この30年で200種類以上の治験が失敗に終わっています。全世界で脳の研究者たちは、新薬がなくても生活習慣を改善したり、血管系のリスク要因を改善出来れば予防ができるのではないかと臨床試験に取り組んでいます。しかし、生活習慣などは不確定要素が多く因果関係を導き出すのは難しいため、根拠が充分得られないために、より困難な「ランダム化比較試験」を行うことで因果関係を探りました。そして、少しずつですが、結果が出始めています。

 

 以前は、アルツハイマー病は脳の病変(老人斑と神経原線維変化)が引き起こすとされ、それを取りのぞく治療薬の研究がされていました。
しかしランダム化比較試験が進み、参加者の認知機能と脳の解剖所見に相関関係がなかったのです。(老人斑と神経原線維変化が多くあっても認知症と診断されない人たちがいたのです。)

 

 では、老人斑や神経原線維化が進んでも認知機能に差が出てアルツハイマー病と診断される人と認知機能が衰えない人がいるのはなぜなのでしょうか?

 

 その答えはまだはっきりとは解っていませんが、生活習慣や食生活に差があることは解ってきています。フィンランドで行われた大規模ランダム化比較試験では、介入群は「食事(地中海式料理を食べる)」と「運動(筋力トレーニングと有酸素運動)」、「認知トレーニング」、「健康観察と管理」が行われています。これは、生活習慣病予防と知的活動が認知症を防ぐ可能性があるという観点で行われました。

 

 このランダム化比較試験で介入群は、対照群に比べ認知力が優位に向上していました。このような疫学研究が世界各地で行われています。そして結果も出てきているようです。これらの結果からも、何か一つだけを改善するのではなく、健康で知的な生活こそが認知症の予防であり、延いては病気全般を防ぎ、健康な生活を送れるということを意味しているのではないでしょうか。


昭和堂薬局 | 2018年1月31日

 

漢方療法推進会中医不妊特別セミナーの終了証を頂きました。

 

 去る12月10日に第6回中医不妊特別セミナーが開催されました。講師で中医師の周軍先生より、修了証書を頂いてきました。今年の2月から6回シリーズで不妊症に対する漢方薬の使い方から養生や周先生の症例などを丁寧にお話ししていただきました。

 

 私自身はこれまで多くの子宝に恵まれない方たちのご相談を受けてきたので、自分では十分知識があると思っていたのですが、新しい発見も多く改めてまだまだ未熟なことを実感しました。

 

 その後、最後ということもあり懇親会が開かれ、たまたま周先生の前の席に座らせてもらい懇親会でも不妊症以外にもがんの対応など、皆さんが日ごろ対応に苦労している質問に丁寧に答えているお話を聞くことができ、大変有意義でした。

 

 このような気さくな先生が身近にいらっしゃることは大変ありがたく幸せなことだと思っております。周先生ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。


昭和堂薬局 | 2017年12月13日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。