東日本大震災で多くの方々が不安な気持ちを強く感じていると思います。
今回の震災で不安の感じ方は人それぞれだと思います。震災を受けた時のその人の心身の状態で違いがあります。落ち込みやすい、すぐイライラするなど感情が不安定な人は不安になりやすいです。では、不安感からどうすれば元に戻れるのか、また不安になりにくくするためにはどうすればよいのでしょうか。
脳の中で、喜んだりうれしいときなどはドーパミンという神経伝達物質が多くなり、怒ったりイライラした時にはノルアドレナリンという神経伝達物質が多くなります。それらを抑制して元の穏やかな状態にするのがセロトニンという神経伝達物質です。セロトニンが少ないと気持ちが元に戻りにくくなります。
人間は、自律神経(交感神経と副交感神経)により体を制御していて、昼間は交感神経が優位になり夜寝ているときは副交感神経が優位になっています。この交感神経を興奮させるのがセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンでこれらをカテコールアミンと言います。カテコールアミンは人間が作ることのできない必須アミノ酸からつくられるものです。特にトリプトファンからつくられるセロトニンが重要です。トリプトファンは乳製品や小麦胚芽、大豆、ごま、鰹節、牛肉などに含まれます。
交感神経と副交感神経がきちんと昼夜で切り替わることが大切です。朝起きて交感神経が優位にならないと頭がボッートしたり集中できなかったりしますし、夜副交感神経が優位にならないとよく眠れません。このスイッチをうまく切り替えるためには、いつも同じ時間に寝ていつも同じ時間に起きるというリズムが重要です。また、朝起きて光を感じ、体を動かすとセロトニンが分泌され、交感神経を優位にします。人間は明るくなって起き、暗くなると寝る生活をしていたために、光を感じることでセロトニンを分泌するのです。
昼間にセロトニンを多く分泌していると、夜になってとセロトニンがメラトニンに変わり眠くなるのです。メラトニンがきちんとあることで副交感神経も優位になり、睡眠の質も良くなります。睡眠の質が良いと疲れがよく取れますし、睡眠中に脳の修復もしてくれるのです。
このように、覚醒している昼間の状態や睡眠の質や量がストレスに強い体をつくるのです。生活のリズムを一定に刻み、適度に体を動かし、質の良いバランスのとれた食事をすることでこの不安な時期を乗り越え健康な体でいられるようにしましょう。