『昭和堂薬局』

更年期障害

更年期障害

 更年期は、閉経前後10年間を挿します。更年期は、女性であれば誰でもが通れなければならない期間で、全く症状が出ない人もいれば、ものすごく具合の悪くなる人もいます。
 中国では、養生が浸透しているため、この時期になると漢方やお茶などで養生をする人が多いそうですが、日本では、まだ、養生という概念が浸透していないため、症状が出始めてからあわてる人が多いようです。
 更年期障害は、多彩な症状を表しますが、漢方の尺度でどのような所(おもに臓腑)から症状があらわれているかを調べ、それに対応した漢方薬と共に、食や生活習慣を見直すことが大切です。

原因

更年期(40代半ば~50代後半:閉経前後)に突入すると、卵巣の機能が衰え始め、それによって女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌量が減り、ホルモンバランスが崩れることが更年期障害の一番大きな原因です。このエストロゲンは女性には不可欠なホルモンで、女性らしさの保持・妊娠・精神安定・骨の健康維持などといったとても重要な役割をしています。さらに、ストレス・食生活の乱れ・運動不足など様々な外的要因が加わって、体調の変化があらわれるのです。

東洋医学で更年期に起きる様々な症状は、『腎』の機能の低下が基礎にあると考えます。東洋医学における『腎』とは、西洋医学の尿の排泄機能だけでなく、生殖・発育機能も持ち合わせています。東洋医学での『腎』は、女性では7歳・14歳・21歳・・・・というように7の倍数ごとに機能が発達し、28歳をピークににその後は衰えていきます。更年期における腎機能の衰えるスピードの違いが、更年期の体調の変化の違いとなって現れてくるのです。  西洋医学的に見たホルモン分泌の減少も、東洋医学的に見た腎機能の衰えから現れるものだと考えることができます。

主な症状

 ○のぼせ(ホットフラッシュ)や足腰の冷え、いわゆる『冷えのぼせ』がある。
 ○汗をかきやすい。
 ○寝つきが悪く眠りが浅い。
 ○情緒不安定(イライラ感・憂うつ)である。
 ○肩こり・腰痛がある。
 ○めまい・耳鳴り・頭痛などがある。


治療法

現在、更年期障害の治療法として一般的なのは、ホルモン補充療法および漢方療法です。
◎ホルモン補充療法
更年期障害は、女性ホルモンの分泌が急激に減少したり、不安定になって起こります。そこで、ホルモンの減少がなだらかになるように、飲み薬や注射剤などで外部からホルモンを補い、体が無理なくホルモンの減少についていけるようにする治療法です。
ホルモン補充療法は、いわゆる不定愁訴、不眠やうつなどの精神神経症状などに効果を発揮します。その他、肌が艶やかになり、骨粗鬆症や動脈硬化の予防効果もあります。

病院で行われるホルモン補充療法には以下のようなことが懸念されます。
  ・子宮がんや乳がんの発がん率が高まる可能性がある。
  ・子宮筋腫や子宮内膜症など女性ホルモンの影響で起こる病気の既往者には、その再発の危険がある。
  ・いわゆる『やめどき』が難しい。

最近では、更年期障害のホルモン療法として注目されているのが、からだに優しく安全な植物由来の天然ホルモン補充療法です。

◎『腎』の機能を補うことを中心とした漢方療法
ホルモン療法では分泌が減少してきたホルモン(エストロゲン)を補うことで、不快な症状を抑えるといったものでした。しかし、人間の体は、体内で不足しているものを外から補われると、ますますその物質の分泌をやめていってしまう性質を持っています。ここが、ホルモン療法の大きな欠点とも言えるかもしれません。
漢方療法では、衰えてきている腎の機能を助けてあげることで、腎自体が正常な働きをするようになり、更年期以降の第2の人生も健康で快適なものとなるのです。
漢方療法は単に減少してきているホルモン量に焦点をあてるのではなく、腎機能を補うことを中心にして、その他の体内の諸問題を解決していくことで症状の原因を取り除いていきます。
同じ更年期障害でも、人によって出てくる症状・程度・タイミング・きっかけなどはさまざまです。漢方療法は、それらの違いを細かく分析することで、その方に合った治療を進めていくことができます。

※更年期障害で漢方薬を使われる方へ
更年期障害は人によって出てくる症状・程度・タイミング・きっかけなどが違います。ということは、人によって使う薬、またその量も違うということです。無理なく安全かつ効果的に漢方療法を進めるために、是非ご相談してください。

◎更年期を快適に過ごすための生活スタイル
更年期には、子供の独立や結婚、親の介護といった環境の変化、また、家庭内や職場などでのストレスが重なる時期でもあります。これらも更年期障害の症状を引き起こしたり、悪化させたりする原因となります。そこで、更年期を快適に過ごすためには、薬物療法だけでなく、生活スタイルへの配慮も非常に重要となります。その例をいくつかあげてみましょう。
  ☆栄養バランスに気を配った食事をとる
  ☆ウォーキングやジョギングなどで適度な運動をする
  ☆心の落ち着く趣味(音楽・読書・芸術など)を見つける
  ☆夫婦や家族との会話を大切にする

最後に…

ご家族や友達の方が、じっくり話を聞いてあげると、気持ちが楽になり、更年期症状が緩和されることも多いので、特にご家族の方は、会話をできるだけ多く持つよう心掛けてください。


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