『昭和堂薬局』

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生体バリア ~生体バリアを支える腸上皮細胞~

 私たちの体は筒状になっており、それを覆う体表面は外側が皮膚そして内側が粘膜で構成されています。そして、その皮膚や粘膜は外からの異物や病原体から身を守る防御機構を備えています。皮膚や粘膜の上皮細胞は、物理・科学的バリアであり、免疫と連動して生体防護に関わっています。また、この生体バリアは外敵から身を守るだけでなく、そこで共存している微生物との共生関係を構築しています。その共生関係が壊れることにより、様々な疾患とのかかわりが報告されています。

 

 腸管上皮細胞は、食事などと共に侵入してくる細菌やウイルスなどによる感染から身を守るためのバリア機能を備えています。強固な細胞間接着によって形成されるタイトジャンクションは微生物の細胞間の通過をブロックし、腸管上皮を構成する各種腸管上皮細胞はそれらの様々な機能によって生体防御をしています。また、腸管上皮細胞は外来生物を認識する受容体を持ち、抗菌ペプチドやサイトカインの産生を誘導し、免疫細胞にも作用することにより生体防御に貢献しています。

 

 腸管上皮細胞には、吸収上皮細胞、胚細胞、パネート細胞、M細胞、タフト細胞、腸内分泌細胞の計6種類の分布が確認されています。これらの細胞は腸陰窩部に分布する腸上皮幹細胞から分化します。

 

 少し難しくなってしまいましたが、以上の様に腸上皮細胞は非常に重要な場所です。この生体バリアを正常に機能するようにしていかないと疾患が起きやすい状態になります。この腸内環境を維持し上皮細胞がうまく働くようにするために私たちができることは食事と生活習慣です。食事はお腹を満たせればいいものではないんですよ。


昭和堂薬局 | 2017年6月19日

 

年々増えるアレルギー

 日本人の多くが罹っている病気の一つにアレルギー疾患があります。食物アレルギーなどは、原因であるアレルゲンを回避する生活をしていくために家族を含めた日常生活に負担がかかります。これらのアレルギー疾患に脂質(油)が関係していることが示唆され、食事から摂取する脂質の質の改善がアレルギーを抑制する可能性があることから多くの研究がされています。

 

 我々の食事には、「目に見える油」に関しては認識しやすいと思いますし、摂取する油の質を変えることもできると思いますが、今の日本の食には「目に見えない油」が加工食品や原料に含まれているため、知らず知らずに油を摂っていることがあります。

 

 脂肪酸は基本骨格に炭素が並んだ構造を持っていますが、炭素が16以上のものは長鎖脂肪酸とよばれ、更に炭素間の二重結合のあるなしで不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸のうち人間が合成できないため食事を通じて摂取しなければならないものを必須脂肪酸と呼びます。必須脂肪酸の中でも炭素鎖末端から3番目に二重結合があるものをω3脂肪酸といい、ないものをω6脂肪酸と呼ばれます。ω3脂肪酸はα-リノレン酸として亜麻仁油などに、ω6脂肪酸はリノール酸として大豆油やコーン油などに含まれます。

 

 これら脂肪酸は、α-リノレン酸はエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサペンタエン酸へ、リノール酸はアラキドン酸へ代謝されます。その後、各酵素によってさまざまな脂質代謝物に変換され、その多くは生理活性をもつ脂質メディエーターとして働きます。この脂質メディエーターはアレルギー疾患の制御に関係していることが報告されています。

 

 ω3脂肪酸から産生される脂質メディエーターはアレルギー疾患の炎症抑制に、ω6脂肪酸から産生される脂質メディエーターは炎症促進の誘導に関与するという報告がされています。

 

 食べている油の質がアレルギー疾患の制御に関係していることが解ってきました。油を変えただけでアレルギー疾患が治るわけではないと思いますが、炎症を促進する油ばかりを摂っていると悪化の原因になる可能性は大いにあります。

 

 アレルギー疾患が少しでも楽になるように油を変えてみませんか。
アレルギー疾患以外にも炎症が関係する疾患は多くあります。(もしかすると、全疾患炎症が関係している可能性もあります。)病気の予防に油の質の見直しをしてみるのは重要です。


昭和堂薬局 | 2017年6月2日


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