産経新聞に糖尿病と認知症の関連について記事が掲載されておりましたので、紹介させていただきます。
以下記事
米国ワシントン大学医学部のポール・クレイン博士らの研究グループは、1994~96年および2000~2002年に被験者として登録した、認知症でない65歳以上の高齢者2067人を平均6.8年にわたって追跡調査し、糖尿病と認知症の発症の関連について調べた。
登録時に糖尿病と診断されていた人は232人、糖尿病でない人は1835人だった。このうち、調査期間中に認知症を発症したケースは、糖尿病群で74人(母数に対し21.6%)、非糖尿病群で450人(同26.1%)だった。つまりクレイン博士らの調査では、糖尿病でない人の方が、若干ではあるが認知症を発症しやすいという意外な結果が出たのだ。
更にクレイン博士らが血糖値と認知症の発症リスクについて検証すると、興味深いことに血糖値が高ければ高いほど認知症の発症リスクが高まり、低ければ低いほど認知症の発症リスクが低下することがわかった。
つまり、糖尿病を発症していない人について認知症の発症リスクを調べると、一日の平均血糖値が100mg/dlの人の認知症の発症リスクに対して、105mg/dlの人の発症リスクは10%増加、110mg/dlの人の発症リスクは15%増加、115mg/dlの人の発症リスクは18%増加していることが分かった。逆に、一日の平均血糖値が95mg/dlの人の認知症の発症リスクは14%低下、95mg/dl以下の血糖値では更に認知症の発症リスクは低下していた。
一方、糖尿病を発症している人について一日の平均血糖値と認知症の発症リスクの関係を調べると、一日の平均血糖値が160~170mg/dlの場合の認知症の発症リスクが最も低く、それより高くても低くても認知症の発症リスクは増加していることが判明した。高血糖値が認知症の発症リスクを増大させるメカニズムは糖尿病とは別である博士は考察、今後の研究課題だと言えそうだ。
認知症と血糖値の関係は以前から指摘されており、血糖降下ホルモンであるインスリンは血液の中のブドウ糖をエネルギーとして使われるように変え、ブドウ糖を減らし血糖値を下げます。必要なくなったインスリンはインスリン分解酵素の働きで分解されます。インスリン分解酵素の主な仕事はインスリンの分解ですが、インスリン分解酵素は副業として、アミロイドβの分解もしています。
慢性的にインスリンが多過ぎる状態(この状態を高インスリン血症といいます。)となるような生活をしていると、インスリン分解酵素はインスリンの分解の為に消費されてしまいます。そうなると、認知症の原因物質であるアミロイドβ(この物質が集まったものが老人斑)の分解が手薄になってきます。
糖尿病で高インスリン血症の人は、脳にアミロイドβが溜まりやすい状態となっており、その結果として認知症、特にアルツハイマー型認知症を発症しやすくなってしまいます。
記事の疫学調査で、糖尿病で認知症になった人の割合が少なくなったのは、糖尿病で症状が進んでいくと膵臓でのインスリンが枯渇することがあり、この場合必ずしもインスリンの血中濃度は高くなく、インスリン分解酵素の消費が少ないために認知症になる割合が減ると考えられます。
つまり糖尿病となっていなくても、インスリンを多く使う生活をしていると、認知症になりやすくなるのです。現代の人達は、甘いものを多く摂っています。ジュースやお菓子が気軽に摂れる世の中です。知らず知らずに認知症の原因を作っているのかもしれませんね。
このようなことにならないためにはどうすれば良いの?という方は店頭にてご相談ください。