科学や画像解析、遺伝子検査などの技術が発達した現在でも、人間の身体はわかっていないことが多くあります。特に生殖系に関しては人権や倫理の問題もあり、よくわかっていないことが多いのです。そこで今回も妊娠の不思議についてお話ししてまいります。
最近、腸内細菌と病気の関係が、様々なところで報告されています。その中でも妊娠・出産による腸内細菌叢の変化について、現在言われていることをお話ししたいと思います。
一般的に、腸内細菌叢の構成異常により微弱な炎症(慢性炎症)が発生、この慢性炎症により体重増加をきたし糖尿病などのリスクが増大していきます。
しかし、この腸内細菌叢の構成異常が正常な妊婦さんでも起こっていることがわかってきました。妊婦さんにとっての腸内細菌の変化は必要なことであり、正常な妊娠経過や胎児の成長に貢献していると考えられています。
このような妊娠という環境の変化に加え、妊娠中の食事(高脂肪食など)や抗菌剤・抗生物質の使用により母体や胎児の腸内細菌叢がさらに変化することで、炎症が関係する流産や早産の原因になったり、生まれてくる子供の免疫機能にも影響を及ぼし、アレルギーをはじめとする各種の疾患を併発する可能性があります。
これらの結果から、妊婦さんや妊娠を希望している方々は、食事のバランスに気を付けて腸内環境を良い状態を保っている必要があります。自閉症と妊娠時の母体の腸内細菌叢についての報告もされているようです。
食事のバランスをとる心がけは必要で、特に高脂肪食は腸内細菌叢の構成に乱れを起こすと考えられています。
わからないことが多い人間の身体です。できることから始めていきましょう。