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受精 ~卵子から見た受精~

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 生殖細胞は男性の場合は性成熟後も増殖、分裂が継続しますが、女性の場合は胎児期で終了してしまいます。これが、男性は高齢になっても生殖能力があるのに対し女性は生殖期間に限りがある所以です。女性の生殖細胞は、お母さんのお腹の中にいるときが一番多く、約600万個存在しています。その後、生まれた時には300万個になります。減数分裂(染色体が半分になる分裂)は第1減数分裂前期で停止しています。そして、生殖細胞(卵母細胞)は性成熟期(子供が作れる時期)には2万個に減少し、成熟して排卵に至る生殖細胞は400個程度と言われています。周期にもよりますが30年から40年間排卵することになります。45から55歳くらいまで排卵するということです。

 

 性成熟期の卵巣では、卵胞の発育は、原始卵胞から始まります。性腺刺激ホルモンの制御を受けるようになると発育を開始した卵胞(1次卵胞)はさらに発育し、顆粒膜細胞の増殖と第1卵母細胞の容積の増加が起こります(2次卵胞)。この時期の卵胞の発育には顆粒膜細胞と卵母細胞が互いに増殖調整因子を分泌する機構が存在します。さらに発育が進むと卵胞内に、卵胞液の貯留が起こります(胞状卵胞)。生理的には通常、最も発育の早い主席卵胞のみがグラーフ卵胞(成熟卵胞)となり、脳下垂体からの一過性のホルモン刺激であるLHサージ(黄体形成ホルモンが一過性に放出される現象)に反応して、LHサージ開始から36~42時間後に排卵が起こります。

 

 一方、LHサージを受けると、胎児期から休止していた第1減数分裂が再開します。形態的には卵核胞が消失し、減数分裂は完了します。このとき分離する染色体の組み合わせにより遺伝子の多様性は増加します。第1卵母細胞は第1極体(減数分裂により排除された核)を放出し、第2卵母細胞となります。細胞内に残った染色体は直ちに第2減数分裂中期に入り、細胞は卵子となります。ここで第2減数分裂は再び休止し、精子の進入によって再開します。排卵および精子進入は第2減数分裂中期に起こりますが、正常な発生に至るためには精子の進入は排卵後12時間以内に起こる必要があるとされています。このことから、卵子の寿命は12時間くらいということになります。

 

 排卵は、卵子とその周囲に護衛艦のように卵丘細胞や細胞問マトリックス(細胞間に存在する分子構造)からなります。また、卵子の周囲には透明帯と呼ばれる細胞外マトリックスが存在し、受精において重要な役割を担っていて、多精子受精を防いでいます。

 

 精子が卵子細胞膜と融合すると卵子の第2減数分裂が再開し、染色体は分離します。これによって、卵子から子孫に受け継がれる染色体の組合せが決定します。半数の染色体は第2極体として囲卵腔に放出され、卵子側に残った半数の染色体は前核となります。前核形成は卵子内の細胞質因子により制御されるので、精子の前核形成と同時に起こります。2前核期は約12時間継続し、精子、卵子の前核はDNAの複製に伴い容積を増しながら細胞の中心部に移行し融合します。次に前核の融合により4倍体となった染色体は直ちに分離し、第1卵割を経て2細胞期胚となります。

 

 この様にして受精は成立します。受精は単純に卵子の中に精子が入ることなんですが、非常に複雑なシステムで成り立っていたのです。
 この複雑で、神秘的なシステムがストレスや食べ物の影響を受けるわけですから、実際に妊娠に適した状態はそれほど多くないんです。だから、生活習慣や食生活が重要になっていくんですね。


昭和堂薬局 | 2015年3月30日

 

やすらぎ通信 春彼岸

やすらぎ通信春彼岸号

 

昨年9月にスタートしたやすらぎの郷霊園の「やすらぎ通信」のコラム第3弾です!

 

 仏教と東洋医学

仏教では、身心一如(しんじんいちにょ)といわれ、身体と心・精神は分けて考えることはできません。身体と心のバランスを保つという意味で、仏教と東洋医学は似通っている点があるのではないかと思います。身体と心の健康について学んでいきたいと思います。

前回は、東洋医学における冬の養生訓を紹介しました。今回は春の養生訓です。

 

 第3回 春の養生訓

 

~春は生じ、夏は長じ、秋は収し、冬は蔵する。~
 東洋医学では四季をこのように捉え、それぞれの特徴にあった養生法を考えます。中国伝統医学の古典の一つである「黄帝内経(こうていだいけい)」の中の『素問・四気調神大論(しきちょうしんだいろん)』では、「四時陰陽の変化は万物の生長(せいちょう)収蔵(しゅうぞう)の根本である。そこで聖人は春と夏には陽気を養い、秋と冬には陰気を養って、この根本に順うのである。こうして聖人は、万物と同様に、生長発育の正常なリズムを充分保てるのである。仮りにこれに反してしまうと、生命の根本が傷つき伐られて、真気もまた損なわれ、壊えてしまう。そこで陰陽四時の変化というものは、万物の生長、衰老死亡の根本だというのである。これに反すると災害をまねき、これに順えば疾病も生じない。これがつまり養生法をわきまえるということである。養生法については、聖人は着実にこれを行うが、愚か者はかえってこれに背いてしまう。」と書かれています。
 この季節に背くようなことをすると、それぞれの季節に応じた病気に繋がると考えました。
 また、『素問・四気調神大論』には、「春の三箇月は、万物が古いものを推し開いて、新しいものを出す季節であり、天地間の生気が発動して、ものみなすべてが生き生きと栄えてくる。人々は少し遅く寝て少し早く起き、庭に出てゆったりと歩き、髪を解きほぐし、体をのびやかにし、心持ちは活き活きと生気を充満させて、生まれたばかりの万物と同様にするがよい。ただひたすらその生長にまかせるべきで、殺害してはならない。ただひたすら成長を援助するべきで、剥奪してはならない。大いに心をはげまし目を楽しませるべきで、体をしいたげてはならない。これが春に適応し、「生気」を保養する道理である。もし、この道理に反すると、肝気を損傷し、夏になって変じて寒性の病を生じ、人体がもっている夏の盛長の気に適応するという能力を減少させてしまう。」と書かれています。

 

 このように、春は、ピンと張りつめた空気がゆるみ、しだいに日がのびてくると、自然界には春の暖かな陽気が満ちてきます。草花は芽吹き、地中からはさまざまな虫たちが顔を出し、生きものたちの命がいきいきと育まれる、生命力あふれる季節なのです。それは人間にとっても同じこと。春になると、おのずと何か新しいことを始めたくなるものです。体の中には、やる気や元気をもたらす”陽の気”が高まり、エネルギーが満ちあふれてきます。春は人間も活動的になり、それを発散するのが春の養生法です。しかし、自然の気に逆らって室内に閉じこもり、発散しないでいると、陽の気がどんどん上昇して体内に滞り、そのために上半身に異常が現れやすくなると考えます。春のめまいやのぼせ、気持ちの高ぶりによる不眠などは、春の陽気の上昇にともなう代表的な症状といえます。

 

〇肝の働きが乱れる春

 東洋医薬学では、めまいやのぼせなど、春の陽の気の高ぶりによる症状は、肝機能の異常亢進によってもたらされると考えます。東洋医薬学でとらえる「肝」のもっとも重要な働きは、血液を貯蔵し、調節することです。「肝」の働きが異常に高まると、「肝」に貯蔵されるべき血液がおさまらず、陽の気とともに上昇して、上半身に滞るようになると考えます。その結果、頭に血がのぼって、のぼせやめまい、不眠、頭痛、肩こりなどを起こしやすくなるのです。高血圧も「肝」の異常亢進による症状のひとつです。

同時に、「肝」は「思考を司る」器官といわれ、精神的な作用が強い臓器ととらえられています。ものごとを論理的に考え、判断し、実行することと「肝」は不可欠な関係にあり、ストレスなどをコントロールして、イライラや不安などの感情を是正する役目を担っているのです。さらに人体の筋肉や腱、関節を動かす働きも「肝」が支配しています。そのため春、「肝」の働きが異常になると、関節の痛みや筋肉がつるなどの症状が現れることがあります。

 

〇肝を補う酸味の食材

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 春に異常亢進しやすい「肝」の働きを正常に戻し、疲弊した「肝」の働きを補うのが、酸味の食材です。酸味とは、文字どおり酸っぱい味で、「肝・胆」をはじめ、眼や腱の働きを補い、滋養する作用があるとされます。梅干し、酢、かぼす、レモン、すもも、さくらんぼなどが酸味を代表する食材です。「酒は肝をいためる」といわれ、飲みすぎは「肝」の大敵ですが、肝機能を高め、二日酔いを解消するうえでも酸味の食材が威力を発揮します。酒の肴には、酢の物などの酸味がよく合い、梅酒やレモンサワー、ジンライムなど、お酒を酸味のフルーツで割ったものが多いのも理にかなっています。また酸味の食材には、食品の腐敗を防いで鮮度を保ち、脂肪を中和して味わいを淡白にし、食をすすめる作用があります。脂ののった青背のさばを、酢でしめた「しめさば」は、酸味の特徴を上手に生かした調理法のひとつといえましょう。酸味は腐りやすいさばの保存を可能にし、脂っこさを消して、さっぱりとした味に変えてくれます。

 

 古くから日本人は、ものごとの大事なことを「肝腎」といい、味加減や健康度を表すのに「塩梅(あんばい)」と呼んで、「肝」を補う酸味を重視してきました。ところが、今日の日本の食生活を見ると、梅干しや食酢、緑色野菜の摂取が激減しています。加えて、有機酸の補給源であった柑橘類などの果物も、甘味の強いものが求められるようになり、酸味の少ない、甘味優先の果物に品種改良されるようになりました。梅干し、ゆず(実)、かぼす、レモンなど、酸味の食材は決して主役になりえるものではありませんが、だからこそ意識して、季節の酸味の食材を取り入れる必要があると思います。とくに酸味の代表ともいえる梅干しは、梅を塩漬けにすることで、鹹味(かんみ)の塩が「腎」を補い、辛味のしそが「肺・大腸」を助けるなど、これだけで三味が補えるすぐれた食品です。肝臓の働きを活発にすると同時に、利尿作用を高めて腎の働きを補い、腸の働きを整えて便秘を防ぐ効果もあります。古来より「梅干しは三毒を絶つ」といわれ、水分代謝障害、血行不良、消化不良を予防する効力があるとされるのも、酸・鹹・辛の三味の働きによるものです。おにぎりやお弁当に梅干しを入れるのも、すぐれた殺菌力を利用して、ごはんが腐敗するのを防ぐために考え出された生活の知恵です。かつては「1日1個梅干しを食べれば病気にならない」といわれ、どこの家庭でも梅干しが常備されていました。塩分の摂りすぎによる弊害が強調され、洋食がふだんの食卓にのぼるようになると、しだいに影をひそめていきましたが、いま再び、効能豊かな梅干しを食べる習慣を取り戻したいものです。

 

  旬の食材

 日本には、四季があり四季の変化に応じて食物は成長し実りのときを迎えます。その四季折々の食べ物が旬の食材です。食べ物は季節と切り離せないものであり、私たちは春夏秋冬それぞれの季節に合わせて生み出される自然の恵みを巧みに取り入れてきました。しかし、今の日本では、ハウス栽培や冷凍・冷蔵技術の発達により、一年中同じ食材が手に入るようになりました。冬に、本来は夏にしかとれないトマトやきゅうりが食卓にのぼることも珍しくありません。かつての日本では、四季の変化に合わせて育まれる旬の食材によって、誰もが季節の移り変わりを実感していたのです。栄養をたっぷりと含んだ旬の恵みを取り入れることによりその季節を乗り切る力を得ていたのです。

 

 春の伝統料理
 「たけのこの木の芽あえ」に「若竹煮」や「うどとわかめの酢みそあえ」いずれも春の訪れを感じさせてくれる伝統料理です。これら古くから受け継がれる日本の料理には、春に起こりやすい症状を防ぐための知恵が見事に生かされています。
たけのこやうどなどの苦味の食材には、陽の気や血液の高ぶりを抑えて熱を鎮める作用あります。ただし、苦味の食材は、摂りすぎると体を冷やすことがあります。とくに、冷え性や水分代謝の悪い人、胃腸の弱い人は摂り過ぎに注意が必要です。

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これを防ぐため、苦味には、体を温める辛味の食材を合わせてバランスをとる必要があります。苦味を摂りすぎると、辛味が支配する「肺・大腸」の働きが阻害されるため、苦味には辛味を添えて「肺・大腸」の働きを補うと同時に、苦味の摂りすぎによる体の冷えを防ぐことになるわけです。たけのこは辛味の木の芽と合わせ、うどは同じく辛味のからしであえるのも、苦昧による弊害を防ぐためであり、実に理にかなった調理法といえます。私たちの祖先は古来より、こうした食の特性に気づき、食害を予防するための組み合わせに配慮してきたのです。
 私たち日本人は、もう一度旬を感じ伝統食を見直す必要がありそうですね。

 


昭和堂薬局 | 2015年3月17日

 

「NHKスペシャル」で“腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー”が放送された!

 

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月22日の「NHKスペシャル」で“腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー”が放送されました。

 

 近年、腸内細菌の解析技術が飛躍的に進歩し、多くの病気との関係が解ってきています。この番組でも、肥満、糖尿病、がん、皮膚のシワや腸が脳を支配しているなど腸内細菌と病気の関係を放送していました。しかし番組の中で、肥満に対して良い働きをする短鎖脂肪酸を腸内細菌が出すと表現していましたが、短鎖脂肪酸は食物繊維を原料として腸内細菌が作り出すものです。同じ様にエクオールというシワにいい成分を腸内細菌が出すと言っていますが、これは大豆イソフラボンから腸内細菌によって作り出されるもので、決して何もないところから腸内細菌が吐き出しているものではないのです。これらを作り出す菌が腸内にいても食物繊維を摂らない人には短鎖脂肪酸はできませんし、大豆製品を食べない人にはエクオールはできないのです。

 

 最近の研究でどんな細菌が何をしているかまでは解ってきていますが、その菌をどうやって増やすのかが解明されておらず、1000兆個あるといわれている他の菌とのバランスの問題もあります。

 放送で紹介されているように健康な人の腸内細菌を移植すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、そのことによってどんなことが起こるか分かりません。こうしたことから、治すことが出来ない難病に試験的に試されているのです。

 

 少し否定的なことを言ってきましたが、実際に腸内細菌が非常に重要なことは事実なのです。では、どうしたらいいのか?今私たちができることは、食物繊維や発酵食品をしっかり摂るなどバランスのいい食生活です。その食生活が腸内細菌のバランスを良くしてくれるのです。

 

 すぐに成果は出ないかもしれませんが、少しずつ体は変化していきます。少し食生活を見直してみましょう。

食生活はなかなか変えるのが難しい方はご相談ください。


昭和堂薬局 | 2015年3月4日

 

精子側から見た受精

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受精は精子と卵子が卵管膨大部で成立します。この受精に至るプロセスは精密に調整された神秘的な現象です。
今回は、この受精という神秘的な現象を精子の側から見ていきます。

 

 精子の形成は、精巣において脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンによって開始されます。この分裂を開始する精原細胞はほぼ一生、細胞分裂により供給されます。ここが卵胞と違い男性がいくつになっても妊娠能力があるところです。精原細胞は第1・第2減数分裂を経て半数体の遺伝物質DNAを持つ円形精子細胞になります。ここで遺伝的多様性が形成され、次世代に莫大な組み合わせの遺伝子を伝えることが可能となります。円形精子細胞は受精に適した形態変化、すなわち核の凝縮、先体や鞭毛の形成などを経て精子となります。精巣精子は、本来は充分な運動能力や卵子への進入能力をまだ持っていません。すなわち精子は精巣で形成された後、精巣上体を移動する過程で機能的成熟を果たします。

 

 射出された精子あるいは精巣上体精子は、充分な運動性を持っていても直ちに卵子に進入することはできません。通常精子は女性生殖路を移動してはじめて卵子と出会うので、この過程で受精能を獲得する仕組みを備えています。受精能獲得は精子にプログラムされた一連の生化学反応です。精子細胞内での反応は詳しくはわかっていない部分がありますが、受精能獲得は形態変化ではとらえられない受精に向けての機能変化と考えられています。この変化として精子の運動性(鞭毛の大きな振幅と非対称性)の変化があります。この運動は、透明帯(卵母細胞の細胞膜を取り囲む糖タンパク質)進入において物理的推進力となると考えられています。

 

 精子の受精に向けての形態変化としては、受精能獲得に続く先体反応です。これは卵子への進入に必須の反応で、精子細胞膜と先体外膜が複数の部位で膜融合を起こし先体に含まれる酵素などが放出されます。それによって、透明帯に自らが通過できる狭い通路を形成しながら前進し囲卵腔に達します。精子は囲卵腔に到達すると運動を停止し、卵子の微絨毛により卵子細胞内に取り込まれます。この時、細胞膜の融合が起こります。通常卵管膨大部には複数の精子が到達するので、複数の精子が卵子の細胞膜と融合する可能性が生じる。余剰の精子は表層反応(または透明帯反応)により透明帯で拒絶されます。次に卵子細胞質内に取り込まれた精子は、頭部が膨潤して膨化精子頭部を形成します。膨化精子頭部は雄性前核となり、卵子から発生した雌性前核と融合して最終的な受精の成立となります。

 

 このように精子は精巣で造られただけでは受精することが出来ず男性の体から女性の身体を進んでいくことで、変化していき最終的に受精することが出来るのです。このメカニズムを見ただけでも緻密に制御されていて、なんと神秘的なんでしょうか。
この精子側から見た受精だけでも、これだけ複雑に制御されているため、ちょっとしたことでなかなか妊娠しないこともわかる気がしますよね!
何気なくやっている生活習慣や食生活を見直してみることも重要なんですよ!


昭和堂薬局 | 2015年2月18日

 

「濃いルーほど効く カレーとアルツハイマーの深~い関係」、この新聞記事ってホント?

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 ある新聞記事に「カレーを食べるとボケない」という記事が掲載されました。

 この記事では、「カレーを食べればボケません。少なくともボケの進行を抑えることはできそうです。そもそもカレーが注目されたのは、インド人のアルツハイマー病の有病率の低さです。米ピッツバーグ大学の研究チームがインドと米ペンシルベニア州に住む高齢者(70~79歳)の有病率を調べたところ、インド人は米国人の1/4しかなかったのです。」と書かれています。これは疫学的データであり正しいかもしれません。

 

 しかし、このあとに「辛口だろうが甘口だろうが関係ありません。ポークカレーやビーフカレーの違いもない。アルツハイマー病に効果があるとされるのは、カレーを黄色くするウコン。そこに含まれるクルクミンなのです。ただウコンには大きく分けて秋ウコン(ターメリック)、春ウコン(キョウオウ)、紫ウコン(ガジュツ)があります。クルクミンの含有量が多いのは秋ウコンで春ウコンは少ない。市販のカレールーを買うなら、成分表にターメリックと書かれたものを選ぶといいでしょう」と述べています。

ここで少し考えてみましょう。インドの人達は確かにカレーを食べていると思います。しかしカレールーを使うのでしょうか?おそらく様々な香辛料からカレーを作っているはずです。カレールーからは作っていないでしょう。市販のカレールーの成分表示を見て下さい。パームオイルと書いてあるはずです。

 

 パームオイルはトランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングの原料として使われています。しかしこのオイルの組成は飽和脂肪酸と一価の不飽和脂肪酸がほとんどで、問題になりそうなω-6系の不飽和脂肪酸は10%程度です。これを見るとそれほど問題にはならないように思いますが、炎症が関わる病気を患っている方が食事により敏感に痛みを感じてしまう場合があり、リウマチの方がカレールーから作ったカレーを食べて痛みが強くなることを経験しています。加工に使われたパームオイルは、炎症を悪化させるトランス脂肪酸が多く含まれているのかもしれません、アルツハイマーは炎症が関係している事が云われており、市販のカレールーから作ったカレーは炎症を悪化させる可能性があります。

 

 この様にたとえ新聞記事であっても記事の内容をしっかり吟味しなくてはならないことが解ると思います。もし、この記事をうのみにしてしまいカレールーから作ったカレーを毎日食べてしまったら、アルツハイマーのリスクが上がってしまう可能性があるのです。

 

 最近はインターネットやSNSが発達し巷には情報が溢れています。私達はこれらの情報に振り回され、そこで言われたものを信じて、その商品を買ってしまいがちです。しかし、その情報をきちんと読み解くとカレールーから作ったカレーを食べるのではなく、カレー粉から作ったカレーを食べるともしかするとアルツハイマーが予防できるかも知れないということなのです。この真実がどこかで歪曲したり、“クルクミン”という単語だけを見てしまうことで、この様なことが起こるのだと思います。

間違った情報に振り回されず、きちんとした真実を知りたいものです。


昭和堂薬局 | 2015年2月5日

 

また、今年もアレルギーの季節が近づいてきました。

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 花粉症が大きく話題になる季節が近づいてきました。花粉症でお悩みの方々にとっては嫌な時期ではないでしょうか?
 花粉症をはじめとするアレルギー疾患は、いまだに対症療法しかなく根本的な治療法が見出されていません。
 しかし免疫に関しての基礎研究は、この数年で画期的に進歩してきているのも事実です。免疫反応には、自然免疫、獲得免疫の二つがあります。
 

 自然免疫は、私達の体に花粉やハウスダストといった異物が入ってきた時、最初に対処する免疫反応で、この反応を担当する細胞としてマクロファージや樹状細胞があります。これらは、体内に入ってきた異物(抗原・アレルゲン)を獲得免疫系細胞(T細胞)に提示します。抗原を提示されたT細胞はこの抗原に対し免疫反応を起こします。
 簡単に免疫反応を述べると、花粉症の場合Th2細胞が抗体産生細胞であるB細胞に指令を出しIgE抗体を産生させて対応します。これによりマスト細胞などが動員されてケミカルメディエーターという物質が放出されてアレルギー反応が起こります。
 しかし実際、身体の中ではものすごく複雑な反応が起こっています。例えば、IgE抗体産生もTh2細胞だけでなくTfh細胞も関係している可能性があり、獲得免疫系細胞が動き出す前に、自然リンパ球なるものが存在することも解ってきています。(自然リンパ球と獲得免疫系のT細胞も関係性の詳細については、まだ解っていないのですが…)
この様に、部分的には劇的に進歩している免疫ですが、まだ解らないことが多く残されていて根本的な対策が見出されていないのです。
 

 そのような中、あらゆる病気に免疫が関わり“慢性炎症”という状態が病気を誘発していることも解ってきています。この“慢性炎症”は、肥満や糖尿病などの生活習慣病や自己免疫疾患、アレルギー、がん、認知症などあらゆる病気に関係しています。
 しかし、これらの病気の根本的な治療法が見出されていないのも事実です。
 最近の研究から解っている事の中でどんな事をすればこの“慢性炎症”を鎮めることができるのでしょうか?

 

 免疫学の専門書等を読んでいると、私達が日常生活で行うことで慢性炎症を鎮める可能性があることとして、腸内環境の改善と炎症を抑制する脂肪酸(油)の摂取ではないかと思われます。
 腸内細菌がT細胞を誘導していると言われています。腸内細菌の中で善玉菌である乳酸菌はTh1とTh2のバランスに関係しており、クロストリジア系の細菌がTh17細胞(自己免疫疾患に関係するT細胞)を誘導しています。またセグメント細胞が抑制能の強いTreg細胞を誘導していることが解っています。
 また、免疫が動くことにより良きにつけ悪しきにつけ炎症が起こりますが、これを終息させるためにαリノレン酸(ω3系脂肪酸)系が炎症を抑制し、免疫を終息させていきます。

 

 これらのことから、私達ができることは発酵食品の積極的な摂取と抑制系の脂肪酸であるシソ油や亜麻仁油、魚油のEPAなどの積極的な摂取です。日本人は伝統的な発酵食品や魚を多く食べてきました。しかし、現代の日本の食卓は欧米食が多くなり、それに伴い炎症を促進する脂肪酸(油)である大豆油やコーン油などの油を多く摂るようになり、発酵食品が敬遠され、その発酵食品として販売されているものも品質を簡単に維持するために菌を殺し保存料を入れて出荷しています。
 本当の意味での発酵食品ではなくなってきているのです。

 

 これらの事を解決していくには食生活の見直しが必要だと私個人は思います。自分たちが毎日食べるものですから、もう一度見直してみましょう。病気を予防する方法が見えてくると思います。
 どうしても食事の改善が難しい場合は、食に繋がる様な健康食品の力を借りるのも一つの方法でしょう。
 食事や生活環境を見直し、花粉の季節を元気に乗り切りましょう。あなたに合った改善方法を私達と一緒に考えてみませんか?ご相談をお待ちしております。


昭和堂薬局 | 2015年1月7日

 

やすらぎ通信 正月号

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9月にスタートしたやすらぎの郷霊園の「やすらぎ通信」のコラム第2弾です!

 

 仏教では、身心一如(しんじんいちにょ)といわれ、身体と心・精神は分けて考えることはできません。身体と心のバランスを保つという意味で、仏教と東洋医学は、似通っている点があるのではないかと思います。身体と心の健康に ついて学んでいきたいと思います。
 前回は、健康とは陰陽のバランスである事。そして、四季折々の旬の食材には季節に合った食性があるという事を紹介しました。今回は、東洋医学が考える冬の性質とその冬を元気に過ごしていくための先人の知恵についてご紹介します。

 

第2回 冬の養生訓 ~春は生じ、夏は長じ、秋は収し、冬は蔵する~
 東洋医学では四季それぞれの特徴にあった養生法を考えます。中国伝統医学の古典の一つである「黄帝内経」・『素問・四気調神大論』には次の様に書かれています。
 「四時陰陽の変化は万物の生長収蔵の根本である。そこで聖人は春と夏には陽気を養い、秋と冬には陰気を養って、この根本に順うのである。こうして聖人は、万物と同様に、生長発育の正常なリズムを充分保てるのである。仮りにこれに反してしまうと、生命の根本が傷つき伐られて、真気もまた損なわれ、壊えてしまう。そこで陰陽四時の変化というものは、万物の生長、衰老死亡の根本だというのである。これに反すると災害をまねき、これに順えば疾病も生じない。これがつまり養生法をわきまえるということである。養生法については、聖人は着実にこれを行うが、愚か者はかえってこれに背いてしまう。」
 「冬の三箇月は万物の生活機能が潜伏閉蔵する季節である。だから河の水は氷り、地面は凍って裂ける。この時期には、人は陽気をかき乱してはならない。少し早く眠り、少し遅く起きるべきであり、起床と就寝の時間は、日の出と日の入りを基準とするがよい。心を埋め伏し、しまい隠しているかのように安静にさせる。ちょうど人に話しにくい私情があるかのように。また、すでに秘密をつかんだような愉快な気分で、厳寒を避け、温暖に保ち、皮膚を開いて汗を出すようなことをして、閉蔵している陽気に影響を受けさせてはならない。これがつまり、冬に適応して「蔵気」を養うという道理である。もし、この道理に反すると、腎気を損傷し、来春になって痿厥(いけつ)の病を発生し、人が春の生気に適応するという能力を減少させてしまう。」

 

 季節に背くようなことをすると、それぞれの季節に応じた病気に繋がると考えられています。
 冬は厳しい寒さで陽気が抑えられ、陰気が盛んになる季節です。万物が静かに落ち着いている「陰」の季節は、早寝、遅起きをし、活発な活動でエネルギーを消耗することは避け、「蓄える」ことを第一にゆっくり過ごす季節です。また、冬の寒さは自然界の邪気「寒邪」となって身体に侵入し、さまざまな不調を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。寒邪の侵入によって身体が冷やされると、カゼ、関節の冷えや痛み、四肢の冷えなどの症状が現れます。

 

○腎(じん) ~人体の五臓の中で、冬と関係が深いのは「腎」~
 「腎」は人体の生命活動を維持する栄養物質である「精」を貯蔵し、全身に精力を与えて根気を生み出します。また、免疫力や防衛力の要であり、心身の成長発育を促す働きがあります。同時に、生殖活動を生み出します。つまり腎は人体の生命活動を維持するエネルギーを蓄え、全身にこれを供給し、健全な働きを維持する役目を担っているのです。そのため、腎が弱ると、生命エネルギーが衰えて気力、体力も低下し、活動量も落ちてしまいます。
 もうひとつ重要な働きが、腎は体内の水分を蓄え全身に分布させ、尿を生成し排泄して水分代謝を管理しています。さらに腎は、骨と髄の成長発育と密接に関係しその異常は、その窓口である耳に表れます。古典では、「腎気は耳に通じ、腎和すればよく五音を聞く」(霊枢脈度篇)とされ、腎と耳が密接な関係にあることを説明しています。

 

○冬は「鹹味(かんみ)」が必要!
 冬は腎臓が一番働く季節と述べましたが、漢方で言う「腎」を助ける味、冬に必要な味は、「鹹(かん)」という味で、これは塩辛い味です。腎臓を助ける味は「ミネラル」であると漢方の世界では言われています。現在の食塩・純度の高い塩化ナトリウム(NaCl)の味を指すのではなくて自然のミネラルを含む塩と考えたほうがよいようです。
 寒さの厳しい北海道・東北と一年を通して暖かい南九州・沖縄の食生活を比べると、大きく異なるものの1つが塩分の摂取量です。北国では味噌やしょうゆの塩分濃度が高く、漬け物や佃煮、魚の塩漬けなど保存のためにも塩をふんだんに用いた郷土料理がたくさんあります。それは、塩気の多い食べ物には、体を温める作用があるからです。血液内の塩分濃度が高まるとエネルギーの燃焼作用が盛んになり体温が上昇するのです。塩分の多量摂取は寒さに耐え、体が冷えるのを防ぐための人間の知恵なのです。冬に弱りやすい腎を補うのも、塩をはじめ味噌やしょうゆなどの塩辛い味である鹹味の食材です。鹹味は大小便の排泄に不可欠な味であり、「腎・膀胱」の機能を補い泌尿器の働きを助けて、体内の水分代謝を調整する働きがあります。腎気を養い、骨髄を丈夫に保ち衰えたエネルギーを回復するためにも無くてはならないものです。ほかの食物では取れないナトリウム、マグネシウム、亜鉛等のミネラル類の補給源でもあるのです。

 

 ところが、現在では塩分が必要以上に敵視されています。「高血圧に塩は駄目じゃないか!」といわれます。しかしながら、天然塩を代表に、バランスの取れたミネラル塩や醗酵物の塩を適量取るには問題はありません。むしろ化学薬品のような塩化ナトリウムを食塩として取ることが問題なのです。天然塩の中には、苦汁(マグネシウム)が入っており、これは心臓を守り助ける苦味となります。化学薬品の塩化ナトリウムの鹹味だけに較べ、天然塩は鹹味に苦味が入ることにより血圧を上げにくくするのです。
 また鹹味には、硬いものをやわらげる作用があり、体にできたしこりを解消する効果もあります。昔の人は肩が凝ると入浴時に塩を肩にすり込んだそうです。北国の人々は、「寒邪」によって血管も毛穴も収縮し、水分代謝をコントロールするために、「腎」に過剰な負担がかかります。それを防ぐために、体を温めて腎を保護する鹹味の食べ物を必然的に多く取り入れてきたのです。

 

先人の知恵 ~おせち料理~
 漢方の世界では、黒い色は、冬一番働く臓器、腎臓(じんぞう)を守る色とされます。おせち料理にはこうした腎(じん)を補う食材(黒豆・昆布・田作りなど)が沢山取り入れられています。

 

ゴボウの昆布巻き
 鹹味(かんみ)(塩味)の昆布でゴボウを巻いて、しょうゆと砂糖で味付けしたものです。「よろこぶ」事の多い年にと願いを込めています。昆布をはじめわかめやひじきなどの海草類には、尿の出を促して、水分代謝を高め、腎機能を補う働きがあります。鹹味の昆布に相剋(そうこく)にあたる苦味(にがみ)のゴボウを組み合わせて(塩辛いものが多いと心臓、血圧、血管に負担をかけます)心臓の働きを補うバランスの良い組み合わせです。海藻(かいそう)のぬめりをもたらす「フコイダン」という多糖類は、水に溶けやすい性質を持った食物繊維で、便通を整えると同時に、血液中のコレステロールを低下させて血圧を下げ動脈硬化を防ぐ作用もあり、この点でも相剋の「心臓」を助けています。ミネラルと結合しやすいために、過剰に取りすぎたナトリウムの体外に排出するのにも役立ちます。

 

田作り
 鹹味のごまめ(片口イワシの稚魚(ちぎょ))をしょうゆ風味の飴(あめ)炊きにした「田作り」も腎(じん)を補う一品です。かつては田畑の高級肥料として片口(かたくち)イワシが使われていたことから、豊作を願ってお正月に食べられるようになったと言われています。「田作り」には、筋骨を強くして、内臓の働きを良くして体を温め、水分代謝を促す効果があることを、人々は経験的に察知していたのかもしれません。

 

栗きんとん
 意外なところでは、「栗きんとん」の栗も、腎を補う鹹味に属します。クチナシの実で黄金色に色づけされた「栗きんとん」は、その豪華さからお正月の定番料理となりましたが、相尅関係で甘味の砂糖によって腎の働きが抑えられるのを、鹹味の栗によって未然に防いでいる、すぐれた組み合わせといえます。黄金の布団に見立てて金運の上昇を祈ります。

 

 おせち料理に代表される日本の伝統食はこのように理にかなった組み合わせになっています。
健やかに心穏やかな日々が送れますように祈りつつ、おせち料理をつまんでみては如何ですか。

 


昭和堂薬局 | 2014年12月26日

 

冬の養生 その二

 

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 前回、“冬は平静に落ち着いて過ごす”とお話しました。
 12月は忘年会やクリスマスなどの行事も多くなります。本来、冬は人間を含め多くの動物が、エネルギーをしっかりと蓄える“収蔵”という季節にあたります。
 気や精といった身体にとって必要なエネルギーを消耗しないようにし、しっかり元気を蓄える季節なのです。しかし年末年始はイベントが多く、不摂生をしがちになります。不摂生で体力を消耗すると、寒く厳しい季節である冬に体が適応できず風邪などの感染症にかかりやすくなります。また、冬のこの時期にエネルギーを蓄えておかないと、立春を過ぎたころ温病にかかるとされています。温病とはインフルエンザなどの感染力の強い病気を指します。

 

 また、冬は精を必要以上に漏らさないような生活を心がけなくてはいけません。冬は暖房のかけ過ぎなどで汗をかくことにより精を漏らしてしまいます。夜遅くまで起きているだけでも精を消耗しています。夜遅くまでお酒を飲んでいると、体が必要以上に温まり、やはり汗までかかなくても皮膚はゆるみ、精を漏らしていることになります。そのため、立春の頃に高熱の出る風邪を引きやすく、また精を漏らしているために抵抗力は落ち、免疫力は落ちます。
 昔の方に比べ「栄養」状態は良くなりましたが、私たち現代人は「営養」をしていない生活を送っています。

 

※営養:語源は中国に原典があり、「営食養生」という言葉で、「食を営めば生命が養われる」との意味があります。
栄養:富国強兵が叫ばれていた時代の背景を受け、「食を栄え」さすことで国民を「養い」、体力を向上させようとの狙いから作られた言葉。中国では今も「営養」であって「栄養」ではないそうです。

 

 夜遅くまで起きていることが、精を漏らすことにつながります。冬は日が短く、夜が長くなります。そのため、早く寝て、遅く起きるという夜の長さに合わせた生活が健康につながります。
 師走で忙しい季節ですが、忘年会などは極力早めに切り上げて過ごす生活が良いでしょう。

 


昭和堂薬局 | 2014年12月5日

 

大和酵素が酵素飲料の元祖です!

健康レシピ(ドレッシング)

 


 11月16日に関東むびょう研究会で酵素飲料について講演をしてきました。
その内容をご紹介しながら、酵素飲料の選び方や摂る利点について参考にして下さい。
 昭和21年大和酵素創業者である大和国生氏は、日本で初めて酵素飲料の開発に着手しました。当時は戦後の食糧難で「1人でも多くの人に、健やかに長生きしてもらいたい!」という思いで酵素飲料を開発したそうです。そして現在その伝統的な技術を受け継ぎ、大和酵素は60種類以上の厳選された材料を皮や種まで発酵させ、エキスを抽出しています。

 

 その製法は、野菜や果物など原材料を丁寧に洗浄し、ヒノキの樽の中に仕込みます。同時に糖分を配合し浸透圧を利用し、厳選された原材料から酵素やビタミン、ミネラルなどの有効成分を抽出しやすくします。そこに大和酵素秘伝の麹菌や乳酸菌、酵母などを加えじっくりと熟成していきます。この伝統的な製法の利点の一つが糖(黒糖・粗糖・麦芽糖・ブドウ糖・オリゴ糖など)の添加で、これをすることでエキス濃度が上がり保存料などの添加物が必要のない伝統的な保存方法になるのです。

 

 そもそもこの伝統的な製法の発酵とは何なのでしょうか?発酵とは有用微生物により、香りや味わい、色、栄養価をつくりだし、人が利用しやすい成分にしてくれるものです。これら発酵食品は世界各国に伝統食として存在し、発酵食品を摂らない民族はいません。また、人間は本来、腸内細菌によって自らが腸内で発酵し消化吸収の助けをしているのです。
日本にはさまざまな伝統的な発酵食品があります。味噌や醤油、納豆など多くの発酵食品が日本人の健康を支えてきました。しかし、現代のスーパーなどの店頭に並んでいるこの伝統的な発酵食品の一部は、見た目の製品の変化を嫌い、菌を殺し出荷されています。言い換えると、その製品は本当の意味での発酵食品でなくなっているのです。
そんな中、健康番組などではヨーグルトを取り上げてブームになっていますが、ヨーグルトは日本の伝統食ではありません。日本では発酵食品に酵母や麹を使ってきました。日本人にはこの酵母や麹を使った食品が体に合っているのです。
私たち人間は、たくさんの細菌と共存しています。皮膚や腸、女性では膣に到るまで常在菌がいるのです。その中で最も大きいのが大腸です。大腸に存在する腸内細菌は1000種類、数にして1000兆個、重さにして1㎏にも及びます。そして近年、添加物の摂取や除菌ブームなどで我々の腸内細菌は変化してきています。それが様々な現代病につながっているとも言われています。その腸内細菌をバランスよくしていくために発酵食品が必要なのです。

 

 酵素とは何か?酵素は、すべての生物が生命を維持していくうえで欠かすことのできない物で、消化・吸収・代謝・排泄に関わっています。我々人間も酵素を持っています。しかし、この自分で持っている酵素には限りがあると言われています。そこで、食べた物から酵素を取り入れ節約しているようです。その良い例が、大根が持っているジアスターゼで、我々は大根を摂ることによりこのジアスターゼが消化・吸収を助けてくれるのです。
この一連の消化・吸収・代謝・排泄がうまくいかなくなると、健康を維持できなくなります。そして、その消化・吸収・代謝・排泄には、酵素はもとより腸内細菌も重要なのです。
また、今の日本は飽食の時代と言われています。いつでも、お腹いっぱい食べることが出来ます。多くの方は、食べ過ぎてしまっています。人間は長い間飢餓の時代を過ごしてきました。そしていま直面している飽食の時代に体がついてきていません。身体は摂り過ぎた栄養を飢餓に備え貯めておくシステムがあるので、食べ過ぎることで太ってしまうのです。また、人間は食べた物を消化・吸収・代謝・排泄をしなくてはいけません。食べ過ぎると、この消化・吸収・代謝・排泄を酷使することにもなるのです。その結果、酵素は浪費され腸内細菌が変化します。先ほども言いましたが、この消化・吸収・代謝・排泄のシステムがうまく働かなくなると、健康は維持できないのです。

 

 そこで、先人の教えである断食がこの消化・吸収・代謝・排泄システムに休む時間を与え正常に戻してくれるのです。そして、この断食に酵素飲料を取り入れると、酵素やビタミン、ミネラルなど最低限体に必要な物を取り入れながら断食できるのです。
日本人の食事は大きく変わってきています。日本の伝統食が敬遠され、欧米の食文化が入ってきました。また、便利で簡単早いということでインスタント食品や加工食品が開発され、多くの方に食べられるようになってきました。しかし、そこには多くの添加物が入り、我々の身体を蝕んでいます。添加物は国が許可している安全なものと思われるかもしれませんが、短期的には安全かもしれませんが、長期的(3世代くらい見ないと分からないと言われています)にはその影響はまだわかりません。また、危険性を訴える論文も出ています。自分たちの身体は自分たちで守らなければいけない時代です。うまくこの酵素飲料を取り入れ、少しでも良いい食生活を送りたいですね!

関東むびょう研究会(26.11.16)

 

 昭和堂薬局では、酵素飲料をジュースの代わりに飲むことや、ヨーグルトにかけたり、また、ドレッシングレシピなど紹介しています。講演当日はこのドレッシングをみなさんの前で作り懇親会で皆さんと頂きました。
また、酵素飲料の選び方ですが、保存料などの添加物が入っていないことと発酵した菌が生きている物にしたいですね!


昭和堂薬局 | 2014年11月18日

 

もうすぐ立冬を迎えます~東洋医学から考える冬の養生~

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 「春は生じ、夏は長じ、秋は収し、冬は蔵する。」
中医学では四季をこのように捉え、それぞれの特徴にあった養生法を考えます。
立冬の時期は秋から冬への季節の変わり目で、昼夜の温度差、寒暖差が大きくなり急な冷え込みなどによって体調を崩しやすく、一年のうちで最も病気にかかりやすい時期とされており、その後、本格的な冬に入ると厳しい寒さによって陽気が抑えられ、陰が盛んになる時期となります。
万物が静かに落ち着いている「陰」の季節にあたり、この季節は活発な活動でエネルギーを消耗することは避け、「蓄える」ことを第一にゆっくり過ごす時期と考えましょう。

 

 中国伝統医学の古典の一つである「黄帝内経」に「冬の3か月は、これを閉蔵といい、水は凍り、地は凍って裂ける。人は陽気をかき乱してはならず、早く寝て、遅く起き、必ず日光を待ってすべきである。」とあり、江戸時代の儒学者である貝原益軒も「養生訓」で「冬は心を静かに安定させ、衣服を多く重ねたり、あるいは火で身体を温め過ぎてはならない。力仕事をして汗をかき、“陽気”を漏らしてはならない。」と教えています。
文中の「早寝遅起き」は睡眠時間を増やして身体の陽気を養うことが目的であり朝寝坊を勧めるわけではなく、日の出の時間を基準に起きるのが良いといわれています。

 

 どちらも冬は平静に落ち着いて過激なことは慎みましょうということを教えています。

 また冬の寒さは自然界の六淫の一つである「寒邪」となって身体に侵入し、様々な不調を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。寒邪の侵入によって身体が冷やされると、感冒や関節の冷えや痛み、四肢の冷えなどの症状が現れます。
冬は陰陽五行説において「腎」との関係が深く、「腎」は生命維持の根源となる“元気”や“精”が貯蔵されている臓であり、成長や発育、生殖などと深く関わる大変重要な臓器とされているため、大事にすることが必要となります。
 腎の働きが活発であれば生命力も強くなり、元気に冬を乗り切れるのです。
食べ物に関しては、「立冬補冬」という食習慣があり、「補」は食べ物によって体調を補うことを言い、冬の寒い時期に育つ食物を、寒い季節に合った調理方法で食べることが健康な身体を育て、維持し、病気を未然に防ぐ最良の方法としています。

 

【体を温める効果のある食べ物】
生姜・唐辛子・かぶ・かぼちゃ・ねぎ・にんにく・たまねぎ・にんじん・ごぼう・にら・赤身の肉・卵など
季節にあった養生を少しでも実践することで冬を上手に乗り切りましょう。

 

 どうしても難しいという方は漢方薬の力を借りるのも一つの方法です。店頭にてご相談ください。

(ポルタ店店長 佐藤直哉)


昭和堂薬局 | 2014年10月28日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。