『昭和堂薬局』

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夏の養生法

 日本は島国でもあるため、高温多湿でとても過ごしにくい国です。また近年は地球温暖化でとても蒸し暑い日が続きます。この高温多湿の日本の夏をいかに養生して健康に過ごすかが重要になります。

 

 夏は陽の気が、もっとも強くなる季節です。「木・火・土・金・水」の五行のうち、「火」にあたるのが夏です。熱く、明るく、上へ上へと向かって広がり、燃えさかる「火」のイメージが夏です。人体の中で、「火」を司っているのが、「心」です。東洋医薬学には「心は血脈を司り、神を蔵し、神志を主る」という働きがあります。「心」の働きは血液循環をコントロールしています。同時に、「神」の意味は人間の精神や意識、思考活動、いわば「こころ」をさします。私たちの精神活動のすべては「心」がコントロールしているのです。
 夏の暑さが厳しくなり、陽の気が最大になると、この「心」の働きも亢進し、オーバーヒートしやすくなります。
 私たちの体は、暑くなると汗を出して、体内の熱を逃がし、上手に体温を調節するようになっています。しかし、汗は同時に、血液中の水分とミネラル分も、一緒に排出してしまうため、血液の濃度は高くなり、ドロドロと流れにくい状態になります。汗をかけばかくほど体温は下がって涼しく感じられますが、一方で心臓は、流れにくい血液を全身に運ぶために、フル活動しているわけです。
 「心」がオーバーヒートすると、胸が苦しくなり、脈が早く打つ頻脈になったり、不規則になる不整脈を起こしやすくなります。血液循環も悪くなり、動悸、息切れ、不眠、動脈硬化、ひいては心筋梗塞などの心疾患につながりかねません。

 

夏の「暑邪」と「湿邪」
 東洋医薬学では夏の暑さも病因のひとつと考え、これを「暑(熱)邪」と呼んでいます。「暑(熱)邪」に侵されると、体がほてる、のぼせる、息切れがする、寝つけないなどの熱症状が出現します。汗が多くなって必要な体液やエネルギー(気)も出てしまうため、体力が奪われて非常に消耗し、熱中症などになりやすくなってしまいます。
 日本の夏のもう一つの特徴が高い湿度です。この高い湿度が、さらに私たちの体に悪影響をもたらします。これを「湿邪」といいます。
 夏季は暑さのため、冷たい飲み物や食べ物を摂ることが多くなりますが、これも胃腸にダメージを与える原因です。「胃は湿を嫌い、燥を好む」といわれ、冷たい飲み物は、のど越しはいいものの、胃腸内の湿度を高めて冷やすために働きが弱まり、消化不良、食欲不振、下痢、だるさなどの胃腸障害を起こすことになります。
 湿度の影響は全身にもおよびます。水分の摂り過ぎで余分な水分が体内に滞るために、筋肉や関節が冷えて、むくみやだるさ、痛みを招くのです。とくに汗をかいたあとに冷房で冷えたり、長い時間、手足を冷気にさらしたりすると、とたんに四肢がだるく感じられます。湿気が筋肉や関節にとどまると、筋肉や関節が縮んでしまいこむら返りや関節痛を起こすこともあります。梅雨時などに腰痛を起こしたり、首を寝違えたりする人が多くなるのも「湿邪」の影響です。
 東洋医学の考え方で、夏を健康に過ごすための食べ物は、「体を冷やす」食べ物を取ることよりも、夏は熱がこもりやすいので、「体内の熱を冷ます」食べ物を取りましょうと言うことになります。体内の熱を冷ます食べ物の代表が、「苦味」の食材です。それと苦味には、物を下におろす作用(消化作用)があります。まさに夏の一杯のビールは、その代表と言えます。その他に、苦瓜(ゴーヤ)を中心に、タケノコ、フキ等の山菜類、ゴボウ、魚の内臓、緑茶、紅茶、コーヒー、抹茶、この季節、冷たい抹茶も美味しいです。果物では、グレープフルーツなどがあります。
 ふきのとうやうどのように、まだ肌寒い春先にとれる苦味は、体を温める温性の食材が多いのに対し、夏にとれる苦味の野菜は、寒涼性のものがほとんどです。
 これら苦味のある食物は、強心、消炎、止血、解熱、鎮痛作用があり、体内の熱を冷まして、夏にオーパーヒートしやすい「心」の高ぶりを鎮める効用があります。逆に働きすぎで疲弊した「心」を補い、正常に戻す作用もあるとされます。
 夏の炎暑に苦味のホップが入ったビールが喜ばれ、鹿児島や宮崎、沖縄などの南の地域でゴーヤー料理が郷土食として食べられるのも、暑気を避ける生活の知恵といえるのです。

 

胃腸を冷やす苦味の食材
 体内の熱を冷ます夏にふさわしい苦味の食材ですが、摂りすぎると胃腸を冷やす食害があります。冷え性の人や胃腸の弱い人も摂りすぎには注意が必要です。「胃は湿を嫌い、燥を好む」ため、冷やしすぎは機能の低下を招きます。
 苦味による胃腸の冷えを未然に防ぐため、苦味には温める作用がある辛味の食材を組み合わせるのです。
 しょうが、唐辛子、からし、わさび、ねぎ、しそ。これらスパイスや薬味といわれる食材は、すべて辛味に属します。スパイスの利いたカレーを食べると、顔から汗が出てくるように、辛味成分は体を温めて、体内にこもっている熱気や余分な水分を発散して体温を調節する効果があります。同時に、大腸や呼吸器を活性化させる働きもあるので酷暑のインドで、カレーが常食されるのも、暑さから体を守るための食習慣にほかなりません。たっぷり含まれている辛味が胃腸を温め、食欲を増進し、発汗を促すため、胃腸が疲れやすい夏場にはぴったりです。


昭和堂薬局 | 2022年6月22日

 

不妊治療の保険適応が実施されて2ヶ月が経った

 不妊治療の保険適応が4月から実施され、2か月が経ちました。当店に漢方相談に来ている方達も、それまでの助成金制度で不妊治療を実施していた方達も保険に移行が始まりました。そこで問題になってきているのが、現在行っている治療が保険適応範囲内なのかどうかという問題です。保険適応は範囲が決められています。通院回数や保険適応ができる薬などです。基本的に保険診療の中に自費診療が入ってしまうような混合診療はできませんので、そのようなケースは自費診療になります。一般に効果が認められたもの(スタンダードな治療法)が保険適応になっており、まだ新しい治療法でスタンダードになっていない治療法は保険適応になっていません。しかし、先進医療として子宮内膜検査や子宮内細菌叢の検査などは、保険適応の患者さんでも自費で受けることが可能になっています。

 

 当店のお客様は、スタンダードな治療で保険診療を選択して体外受精した方やスタンダードな治療ではなく自費診療をした方など様々です。(不満を言っている方もいらっしゃいます。)スタンダードな治療でやや不満足なケースでは、漢方や鍼灸で補えるといいのですけど…。

 

 まだ始まったばかりですから、今後その溝が埋まり、多くのお子さんを望んでいるご夫婦が喜んで治療を受けることができるようになるといいなぁと思っています。

 

 しかし、一昔前と比べると格段に進歩したと思いますし、厚生労働省の少子化に対する取り組みは評価に値することだと思います。不妊治療や子育てと仕事の両立支援事業など本気になってきている気がします。

 

 まだまだ満足いく段階には来ていないと思っている方が多いと思いますが、これから、さらに良い方向に向かっていくことを願っています。


昭和堂薬局 | 2022年6月9日

 

コロナによるライフスタイルの変化で増えた「瘀血」

 今、ライフスタイルの変化やストレス過多、自律神経の乱れなどの影響により、気血のめぐりが悪くなり起こる「瘀血」という病態が増えています。そこで、当店でも登場頻度が高くなってきています「冠心逐瘀丹」の

 

 ご紹介とともに、「瘀血」について解説します。
 「瘀血」とは、人体の血液の粘稠性が増したり、巡りが遅緩、停滞したり、固まりとなるなどの状態です。病気の過程に生じた病理産物でありますが、ほかの病気を引き起こすたり不快な症状の原因でもあります。
 瘀血の原因としては気虚(エネルギー不足)、気滞(気の滞り)、血寒(冷え)、血熱(熱)、 血虚(血の不足)、外傷などがあるが、現代人では、瘀血の発症原因や機序は昔より変化してきました。現代人は生活の変化による食生活も乱れなどによる気虚(胃腸虚弱でも起こります)から、生活環境の改善より弊害で冷房などによる冷え、七情(ストレス)の損傷や生活リズムの乱れにより、「瘀血」が生じて疼痛、動悸、めまい、胸 悶、腫瘍などの症状がよく見られるようになっています。

 

 また、コロナ禍での特徴として、会社や学校に行かないことによる運動不足(通勤・通学は意外に体を動かしているのです)、リモートでのデスクワークで体が固まる(オフィスに行っていたときにはトイレに行くにも歩いて体を動かしています)などで、どんどん「瘀血」が増えています。

 

現代人の瘀血の主な原因
ストレス、各種のプレッシャー、慢性的な睡眠不足
食生活の乱れ、食べ過ぎ、酒の飲み過ぎ、喫煙
運動不足(血行不良、筋肉の虚弱、冷え性)
加齢老化(血液の動力不足、動脈硬化、微小循環 障害)

 

瘀血によく見られる症状
顔色暗、めまい、動悸、胸悶、手足のし びれ、舌暗瘀斑
疼痛、肩こり、骨関節の痛み、生理痛
脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化、高血圧、 腫塊腫瘍
脳出血、生理不順で塊がある、皮膚下 の出血

 

 冠心逐瘀丹の主成分である丹参は、優れた活血祛瘀(かっけつきょお)の生薬で、中国などでは注射薬としても使われたりしてます。丹参の他には、紅花、川芎、芍薬も活血します。また、川芎、香附子、木香は理気(気を巡らせる)効果があり、丹参、川芎、芍薬には養血の効果も併せ持っています。
 日本では、「桂枝茯苓丸」が活血薬では有名ですが、この「冠心逐瘀丹」が日本に入ってくることにより幅広く使えるようになったと思います。


昭和堂薬局 | 2022年6月1日

 

ドラッグストアやお医者さんで処方されて飲んでいる方が多い半夏厚朴湯

 我々漢方薬局でも使うことはよくあります。しかし、漢方薬の中でも、やや対症療法的な要素があるのかなぁと思う処方です。

 

 では、どんな時に使うのでしょうか。

 梅核気(ばいかくき)がこの処方の目標です。梅核気とは、咽喉中に何かが詰まったようで、排出もできず、呑むこともできない状態です。(俗に言う「えへん虫」ですね)
どんなことが原因で、梅核気が起こるのでしょう。

 

 処方解説によると、「七情が不暢で肝気が鬱結して疏泄が失調し、気機が停滞し、肺気、胃気が宣降できなくなり、津液の布散が障害されて痰を形成し、痰と滞気が結びついて咽喉で結するため、咽に梗塞感があり嚥下しても喀出してもとれない梅核気が生じる。肺気が宣粛できないので胸苦しい、咳嗽、喘鳴などが、胃気が和降しないので悪心、嘔吐、腹満がみられ、七情不暢による憂鬱、抑鬱などを伴う。」
難しい文章ですが、要はストレスなどで五臓の「肝」がうまく働くなり、気や水を巡らすことが出来ずに、喉のところで気がうっ滞してそこに痰が形成されて起こります。

 半夏厚朴湯は、このうっ滞した気を巡らせ、胃の気を上から下に正常な気の運行にして、痰を取りはぶく方剤です。起こったことを元の状態に戻す方剤なのです。

 

 ここまでお話しすると、ピンとくる方も多いと思います。最初にお話しした、ストレスなどによる「肝」をうまく働かせる方剤が含まれていないのです。(そのことが対症療法的と言ったのです。)その原因の方剤を加えたもので有名な物が、柴朴湯という方剤です。

 

 また、胃腸の不調が関係することがあります。この場合、「肝」系の薬ではよくならないケースです。梅核気以外の症状を考慮して方剤を変えたり、加えたりするといいと思います。

 

 半夏厚朴湯で調子はいいけどやめられない方や半夏厚朴湯では効果がなかった方は、原因を改善するような方剤と組み合わせてみては、いかがでしょうか。


昭和堂薬局 | 2022年5月25日

 

腎臓病が増えている

 腎臓病は、世界で約8億5千万人の人が罹患しており、2040年には死因の第5位に上がると推定されているそうです。腎不全のために透析や移植などを受けている患者は、世界で約260万人いるそうです。そして、透析医療には多大な医療資源などが必要で、持続可能な医療体制の構築が必要なようです。

 

 日本を含む世界的に高齢化社会が叫ばれている今、増える疾患の変わってくることは当然考えられることだと思います。

 

 腎臓病の根本原因はさまざまで、糖尿病性腎臓病、腎炎、高血圧性腎硬化症などがあります。慢性腎臓病の進行は、尿細管とその周囲にある間質領域の障害です。どこの臓器での同様ですが、炎症と線維化が病気を進行させます。

 

 今のところ、腎機能を回復するような薬はありません。これからもしばらくは、進行を抑制する薬の開発になるようです。現在は、最終的には人工透析です。

 

 東洋医学においても、透析に移行したような末期の慢性腎臓病を治すのは難しいですよね。


 東洋医学では、「腎」は成長と発育、生殖を主る臓器です。ですから、「腎」は加齢で衰えていく臓腑なのです。高齢化社会だから腎臓病が増えてるのですね。

 

 このことを踏まえて、初期の段階から補腎や活血薬などの漢方薬を服用し、進行を少しでも抑えるようにすることが大切だと思います。

 

 また、日ごろから生活習慣や即生活に気を付け養生することや養生の一環で補剤の漢方薬を服用していくのも健康を維持していく秘訣かもしれませんね。


昭和堂薬局 | 2022年5月17日

 

鼻茸(はなたけ)とは?

 鼻茸とは、鼻の奥にある副鼻腔の粘膜にできる膨らみのことです。粘膜にキノコが生えるように見えることから「鼻ポリープ」とも呼ばれています。

 

 鼻茸は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やぜんそく(気管支喘息)、アレルギー性鼻炎などと併発します。粘膜が炎症を起こし、そこに腫瘤ができ、進行してどんどん大きくなることで鼻茸になっていきます。

 

 鼻茸が小さいサイズであれば自覚症状が出てこないでしょうが、大きくなると鼻の穴の空気の通り道をふさいでしまい、鼻呼吸がしにくくなります。

 

 呼吸がしにくくなれば、気になって集中力が欠けやすくなり、日常生活に影響が出てくるようであれば、病院で手術をしてとることもできますが再発しやすいです。再発がみられる場合は再手術になることもあります。

 

 鼻茸の治療では、鼻茸の多くはアレルギーが原因で引き起こされるため、治療にはアレルギーを抑えるためのステロイド剤の点鼻薬や内服薬が用いられます。また、副鼻腔炎などの炎症による病気が原因の場合には、それらを改善するための抗生物質や炎症を鎮める作用のある薬が使用されます。

 

 しかし、これらの薬物療法はうまくいかないことも多く、重症な場合には薬のみで治すことは困難です。このため。手術などで鼻茸を切除する治療が必要になることも少なくありません。

 

 そこで、漢方薬の出番です。

 鼻という場所は、「肺」に属しています。合併しているおおもとの病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など)に対する漢方薬は、東洋医学の尺度でそれがどうして起こってしまったのかを検討して処方を決定していくのですが、鼻茸は、元も病気によって鼻粘膜の炎症が「鼻ポリープ」になっています。鼻茸だけを東洋医学で表現すると、血や湿の滞りでできたものです。血の滞りでできたものを「瘀血」と呼び、湿の滞りで起きたものを「痰湿」と呼びます。

 

 漢方の対応としては、元の病気に対する処方と「瘀血」を取りはぶく活血薬の併用です。但し、一般的な活血薬では中々対応できない場合は、破血剤(水蛭など)が必要になります。


昭和堂薬局 | 2022年4月14日

 

不妊の漢方にはコツがある!

 いよいよ、不妊症の保険適用がスタートしています。調剤薬局にはすでに不妊の薬の処方箋が来ているようです。

 

 不妊症の方たちの多くは、不妊症のクリニックで治療を受け、同時に漢方薬局や鍼灸院に行くケースがあります。

 

 中医学では、人によって違いはありますが、生殖を主る「腎」を補います。主に腎陽と腎精を補います。まれに基礎体温が全体に高いケースでは、腎陰も補っていきます。しかし、この際一般的によく知られている「八味地黄丸(腎陽を補う)」や「枸菊地黄丸(腎陰を補う)」では力不足です。

 

 また、仕事(ちょうど働き盛りの年齢)や不妊症から精神的な抑鬱傾向になると、「肝」という臓がうまく働いてくれなくなるので、排卵や月経がスムーズにできなくなってしまいます。これが続いてしまうと「瘀血」という血の滞りが起こってしまい、妊娠しても流産の原因になったりします。

 

 そのほか、女性は毎月月経で気血を経血として出すので、気血の不足を起こしやすく、体質的に脾気虚(胃腸虚弱)だったりする場合は、脾胃を補って気血を十分に作れるようにしていきます。

 

 少し大まかではありますが、こんな事をして妊娠できる体づくりをいていきます。(妊娠率を上げる)
不妊の漢方は、「この処方とこの処方を飲むと妊娠します。」というものではないと思いますし、いろいろな処方を沢山飲めばいいものでもないと思っています。問診して必要最小限から初めて、必要があったら処方を増やす方法を基本に考えています。(漢方薬局によってはたくさんの処方を提案するところもあるようですが…)

 

 また、経験的に足していく順番もあるように感じています。中医学は理論があり、それに従って進めていくと、そこそこうまくいくのですが、その先は経験がものをいう「匙加減」があります。
折角、漢方薬を飲むのですから、自分でネットで調べたり友達がうまくいった物とかではなく、漢方薬局で相談して服用していただいた方がいいのかなあと思います。


昭和堂薬局 | 2022年4月9日

 

いよいよ、4月から不妊治療の保険適応がスタートします

 いよいよ不妊治療の保険適応がスタートします。
 これを機会に不妊治療をはじめる方が多いのではないでしょうか。実際当店店頭でも、不妊治療の保険適応がスタートすることの話題をよく聞くようになってきています。
この機会に不妊治療をはじめる方は、高度不妊治療をすれば妊娠できると思っている方が多いのではないでしょうか。

 

 現在、日本では約15人に1人が体外受精で生まれています。しかし、1回あたりでお子さんを授かるのは20%程度です。そして、初回の体外受精でうまくいかなかったケースは、その後5年間での出生率は49%です。そう考えると高度不妊治療で子供を授かる確率は約60%ということになります。ある報告では、不妊治療のコンプライアンスが十分得られた場合は、妊娠率が15%上昇することが期待できるということです。不安がなく治療を受けることができると妊娠率が上がる可能性があるということになります。

 

 受精・着床・妊娠・出産のメカニズムは、まだわからないことが多くあります。しかし、出生率を上げるためにはメンタル面をケアすることが大切だということです。

 

 中医学においては、生殖を主る臓腑は「腎」です。不妊の中医学的対応は、補腎を中心に考えますが、ストレスによって「肝鬱」という状態にも対応していきます。中医学では、身体のバランスが崩れると妊娠しにくくなると考えるのです。不妊治療中の方が漢方薬を求める方が多いのは、この様な中医学の考え方の基づく、心身のバランスをとることの有用性を感じるからなのでしょうね。

 

 不妊治療が保険適応になることで、高度不妊治療に踏み切った方達は、期待と不安でいっぱいでしょう。これは夫婦で臨むことです。奥さんだけに多くの負担がかかりますが、ご主人もサポートしていかないとうまくいかないことは知っておいていただきたいです。


昭和堂薬局 | 2022年3月29日

 

あなたの瘀血度チェック!

 瘀血とは、血液の流れが悪く、滞りやすくなった状態です。いろいろな病気に繋がりますので注意が必要です。
 あなたの瘀血度は?是非、チェックしてみてください。

 

□頭痛や肩こりがある(5点)
□目の周りにクマがある(6点)
□体の局所にしこりがある(6点)
□あざができやすい(6点)
□決まったところに痛みがある(5点)
□手足のしびれや麻痺がある(3点)
□狭心症の発作を起こしたことがある(6点)
□手足の静脈が浮き出ている。また静脈瘤がある(3点)
□お腹の静脈が浮き出て蛇行している(6点)
□皮膚につやがなく、かさついたり、ざらつく(3点)
□シミが多い(3点)
□便が黒っぽい(6点)
□生理不順または生理痛(6点)
□月経血が黒ずみ、塊が混じる(6点)
□痔になりやすい(4点)
□子宮筋腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣、卵巣嚢腫などがある(5点)
□舌の色が暗く、紫っぽい。また、斑点がある(6点)
□舌の裏側の静脈が浮いて蛇行している(6点)
□唇やはぐきの色が黒っぽい(4点)
□集中力にかける、忘れっぽい(4点)

 

10~18点 軽度
19~30点 中度
31点以上  重度

 

解説
舌や唇、皮膚が紫色を帯びることは、血液がドロドロと汚れている証拠です。頭痛や肩こり、神経痛などの痛みは血行不良によって起こります。痛みしびれは血液供給を絶たれた神経の悲鳴と言えるでしょう。痔や生理痛、静脈瘤なども根本原因は瘀血になります。肛門の血流がうっ滞すれば痔になります。月経血がスムーズに排泄できなければ生理痛が生じます。その他、瘀血は動脈硬化を進行させ、ひどい場合は血管の詰まりの原因となります。


昭和堂薬局 | 2022年3月15日

 

新型コロナウイルス感染症内服薬

 新型コロナウイルス感染症の第6波が訪れて1か月以上がたった今ピークは越えたと言われていますが、実感としてそんな感じはしないのですが…

 

 今回のオミクロン株は、上気道感染が主でそれほど重症化しないはずが、死者の数はこれまでのピークの時よりも多くなっています。今までのウイルス感染症の常識では、下気道感染が主であると死者が増え、上気道感染が主だと重症化や死者の数は減るはずでした。そして、これまでのピークではウイルス性の肺炎で亡くなるケースが多かったのでしょうが、今回は高齢者の2次感染による肺炎や持病の悪化でなくなるケースが多いようです。

 

 今回のオミクロン株は感染力が強いと言われ、実際にこれまでの防御方法(マスク、手の消毒など)では防げないケースもあるようです。この状況では感染を防ぎきれないと思っています。しかし、年末から内服の治療薬が特例承認で許可されたことは、新型コロナウイルス感染症対策としては強力な武器になるはずでした。

 

 この2種類の内服治療薬は、症状が出てから5日以内に服用する必要があります。これがネックになっているのでしょうか?

 

 メルク社が開発したムルヌビラビルは、新型コロナウイルスの複製に関する酵素(RNAポリメラーゼ)を阻害する作用で、ウイルスの増殖を妨げます。また、2月に特例承認されたファイザー社開発のバクスロビドは2種類の抗ウイルス薬の組み合わせで、ニルマトレルビルはウイルス増殖に必要なプロテアーゼを阻害し、リトナビルはニルマトレルビルの代謝を遅らせて作用の持続時間を延長する作用を持っています。
許可された時点での臨床データは、数こそ少ないですが2剤ともプラセボと比較して死者・重傷者を優位に減少しています。

 

 コロナ内服薬が、うまく活用されるようになると医療機関に行かなくても服用できますから、医療機関の負担を軽減できますし、感染者本人を入院などする必要がなくなります。

 

 今後、行政と医療機関との連携をうまくやっていただいて、安心して暮らして行ける日が早く来てほしいと思っています。


昭和堂薬局 | 2022年2月22日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。