厚生労働省の研究班(代表・三浦克之滋賀医科大教授)の調査で、魚介類由来の脂肪酸摂取が多い人ほど長期間の循環器疾患死亡リスクが低いことがあきらかになり、欧州動脈硬化学会誌「Atherosclerosis」2 月号に掲載されることになりました。
発表されたプレスリリースの一部をご紹介します。
対象者は,無作為抽出された日本全国300 地区の一般住民を対象として1980年に実施された国民栄養調査に参加した30 歳以上の成人男女のうち,脳卒中や心筋梗塞等の既往歴のある者などを除外した9,190 人(男性4,028 人,女性5,162人,平均年齢50.0 歳)で、1980 年から2004 年まで24 年間追跡した。
24 年の追跡期間中,879 人が循環器疾患(脳卒中または心臓病)で死亡した。魚介類に多く含まれる長鎖n-3 系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)脂肪酸の合計摂取量で4 群に分けたところ,最も少ない群の摂取量は1 日0.42g (さんま1/4 尾程度に相当),最も多い群で1 日1.72g (さんま1 尾弱に相当)) であった。性別,年齢,食塩など他の栄養素摂取量などの交絡因子を調整した循環器疾患死亡リスクは,摂取量の最も少ない群を基準としたところ,最も多い群で20%低く(ハザード比0.80 (95%信頼区間0.66-0.96)),魚介類由来の脂肪酸摂取量が多いほど統計学的に有意に低くなった(傾向性の検定p=0.038)。1980 年時点の年齢で30-59 歳と60 歳以上に分けて分析した結果,30-59 歳の者において魚介類由来脂肪酸摂取量と循環器疾患死亡リスク,脳卒中死亡リスクとの関連をより強く認めた。
今回のコホート研究では循環器疾患についてですが、糖尿病やがん、アレルギーなどにもこのオメガ3系脂肪酸摂取は関わっています。現在の日本人の食生活は、オメガ3系不飽和脂肪酸と対極にあるオメガ6系不飽和脂肪酸の摂取が多いことが問題にされています。さらに日本ではトランス脂肪酸の規制がなく、このことも体に大きく関係します。特に今の若い年齢層はジャンクフードなどの摂取が多いことで、アレルギーなども多くなっています。
食事を変えるだけで病気のリスクを改善できるのですから、少し意識してみるといいと思います。
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