『昭和堂薬局』

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妊活のご相談が増えています。

 妊活におけるご相談が増えており、ご相談に来られる方々の年齢の幅も広がっています。
 男性側に問題があるケースで漢方相談に来る方も増えてきています。

 

 約2千年前に記された東洋医学最古の医学書といわれている「黄帝内経」の中の「上古天真論篇」に、東洋医学における男性の生殖能力に関するメカニズムが書かれています。

 以前このコラムで女性についてはお話してさせていただきましたので、今回は男性の身体の変化について述べてみたいと思います。
「男子は八歳になると、腎気が充実しはじめ、毛髪は長くなり、歯が生えかわります。十六歳になると、腎気が旺盛になり、天癸は発育して成熟し、精気が充満して、射精することができ、男女和合して子を産むことができます。二十四歳になると、腎気は充実し、筋骨はしっかりし、智(ち)歯(し)(親知らず)が成長し、身体もまた伸びて最も盛んになります。三十二歳になると、筋肉が強壮となり、肌肉が豊かで逞しくなります。四十歳になると、腎気が衰えだし、頭髪は抜け、歯は痩せて艶がなくなります。四十八歳になると、陽気が上部で衰え、顔面がやつれ、髪ともみあげはごましおの様に色が変わります。五十六歳になると、肝気が衰え、筋脈の活動が自由でなくなり、天癸は竭きて、精気も少なく、腎臓の気が衰え、肉体疲労が極まります。六十四歳になると、歯は抜け、頭髪も落ちてしまいます。人体の中で腎臓は、水液を主り、五臓六腑の精気を受けとって蔵しているものであります。それゆえ五臓が旺盛であってはじめて、腎臓は精気を洩らすことができるのです。

 年老いると五臓がすべて衰え、筋骨はしっかりしていられなくなり、天癸もまた尽きてしまいます。それゆえ髪の色は白くなり、身体は重くなり、歩くのもおぼつかなくなって、もう再び子を産むことができなくなってしまうのです。」(現代語訳黄帝内経素問上巻 東洋学術出版より)

 

 少し難しい部分はあると思いますが、男性は8の倍数で体が変化していきます。(女性は7の倍数でした)男性は女性に比べ少し発育が遅いようです。
 東洋医学において生殖に関わる臓腑の中心は「腎」です。これは男性でも女性でも同じです。上述した男性の8の倍数での変化は、腎の力の満ち引きです。もともと人間は両親の精を授かり生まれます。この精を「先天の精」といい腎に蓄えられています。この精は、食べ物や呼吸により得られる「後天の精」でさらに充実してきます。すると、男性は16歳で、ある一定以上精が充満し、射精できるようになり子供を作れるようになるのです。2千年も前にここまでしっかり書かれていることは驚きです。

 

 冒頭でも述べましたが、子宝相談の年齢の幅が広がり、若い方も多くご来店されています。以前と比較すると若い方が増えている印象です。近年の不妊の原因は晩婚化による妊娠希望者の高齢化といわれていましたが、どうやらそれだけではないようです。
 そもそも、夫婦が性交しなければ普通妊娠はしません。当たり前ですが…。性交することは人間の本能で、ある一定の年齢層では性欲はあることが普通です。しかし、子宝相談に来る方達の中にはタイミングの時以外ほとんど性交していないケースが多いように感じます。

 

 これらを総合して考えると、精が旺盛である筈の年齢でも精が不足しているということです。ご両親からの先天の精の不足か、食べ物などから受ける後天の精の不足または何らかの原因で精を消耗してしまったのかの何れかです。

 

 日本人は島国育ちで元々胃腸が弱く後天の精が不足しやすいためか、欧米人に比べ性交回数は少ないという報告があります。

 

 妊活をお考えのご夫婦は、もう一度自分たちの食生活などを見直していただいて、それをベースに漢方で腎を中心に補っていくことが必要だと思われます。


昭和堂薬局 | 2019年11月2日

 

体内時計と不妊

 エジソンの白熱電球の発明によって世界に24時間社会がやってきました。しかしこの発明の前まで人間は長い間、日が沈み眠り、日が昇ると起きるという生活をしてきました。人間は24時間の周期で生活するように出来ているのです。

 

 人は地球上で生きていくために、地球の自転によって作られた環境の変化に順応し生きていく必要があったため、人間の体は体内時計というものを持っています。

 

 中医学最古の医学書といわれている「黄帝内経」には、地球の自転により起こる季節の変化や日照時間の変化などを考慮した養生法を教えてくれています。しかし、現代社会では24時間眠らない社会を支えるため、3交代制勤務などで働く方がおよそ2割いらっしゃいます。

 

 そのシフトワークで働く方たちの健康問題が提起されています。世界中の疫学研究の結果から、睡眠障害や胃腸障害、肥満、糖尿病、高血圧、心血管疾患、悪性腫瘍、うつなど様々な病気のリスクが上昇することがわかってきています。また、生理不順や不妊に対するリスクも判明してきています。

 

 世界で現在行われている24時間社会をやめることは不可能です。では、このシフトワークに従事する人達の健康問題はどうなるのでしょうか。

 

 近年、世界の研究者がサーカディアンリズムを研究し、この問題に取り組んでいます。

 

 実際、我々の薬局に相談に訪れる人の多くは、シフト制勤務や平日と週末の生活リズムの違う方がいらっしゃいます。動物実験などで示されているように、年齢が若いうちはそれほど体に影響は現れないようですが、加齢によって具体的な体調として現れるようになり、女性では生理周期や生殖系の疾患(子宮筋腫や内膜症、多のう胞性卵巣など)が見られるようになります。

 

 それでは、どうすればいいのでしょうか

 

 生活のリズムを変えることが可能であればよいのでしょうが、なかなかそうはいきません。中医学では夜の時間を陰の時間と考えます。そして寝ている時間に陰の構成要素である「血」を作っています。特に陰の性質があり、生理などで血を消耗する女性は、本来この陰の時間に眠り「血」を作る必要があります。

 

 これらのことから、生活リズムが自分の意志に反して不規則の方は、補血の漢方薬を常日頃からの養生として飲んでおくといいかもしれません。(既に体調に変化を来している場合はこれだけでは足りないかもしれません)

 

 妊活で漢方服用している人が、寝る時間を増やす事で妊娠に成功するケースもあるんですよ。


昭和堂薬局 | 2019年2月5日

 

新年あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年も皆様のご要望にお応えし、いっそう精励したす所存でございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 

 もう初詣には行かれましたか?
妊活をされているご夫婦には、子宝祈願に行くなら、京急川崎大師駅からすぐの「金山神社」がお勧めです。若宮八幡宮境内にある神社で、「かなまら様」と俗称があるほど子宝神社では有名なところです。4月には「かなまら祭り」が行われています。


 神奈川県内でその他有名な神社は「子之神社」があります。東京は「水天宮」「日枝神社」が有名です。

 

 また、「鶴岡八幡宮」には、政子石という子授け・夫婦円満のご利益がある祈願石があり、頼朝が政子の安産を祈ったとされ、姫石ともいうそうです。


 初詣と一緒に足を延ばしてみては如何ですか。


昭和堂薬局 | 2019年1月2日

 

自閉症リスク ~備えあれば患(憂)いなし~

 初婚年齢の上昇に伴い、結婚する際の平均年齢も上昇しているため、不妊症や高齢出産が年々増加傾向にある中で子供の発達障害が健康ニュースなどで取り上げられることが多くなり、不安に感じている方も多くいらっしゃると思います。そんな中、基礎医学の世界において「神経免疫学」の分野が盛んに研究され、自閉症についても少しずつ解明が進んできています。

 

 自閉スペクトラム症(ASD)は、先天性の小児発達障害です。その患児数は年々増加して、今や1%を超える率となっています。現在の治療法は、対症療法が中心で根本的な治療法はまだありません。

 

 病因について、遺伝子要因と母体環境要因が考えられています。遺伝子要因に関しては、ゲノム解析により変異や重複、欠損などが複数の遺伝子で見いだされてはいるものの、その全容を説明できるに至っていないのが現状です。しかし、神経回路に関する遺伝子に異常が多くみられることから、神経回路の機能不全の高次機能障害であると考えられています。

 

 母体環境要因としては、妊娠期のウイルス感染やある種の薬物による免疫機能亢進が挙げられます。これまでの臨床的知見から、ASDはアトピーや気管支喘息、過敏性腸症候群などアレルギー疾患を併発していることが多いことがわかっています。このことから病因には脳神経回路の異常と共に免疫系の異常も関わっていると考えられます。

 

 詳細は割愛しますが、簡略に説明すると、妊娠中のウイルス感染などで母体の免疫活性が亢進し、免疫細胞であるTh17細胞が活性化し、IL-17aという炎症性サイトカインの発現が亢進して、このサイトカインが胎盤を通過し、胎児の体内まで運ばれ発達過程の脳に影響を及ぼすことがわかってきました。
ASDの病因・病態が明らかに成ってきたことで、予防や治療法の開発が始まっています。しかし、薬ができるのはまだまだ先のことになるでしょう。

 

 私たちが普段からできることは、腸内細菌叢依存的に起こる免疫の過剰亢進を起こさないように、妊娠前から腸内細菌叢を良性菌優位な健康な状態に保つこと、感染を予防し炎症反応を起こさないようにすることです。専門家もASDの予防・治療効果の観点から、プレ・プロバイオティクスが期待できると述べています。
正に備えあれば患いなしです。


昭和堂薬局 | 2018年12月18日

 

産後うつについて

 9月19日のコラムでお話しした「産後うつ」について、現在までわかっていることをお話したいと思います。

 

 出産後1年未満に亡くなられた方の内訳をみると半数近くが自死によるものであり、専門家は産後うつが関係しているとの報道がなされました。現在、産後うつに対して選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などの標準的な抗うつ剤が処方されていますが、産後うつの場合、神経伝達物質のセロトニンの関与は少ないと言われています。

 

 妊娠すると生殖系のホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが上昇します。また、プロゲステロンの代謝物であるアロプレグナロンというホルモンの脳内レベルも上昇します。このアロプレグナロンは、抑制系の神経科学物質GABAの受容体を活性化します。しかし、妊娠中はアロプレグナロンによるGABA受容体の過剰活性化を避けるため、GABA受容体は休眠しています。

 

 産後、エストロゲン、プロゲステロン、アロプレグナロンは直ちに正常に戻ります。通常GABA受容体の活性も同様な回復をみせるのですが、産後うつになられる方はGABA受容体の活性回復に時間を要し、そのことが発症を引き起こすと言われています。ただし、それのみが原因となっているのかは今のところ判明しておりません。

 

 最近、このアロプレグナロンのレベルを下げることでGABA受容体を活性化し、健全なレベルを保つ新薬の臨床試験が海外で始まっています。現在までの結果は有望のようです。
しかし、この新薬の普及にはまだ時間がかかると思われます。どの程度効果があるのかも、まだわかりません。(そして、副作用の問題も…)

 

 中医学的には妊娠・出産・授乳は全身の血を消耗します。また、出産時に出血や体力の消耗により気血をさらに消耗し、心血が不足することで不安感が増し、産後うつを引き起こす原因になります。

 

 このようなことを防ぐために、陰血を妊娠中から補い、産後すこし変だと感じたら心血を補う漢方などを服用するのがお勧めです。


昭和堂薬局 | 2018年12月11日

 

子宮内膜症と不妊

 不妊に悩む女性の多くで子宮内膜症を患っている方がいらっしゃいます。子宮内膜症があると何故不妊症になってしまう方が多いのでしょうか?
 最近、少しずつその原因がわかってきました。

 

 子宮内膜症があると、子宮への卵子の移動を妨げ、また子宮内膜症で生じた炎症によって卵胞の質や量を低下させることがあるようです。また、炎症によって生じた炎症性サイトカインの影響で、卵管を通る精子の運動性が低下し、卵子や胚が傷つくこともあるようです。

 

 ホルモンの分泌や感受性にも問題が生じてきます。通常、排卵後子宮壁のエストロゲン受容体が減って着床の準備をします。そしてプロゲステロンが増えて子宮は着床に備えます。しかし、子宮内膜症があるとプロゲステロン抵抗性になり、着床しにくくなってたり、早産や流産のリスクを高めたりします。

 

 更に子宮には細菌叢がありますが、この細菌叢のバランスが乱れます。多くの女性は乳酸菌が優位で、これが着床や胚の成長を助けていると考えられています。推測の段階ですが、炎症によって乳酸菌が減ってしまうことにより細菌叢のバランスが崩れているため不妊になっている可能性もあるようです。

 

 といっても、悪い話ばかりではなく子宮内膜症の方の体外受精の成功率は高いようで、妊娠中はホルモンバランスが変わり症状も軽くなります。

 

 子宮内膜症の原因は現在もわかっていません。有力な説は「逆行性月経」です。それは月経時に子宮由来の細胞を含む経血が卵管を逆流するという現象があり、通常は免疫系の細胞によって排除されるものが、何らかの原因により骨盤内臓器や腹腔内に付着したりするというものです。

 

 また、子宮内膜症の治療も確立したものはなく、唯一可能性があるものは外科的な除去だけです。

 

 前回のコラムで中医学的な子宮内膜症のとらえ方をお話ししています。参考にしてみてください。


昭和堂薬局 | 2018年12月3日

 

相談数が多い子宮筋腫、卵巣嚢腫と中医学

 中医学では、腹部腫瘤のすべてを癥瘕(ちょうか)と呼ばれています。その癥瘕には、西洋医学でいう子宮筋腫、子宮内膜症、骨盤内炎症性腫瘤、卵巣嚢腫などが該当します。

 

 癥とは、征(触れることができる)であり形があり堅硬で移動性がないものです。瘕とは、假(はっきりと触れない)であり、形が聚まったり散らばったりするものです。大雑把にいうと癥は血が集まったもので、瘕は気が集まったものと解釈しますが、臨床的には明確に区別ができないので癥瘕として扱い、問診で判断していきます。多くのケースは両方があると判断することが多いと思います。

 

 19世紀後半から上海で活躍した三大大家のうちの一人、朱氏婦人科の書籍では、病因を4つに分けています。
① 産後に風寒を感受したもの
② 月経時に寒邪が入ったもの
③ 寒湿を下焦に感受したもの
④ 産後や月経時に、食事の不摂生や気候の変調があった物
以上の原因から血脈が渋り、経絡が滞り、トンネルが塞がったのであると述べています。

 

 また、中医学の多くの古典でも寒邪の影響だと述べていますが、実際には寒邪の影響と判断されることは、それ程多くないように感じます。

 

 処方的には活血理気薬を中心に使用しますが、形を伴うものであるために破血消瘀薬が必要なケースも多くあります。また、子宮筋腫など腫瘤を消失させることはなかなか難しいことです。一般的には閉経後、筋腫や内膜症などの腫瘤は自然萎縮することが多いようです。

 

 しかし、妊娠希望のケースは月経を整えながら同時に筋腫や嚢腫が邪魔をしないように考慮していきます。


昭和堂薬局 | 2018年11月26日

 

ストレスと不妊

 妊娠を希望する女性にとってストレスが良くないことは皆さん何となく理解していると思います。

一方で現代はストレス社会といわれています。実際ストレスがない人がいるのでしょうか?

ストレスは多種多様なもので、気温が高く暑いと感じたりすることもストレスとなりえます。人によって物事の感じ方や捉え方は様々で、そのストレスによって「ストレス反応」が出るものを、ストレスと呼びます。

 

 ストレス反応が起こると、副腎から副腎皮質ホルモンの一つであるコルチゾールというホルモンが分泌されます。このホルモンを「ストレスホルモン」と呼んでいます。 このコルチゾールの分泌は、脳の下垂体から放出される副腎皮質を刺激するホルモン「副腎皮質刺激ホルモン」によって調節されます。そして、この「副腎皮質刺激ホルモン」は、さらに下垂体の上位にある視床下部から放出される「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン」によって調節されています。(「視床下部-下垂体―副腎」)

 

 このホルモンの流れ「視床下部―下垂体―副腎」が、女性の生殖器のホルモンの流れ「視床下部―下垂体―卵巣」に影響しているのです。

 

 では、中医学のストレスによる不妊はどうなっているのでしょうか 古書によると、感情が舒暢(じょよう:心をのびのびさせること)されないと肝気が条達(伸びやか)できなくなり、気血の調和が乱れると、衝任(月経に関わる経絡)は互いに滋養できなくなって不妊となる。肝気の鬱滞により血行がスムースでなくなると、月経前に乳房が脹り、月経量が少なくなり、黯色で血塊が混じる。肝鬱のために感情が抑鬱され、鬱が火へ変化すると煩燥して怒りやすくなる。疏泄機能が失調すると月経周期が前後して不安定となる、とされています。

 

 少し難しくなってしまいましたが、精神的ストレスがあると肝がうまく働けず、肝は女性の発育や生殖にかかわりがあり、不妊となってしまうのです。 治療そのものがストレスとなっている場合もあります。 そのような場合、漢方薬を治療の手助けの一端として使用してみてはいかがでしょうか。


昭和堂薬局 | 2018年10月29日

 

出産後1年未満の女性の死因について

 2016年までの2年間で、産後1年までに自殺した妊産婦は全国で少なくとも102人いたと、厚生労働省研究班が5日発表しました。全国規模のこうした調査は初めて。この期間の妊産婦の死因では、がんや心疾患などを上回り、自殺が最も多かったそうです。
 妊産婦は子育てへの不安や生活環境の変化から、精神的に不安定になりやすいとされています。研究班は「産後うつ」などメンタルヘルスの悪化で自殺に至るケースも多いとみて、産科施設や行政の連携といった支援の重要性を指摘しています。

 

 性差医学では、うつ病の有病率は男性の1.5~3倍といわれています。年齢別でみていくと高齢になると男女差が顕著になります。また、マタニティハラスメントや保育園待機児童などの問題も女性が受ける影響です。
メンタルと性差に関しては古くから言われていて、「ヒステリー」という言葉の語源は古代ギリシャ語のhstera(子宮)だそうです。また、妊娠・出産という心身に負担のかかることを経ていることや性差医学の結果からもホルモンの変化が関係している可能性を示唆しています。

 

 東洋医学的に見ていくと、妊娠・出産・授乳により“血”が不足して“心”に血を送れなくなり不安や不眠を招いてしまったことと、生殖にかかわっている“腎”に負担がかかり“心”をコントロールできなくなった可能性があります。
 妊娠中から“血”を補うような漢方薬を飲んでおくと、このようなことが防げます。また、この傾向が出てきてしまった場合には、原因である心血を補い、心を安定させる安心薬が入った処方を中心に服用していくといいと思います。


昭和堂薬局 | 2018年9月19日

 

妊娠の不思議 その2

 科学や画像解析、遺伝子検査などの技術が発達した現在でも、人間の身体はわかっていないことが多くあります。特に生殖系に関しては人権や倫理の問題もあり、よくわかっていないことが多いのです。そこで今回も妊娠の不思議についてお話ししてまいります。

 

 最近、腸内細菌と病気の関係が、様々なところで報告されています。その中でも妊娠・出産による腸内細菌叢の変化について、現在言われていることをお話ししたいと思います。

 

 一般的に、腸内細菌叢の構成異常により微弱な炎症(慢性炎症)が発生、この慢性炎症により体重増加をきたし糖尿病などのリスクが増大していきます。
 しかし、この腸内細菌叢の構成異常が正常な妊婦さんでも起こっていることがわかってきました。妊婦さんにとっての腸内細菌の変化は必要なことであり、正常な妊娠経過や胎児の成長に貢献していると考えられています。

 

 このような妊娠という環境の変化に加え、妊娠中の食事(高脂肪食など)や抗菌剤・抗生物質の使用により母体や胎児の腸内細菌叢がさらに変化することで、炎症が関係する流産や早産の原因になったり、生まれてくる子供の免疫機能にも影響を及ぼし、アレルギーをはじめとする各種の疾患を併発する可能性があります。

 

 これらの結果から、妊婦さんや妊娠を希望している方々は、食事のバランスに気を付けて腸内環境を良い状態を保っている必要があります。自閉症と妊娠時の母体の腸内細菌叢についての報告もされているようです。
 食事のバランスをとる心がけは必要で、特に高脂肪食は腸内細菌叢の構成に乱れを起こすと考えられています。
 わからないことが多い人間の身体です。できることから始めていきましょう。


昭和堂薬局 | 2018年4月26日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。