『昭和堂薬局』

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血糖値高いと認知症リスク増

 産経新聞に糖尿病と認知症の関連について記事が掲載されておりましたので、紹介させていただきます。

以下記事
 米国ワシントン大学医学部のポール・クレイン博士らの研究グループは、1994~96年および2000~2002年に被験者として登録した、認知症でない65歳以上の高齢者2067人を平均6.8年にわたって追跡調査し、糖尿病と認知症の発症の関連について調べた。
 登録時に糖尿病と診断されていた人は232人、糖尿病でない人は1835人だった。このうち、調査期間中に認知症を発症したケースは、糖尿病群で74人(母数に対し21.6%)、非糖尿病群で450人(同26.1%)だった。つまりクレイン博士らの調査では、糖尿病でない人の方が、若干ではあるが認知症を発症しやすいという意外な結果が出たのだ。
 更にクレイン博士らが血糖値と認知症の発症リスクについて検証すると、興味深いことに血糖値が高ければ高いほど認知症の発症リスクが高まり、低ければ低いほど認知症の発症リスクが低下することがわかった。
 つまり、糖尿病を発症していない人について認知症の発症リスクを調べると、一日の平均血糖値が100mg/dlの人の認知症の発症リスクに対して、105mg/dlの人の発症リスクは10%増加、110mg/dlの人の発症リスクは15%増加、115mg/dlの人の発症リスクは18%増加していることが分かった。逆に、一日の平均血糖値が95mg/dlの人の認知症の発症リスクは14%低下、95mg/dl以下の血糖値では更に認知症の発症リスクは低下していた。
 一方、糖尿病を発症している人について一日の平均血糖値と認知症の発症リスクの関係を調べると、一日の平均血糖値が160~170mg/dlの場合の認知症の発症リスクが最も低く、それより高くても低くても認知症の発症リスクは増加していることが判明した。高血糖値が認知症の発症リスクを増大させるメカニズムは糖尿病とは別である博士は考察、今後の研究課題だと言えそうだ。

 認知症と血糖値の関係は以前から指摘されており、血糖降下ホルモンであるインスリンは血液の中のブドウ糖をエネルギーとして使われるように変え、ブドウ糖を減らし血糖値を下げます。必要なくなったインスリンはインスリン分解酵素の働きで分解されます。インスリン分解酵素の主な仕事はインスリンの分解ですが、インスリン分解酵素は副業として、アミロイドβの分解もしています。
 慢性的にインスリンが多過ぎる状態(この状態を高インスリン血症といいます。)となるような生活をしていると、インスリン分解酵素はインスリンの分解の為に消費されてしまいます。そうなると、認知症の原因物質であるアミロイドβ(この物質が集まったものが老人斑)の分解が手薄になってきます。
 糖尿病で高インスリン血症の人は、脳にアミロイドβが溜まりやすい状態となっており、その結果として認知症、特にアルツハイマー型認知症を発症しやすくなってしまいます。
 記事の疫学調査で、糖尿病で認知症になった人の割合が少なくなったのは、糖尿病で症状が進んでいくと膵臓でのインスリンが枯渇することがあり、この場合必ずしもインスリンの血中濃度は高くなく、インスリン分解酵素の消費が少ないために認知症になる割合が減ると考えられます。
 つまり糖尿病となっていなくても、インスリンを多く使う生活をしていると、認知症になりやすくなるのです。現代の人達は、甘いものを多く摂っています。ジュースやお菓子が気軽に摂れる世の中です。知らず知らずに認知症の原因を作っているのかもしれませんね。
 このようなことにならないためにはどうすれば良いの?という方は店頭にてご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年7月5日

 

東洋医学から診る熱中症対策

 梅雨明け宣言が待ち遠しいくらい大気が不安定な状態が続いています。この梅雨が明けるといよいよ夏本番となるのでしょうが、気をつけたいのが熱中症。ここ数年多くの方がご心配されていることではないでしょうか?

熱中症のことを東洋医学では”中暑”(チュウショ)と呼び、この”中”は、食中毒の”中”と同じで、暑さに中ったという意味で、暑気あたりのことを指し体内に溜まった熱を放散できず、体温の調節ができなくなった状態で、かつては熱射病、日射病、熱けいれん、熱疲労などと呼ばれていました。
では、このとき身体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
東洋医学では高すぎる気温を”熱邪”、特に夏季にのみ存在し高湿を伴う熱邪のことを”暑邪”と呼び、病の原因の一つになるとしています。
それぞれの邪には身体に及ぼす影響に特徴があり、”熱邪”が身体に及ぼす影響は次のようなものがあります。
①熱感があり、身体がほてる、冷たいものを欲する。
②炎上性がある。具体的にはのぼせや目が赤い、口やのどが渇く、頭が割れる様に痛むなどの症状があらわれる。
③神明をおかす。熱邪は精神や意識に障害を与えることがあり、暑くてイライラする、暑くて眠れないなどの現象は熱邪によって神明が影響を受けており、甚だしい場合は意識の混濁や失神等の症状があらわれます。
④毛穴を開泄して大量の汗を出し、必要以上の汗を出すために身体にとって必要な水分(津液・しんえき)を消耗する。またこの際に汗と共に”気”と呼ばれるエネルギーも放出してしまうために疲れやすい、だるいなどの症状をあらわします。
⑤発疹ができたり、出血したりする。具体的な症状としては、あせもや赤い湿疹ができたりアトピー性皮膚炎が悪化したりする。発疹部位から出血したり、熱邪の影響で鼻血がでたりすることです。
⑥けいれんする。熱邪が極まると”内風”という現象が起こります。”内風”とは身体の動きを伴う症状で、具体的には震え、眩暈、痙攣、しびれ、ひきつけ等の症状を指します。
熱中症はこの”熱邪”によって身体が犯されていると捉えています。
では、熱中症に対し東洋医学はどのような対策をしていくのでしょう。
端的に表すと、”身体から排出するもの・失ってしまうものと身体の中に入るもののバランスをとる”ことです。
夏の暑さにより発汗量や呼吸により失うものと、補充するもののバランスをしっかりとれるような漢方が必要ということになります。
水分が失われるので、水分補給や摂取量を増やせばいいのではないか?と思われる方がいらっしゃいますが、実際に汗として排出されるものは単なる水ではなく、あくまでも”津液”と呼ばれる体液です。
失われた”津液”をしっかり補い、補充することが必要になります。
具体的にこの”津液”を補うためにはどうすればいいのでしょうか。
簡単にできる方法としては、ミネラル補給できるスポーツドリンクなどに「麦味参顆粒」や「麦門冬湯」などの体に潤いをもたらす漢方を溶かして服用するのが効率の良い”津液”の補充方法です。
また、夏場は冷たいものの摂取過剰によって胃腸機能が低下し、体内の水分バランスを崩し、体が重く、だるくなったり、浮腫んだりします。
このような場合には胃腸機能を回復させて、偏在している水分を体外に排出し、体のバランスを回復させることが必要で「六君子湯」「参苓白朮散」などの漢方薬が用いられ、胃腸が冷えてしまい吐き気やめまい、下痢が続く場合は「扶陽理中湯」や「回陽救逆湯」などを用いて回復させます。
どうしても、お仕事やお付き合いなどで炎天下の下に行かなくてはいけない場合は、「感應丸(かんのうがん)」や「日水清心丸」という強心・清心作用を持つ漢方薬をカバンの中に入れておき、なんとなく変だなと感じたらすぐに服用できるようにしておくと良いでしょう。
ご自身でできる熱中症対策もあります。ポイントは単純なことで、体に冷えを溜め込まないこと。そして、もし溜め込んでしまったら早めに解消することです。
具体的にはどうすればいいのでしょうか。
答えは、朝一番とお休みになる前は冷たいものを避けて、温かいものを摂取すること。そして、寝ている間にお腹を冷やさないようにすることです。
また水分補給をする際は、一度に大量の水分を摂るのではなく一口ずつ少量の水分をちょこちょこと飲むことです。
これは一度に大量の水分を摂ることで一過性に胃酸が薄められ、身体の恒常性(一定を保とうとする働き)によって胃酸が大量に分泌され、胃粘膜が障害されてしまうのを防ぐためです。
東洋医学の知恵を用いて、夏を元気に過ごしましょう!
どんな対策をしたらよいのかわからない?!という方は、店頭にてご相談ください。
スタッフ一同、ご来店をお待ちしております。


昭和堂薬局 | 2014年6月29日

 

東洋医学から考える梅雨の過ごし方

 梅雨の季節が大好きという方はまずいないと思います。ジトジト、ジメジメして、蒸し暑く、洗濯物が乾かない、また急に冷えたりして体調管理が難しいなど、お悩みの方は多いのではないでしょうか。
 ジメジメして蒸し暑いということで身体がだるく感じたり、食欲が落ちたりするのですが、梅雨の季節は、水分代謝を良くしておかないと、いらない水が体内に貯まります。これを東洋医学では湿邪と呼びます。いらない水を上手に出すことを考えなければなりません。ただ湿邪がある人は、水を取るなと言うことではなく、摂取した水分を使い切れておらず、湿邪となっているためで、有効に活用できるような体作りをして、いらない水を体外に排出できるようにしなければなりません。
 湿邪の影響を受けやすいところは、まず皮膚です。次いで筋肉、関節と続きます。体内に侵襲するときには、胃腸も障害します。次に呼吸器系、腎臓と膀胱に及ぶことがあります。また精神面や神経の領域にも重要な影響を持ちます。
 皮膚は外気を最も敏感に感じ取ります。暑い時は汗腺を開き発汗することで体温を下げ、寒い時には反対に表皮を引き締め、体温を逃がさないようにしています。また皮膚呼吸をして、肺の働きを助けています。湿度が高くなると皮膚の持つ様々な代謝機能が阻害され、数々の弊害が表れます。

梅雨と皮膚疾患
 その第一は皮膚呼吸がうまく行かなくなる為に何となく息苦しく感じたり、重苦しく感じたりするようになります。
 皮膚病については、水虫を始めとするジュクジュクと水を持つ皮膚疾患はこの季節に悪化します。反対に乾燥の強いものは良くなることがあります。この季節は皮膚の働きが弱っているのでちょっとした刺激や食べ物で湿疹ができやすく、また紫外線が一番キツイ季節でもあるため、その影響で皮膚病が悪化する場合もあります。この場合には、刺激の少ないUVカットの日焼け止めを使い、大きなツバの帽子をかぶるようにして下さい。皮膚疾患については、悪化するのは早く、治すのには時間がかかります。専門医に相談することも大切ですし、アトピー性皮膚炎などは漢方療法をお考えになるのも良いと思います。

梅雨のお風呂の入り方
 梅雨の季節の湿度により悪化する神経痛や腰痛、膝などの関節痛や、アトピー性皮膚炎などの皮膚病や喘息の方は、養生法として足湯やお風呂で温まりましょう。
 お風呂の入り方は、40度~39度で15分以上お入り下さい。手は心臓のツボが多いですから腕はつけず、おなかから下で結構です。体を温めると水分代謝も良くなります。これらの病気の予防と改善に役立ちます。是非実行してみて下さい。


昭和堂薬局 | 2014年6月18日

 

何となく気になる便秘も要注意!その便秘「むくみ腸」かも?

 産経新聞やマイナビウーマンなどで紹介された「むくみ腸」。実際、便秘薬を使われている方の内、本当の意味で下剤が必要な方は数少ないのではと思います。便秘は、排便しにくい、排便回数が少ない、便が硬い、残便感がある状態です。しかし、漢方的には、センナなどの便秘薬を使っていいタイプは、熱秘タイプ(身体の熱量が多いタイプ)で大便が乾燥し、腹痛やお腹の張りがあり、赤ら顔で小便は黄色く、口臭があり、口が渇くようなタイプで、舌を見ると赤く黄色い厚い舌苔のある人たちです。冷えていたり、エネルギー不足や血の不足、エネルギーが巡らないなどの便秘に長期間センナなどの便秘薬を使用すると、お腹を冷やしてしまい、消化機能を傷害してしまう可能性があります。
 「読む便秘外来」(集英社)など数多くの著書がある順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、「めまいや頭痛、便秘といった不定愁訴を起こす例が増えているようです。気圧の変動も大きく、自律神経のバランスを崩しがちです。交感神経が優位になり過ぎると血流が滞り、むくみ、冷えといった症状も起こります」と言っています。
 腸が内容物を送り出す「ぜん動運動」は副交感神経が優位なときに活発になります。腸は脳に次いで神経細胞が集まっており、自律神経のバランスを保つことが大切です。腸内環境が悪化すれば吸収された栄養を運ぶ血流が悪くなり、全身の機能低下へとつながっていきます。「大腸では便に含まれる水分を吸収していますが、その水分が排出されないと腸管がむくみます。これが『むくみ腸』です。腸がむくみを起こせば、血流が悪化してエネルギーの消費も悪くなり、肥満にもつながります」
 小林教授は「便が腸内で滞れば腐敗が進み、おならが臭くなり、次第に口臭や体臭にも現れます。毎日お通じがあっても残便感があるのは、腸がむくんでいる場合があります。まず、大切なのは腸内環境を整える食生活と適度な運動を心がけることです。患者さんにもおすすめしているのがヨーグルト。生きて腸まで届くタイプのビフィズス菌がとれるヨーグルトなら、腸内環境を整えるのはもちろん、便通改善にも役立ちますよ。ヨーグルトをとる際、食物繊維を豊富に含むものを一緒にとると、さらに効果を期待できます。食物繊維は便を柔らかくする水溶性の食物繊維と、腸のぜん動運動をうながす不溶性の食物繊維を同時にとれるのでおすすめです」と小林教授。
 実際に、食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖などで大便の出が良くなり、肌の調子などが良くなる人は多くいます。もともと日本人は欧米人に比べ腸が長く、便秘しやすい傾向にあります。そのため、昔の日本人は食物繊維をたくさん摂っていました。しかし、現代人は、欧米型の食事を好むようになり、本来の熱秘タイプ以外の人達も便秘になっているのです。
 食物繊維や発酵食品を摂り、便秘薬に頼らない生活が必要です。
 それでも解消できない方は、その方にあった漢方薬や健康食品をお選びしますので、ご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年6月9日

 

トランス脂肪酸とは

 トランス脂肪酸は、トランス型の二重結合をもった不飽和脂肪酸です。天然の植物油などの不飽和脂肪酸は、シス型の二重結合をもった不飽和脂肪酸でトランス型は含まれません。例外的に、反芻動物(牛、山羊など)の肉や乳に2%くらい含まれます。これは反芻動物がもつ微生物により作られるものです。
 しかし、我々が摂取するトランス脂肪酸は、天然の植物油脂を固めるために水素を付加した時に生成されます。そのため、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれます。また植物油などを加熱することによってもできますので、長期間使用した植物油にも含まれています。
 トランス脂肪酸は構造上直鎖で、シス型脂肪酸は折れ曲がった構造をしています。このためトランス脂肪酸の代謝は、シス型の代謝と違う経路をとるのではないかと言われています。また、脂肪酸は体の中に吸収されるとリン脂質となり細胞膜をつくります。このため、細胞膜を構成する脂肪酸によって細胞の流動性や働きが変化すると言われおり、トランス脂肪酸は、虚血性心疾患や認知機能などに対するリスクが高くなることが言われています。アメリカの疫学調査では、トランス脂肪酸の摂取が多い人は炎症反応を示すCRPなどが高いことが示されました。この炎症状態を慢性炎症といい、慢性炎症は多くの病気の原因であることが最近解ってきました。生活習慣病や脳血管・心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、がん、認知症などの疾患はこの慢性炎症が原因といわれています。これらのことから、トランス脂肪酸の摂取が多くの病気の原因のなる可能性を示しています。
 おそらく、今の日本の食生活を考えた場合、トランス脂肪酸を全く摂らない食生活は不可能だと思います。しかし、出来る限り減らす工夫は必要でしょう。またトランス脂肪酸摂取により慢性炎症を起こすのであれば、炎症を抑制するようにすることが必要です。炎症を抑制していくためには、ω3系の脂肪酸を摂っていくことです。亜麻仁油やシソ油、魚油のEPAやDHAなどがω3系不飽和脂肪酸です。亜麻仁油やシソ油はドレッシングや料理にかけるなど生で使います。EPAやDHAはサバなどの青背の魚に多く含まれています。しかし、亜麻仁油やシソ油などのαリノレン酸は吸収に個人差があるようです。また、小児の臨床試験でトランス脂肪酸の摂取によって、このαリノレン酸の代謝が阻害されEPAやDHAに変換しにくくなる可能性があることが解っています。慢性炎症が関わる病気の人などはEPAやDHAを積極的に摂る事をお勧めします。


昭和堂薬局 | 2014年5月26日

 

「くる病、乳幼児に増える」

 栄養が不足していた時代の病気と思われていた”くる病”が増えているという記事が毎日新聞に掲載されました。この病気はビタミンDが不足することで血中カルシウム濃度が下がり、骨の変形や成長障害などを引き起こす病気です。1990年代にはほとんど見られなくなった疾患ですが、2000年ごろから増え始めているそうです。
 毎日新聞には、ビタミンDが欠乏している乳幼児の増加の要因は、母乳栄養の推進・日光浴不足・偏った食事と述べています。母乳は乳児にとっては重要なもので、母親からの免疫を得られるなど利点が多くあります。しかし、これ以外の日光浴不足や偏った食事は注意が必要です。美白ブームや過剰に紫外線を悪者にしている報道などがあるのかもしれませんが、この記事は乳幼児のくる病についての記事なのですが、母親の身体でもカルシウム濃度が不足している可能性もあります。将来、閉経後骨粗鬆症になりやすくなるなど弊害も起こりやすくなります。偏った食事はもちろん問題ですが、日焼けしない程度に日光に当たることは必要なのでは…と思います。美容や健康のためにやっていることで、こんな落とし穴があるとは…
 食事も健康的にと思うあまり偏った食事になっている場合もあります。一般的には健康的な食事は野菜を連想する方が多いと思いますが、他の栄養素も必要なのです。
 日頃の生活習慣や食生活はバランスが大切です。やり過ぎには注意をしてください。


昭和堂薬局 | 2014年5月3日

 

日本人間ドック協会が血液検査の新しい基準を発表しました。

その中で、男性の中性脂肪や女性のコレステロールの基準値の範囲が広がりました。
 特に女性のコレステロール値は年齢別に基準値を広げています。女性は閉経により女性ホルモンを卵巣でほとんど作らなくなるために、必然的にコレステロールが上がってしまい、閉経後の女性の半数以上が以前の基準値では正常範囲を超えていました。
 以前のコラムで書きましたが、コレステロール値が高めの人の方が脳卒中の羅漢率が少ないことが報告されています。
 また、コレステロールはホルモンの材料となるため、過度に下げてしまうことによる弊害も出てきてしまう可能性があるのです。このように年齢や性差を考慮して基準値を作ることが重要なのではないかと思います。本来は個人差もあるものです。その方の生活習慣や食生活などを考慮して判断していくものなのに、医療機関では多くの患者さんを相手にしているために範囲を設けているに過ぎないのではないかと思ってしまいます。
 近年、血圧や血糖値の基準値がどんどん下がってきたことを考えると、今回の新基準は非常に意味のあることだと思っています。ある意味で医師と製薬メーカーの関係を断ち切ったことのようにも思える発表です。東海大学医学部名誉教授である大櫛陽一氏が、”性別・年齢別の正しい正常値”と題して日本総合健診医学会において発表した数値を参考の一つとしてみるのも良いかもしれません。
 このように医療機関や製薬メーカーのためではなく、幅広い年齢層や男女差も考慮され、結果として私たち日本人全体のためになる新基準が出てくることを望んでいます。


昭和堂薬局 | 2014年4月11日

 

また?忘れたころに起こる海外のサプリメントの健康被害

厚生労働省は18日、未承認医薬品「ESTROMON(エストロモン)」を服用した40歳代の女性が、子宮から不正出血する健康被害を起こしたと発表しました。
 厚労省は医薬品成分を含むこうした薬がサプリメントや健康食品としてネット上で販売されているとし、安易にインターネットで購入しないよう注意喚起しています。
 以前にもダイエットサプリメントに経口糖尿病薬(日本では劇薬)が含まれていて健康被害が起きたことがありました。日本では医師の処方下で使用される薬が海外ではサプリメントに含まれていることがあるようです。インターネットがこれだけ普及して多くの方が利用していますが、体に作用するものは医師や薬剤師に相談して欲しいと思います。
 ネット上に成分名などが書いてあっても、一般の方はそれが何なのか解らないこともあると思います。ずいぶん前の話ですが、お客様がネットのコピーを持ってこられ「これと同じものが欲しい」と言われたことがあります。そこには漢方生薬が数種類と日本では医師の処方箋でしか入手できない医薬品が一緒になった製品が記載されており、うたい文句として、この商品は糖尿病に良いというものでしたが、当該医薬品は劇薬である経口糖尿病薬でした。この医薬品は低血糖などの副作用がおきやすく注意が必要な薬でありました。その方はたまたま薬剤師である私に相談してくれたので被害に会わずに済みました。
 日本で販売されているサプリメントでも注意が必要なものとそうでないものなどがあり、きちんとその商品や体の知識がないのにいい加減なことを言って販売している健康食品販売業者などもあります。医薬品やサプリメントなど体に作用するものは、きちんとした知識のある薬剤師や登録販売者に相談し、実物を見て飲み方の説明を聞いてから購入された方が安全です。
 当店には健康に関する様々な相談に対応できる薬剤師、登録販売者が在籍しています。お気軽に店頭でご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年3月23日

 

~食用油の種類によって脂肪が付く場所が変化する~

海外の健康ニュースにおもしろい研究発表が掲載されていたのでご紹介します。
 2014年2月、”Diabetes” 誌に掲載されたスウェーデンの研究によると、食事から摂取する脂肪の種類によって、体のどの部分に脂肪が付くかが決定されると言っています。
 その研究内容は以下の通りです。

 この研究では、若く健康な男女39人に研究グループ手作りの高脂肪マフィン(750 kcal)を7週間にわたって毎日食べさせて、体重を3%増やしました。
 ただし、この高脂肪マフィンには2種類あって、1つは多価不飽和脂肪酸であるヒマワリ油で高脂肪になったマフィン、もう1つは飽和脂肪酸であるパーム(ヤシの実)油で高脂肪になったマフィンでした。 2種類のマフィンは、使用する油以外の点では全く同じでした。 39人の半数(以下「ヒマワリ組」)には一方のマフィンを与え、もう半数(以下「パーム組」)にはもう一方のマフィンを与えたというわけです。
 7週間後に、MRI スキャンなどを用いて①体脂肪の量と分布、②筋肉の量、および③内臓脂肪を測定し、これらを7週間前(手作りマフィンを食べる前)の測定結果と照らし合わせたところ、体重の増加度は両グループで同程度でしたが、ヒマワリ組はパーム組に比べて、筋肉の増加度が少なく、肝臓内に存在する脂肪、お腹周りの脂肪、および内臓脂肪(内臓の内部ではなく周囲に付く脂肪)が大きく増加していました。 脂肪の分布を考慮せずに増加量だけを見ても、ヒマワリ組では筋肉の増加量が少なかったため、パーム組よりも脂肪の増加量が多くなっていました。
 肝臓内に付く脂肪や内臓脂肪は、心血管疾患や糖尿病のリスクに影響すると考えられています。
 研究グループによると、飽和脂肪や不飽和脂肪が遺伝子のスイッチに作用するために、脂肪が付く部分や糖の代謝が影響を受けるのだと考えられます。

 ヒマワリ油は多価不飽和脂肪酸の内、オメガ6系脂肪酸に分類され、体内で炎症を促進する働きがあり、生活習慣病や老化関連疾患(認知症やがんなど)などに関わっているため、摂り過ぎには注意が必要です。その対極にオメガ3系脂肪酸があり、代表的なものとしては魚油のEPAなどです。
 現代人はオメガ6系脂肪酸を摂り過ぎの傾向があり、加工食品などにもこのオメガ6系脂肪酸が多く使われているため摂取量が増えています。パーム油は飽和脂肪酸が多いためオメガ6系脂肪酸よりは良いのでしょうが、過剰摂取やこの油を原料にショートニングなど体にとってあまり良くないものの原料になりますので注意が必要です。
 世界的に肥満が問題視されており、多くの研究者が研究し、肥満した体の中でどんなことが起こっているかが判ってきています。肥満を防ぐことが寿命にも関係してきますので、ウエイトコントロールが元気で長生きの秘訣です。
 当店では肥満のメカニズムから新しいダイエット方法をご提案していますので、お気軽にご相談ください。



昭和堂薬局 | 2014年3月10日

 

フジテレビ「全力教室」南雲医師は指摘する三大勘違い健康法

2月23日フジテレビ「全力教室」で南雲吉則医師が巷にあふれる健康法は間違いだらけと指摘しました。
 その健康法とは…
・スポーツをすると痩せて健康になる
・食べてすぐ寝ると体に悪い
・1日3食きちんと食べる
 南雲医師は今年59歳だそうですが、見た目は実年齢よりも若々しく見えます。多くの健康番組に出演され、南雲流健康法を展開し話題のドクターです。
 確かに皆が実践できれば南雲先生のように若々しくなれると思いますが、現実にはなかなか難しいので、少しでも近づけるようにするためにどうすればいいのかお話ししたいと思います。
 「スポーツをすると痩せて健康になる」は、確かにスポーツで痩せることはなかなか難しいと思います。番組で言っているように激しいスポーツは無酸素運動ですから、既についてしまった脂肪はなかなか燃焼できないでしょう。
 しかし、趣味のスポーツであれば適度なストレス発散になり、ある意味良いことだと思います。
 無理をして、楽しさを感じられないのに痩せる目的のためだけで運動をしているのであればやらないほうがいいでし、逆にストレスになります。
 それよりも美しい風景を見に行ったり、公園や美術館に行ったりして、五感でいろいろなことを感じながら歩いてみるのもいいでしょうし、通勤や買い物の時にエレベーターやエスカレーターでなく階段を使ってみたり、バスや電車を一駅手前で降りて歩いてみるなどしてみると、今まで知らなかったお店を発見できたり、素晴らしい景色を発見できたりするかもしれません。
 「一日3食食べる」、確かにこれは大人であれば必ずしも3食でなくていいと思います。
 実際、私は一日2食で毎日、半日ファスティング(断食)をしています。私の場合は胃腸が弱いために3食食べてしまうと胃腸にとって負担になるため、半日胃腸を休めているのですが、これをやり始めてから非常に胃腸の調子が良くなりました。
 最近、カロリー制限することが長寿につながることがいわれています。単純にカロリー制限と言えば食べる量を減らすことを連想しますが、回数を減らしてあげることも方法の一つです。
 また、食べるものにも注意が必要で、”いただきます”は命をいただくことです。野菜や肉、魚などから命をいただいて、私達の命にしているのです。インスタント食品や加工食品など命がいただけそうにない物や人工甘味料や化学調味料などがたくさん使われているものは極力控えた方が良いでしょう。
 このようにちょっとした事の積み重ねが元気で長生きの秘訣です。できることから実践してみてください。
 肥満は病気の出発点です。肥満からいろいろな病気に進んでいきます。肥満は解消しておきたいですね。
 当店ではダイエット相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年2月26日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。