妊娠については、謎が多いものの、妊娠についての構造や基本的な発達段階はわかってきています。受精から1週間以内に「栄養膜細胞」という特殊な細胞が胚の表面に現れます。この細胞が胚の存在を母体に知らせ、子宮壁に穴を開け、子宮に入り込みます。子宮に入り込んだ後、この栄養膜細胞は急速に分裂し、放射状に突起を伸ばしていきます。その後、栄養膜細胞から構成される「細胞性栄養膜」の上に融合した細胞層(合胞体性栄養膜)が重なり、これが胎盤の表面になります。胎盤は最終的に、分岐構造によって子宮にくっついた円盤状になります。これらの分岐は受精後2~3週間で支持細胞と血管によって満たされ始め、その後成熟して絨毛膜絨毛と呼ばれる構造になります。
妊娠が順調に進むかどうかは、母体と胎児の境界部分の活動にかかっています。この境界部分が母体から胎児へ酸素、栄養、体液を供給しますが、それが適切に発達して機能するには、胎盤の細胞と子宮、更に母体の免疫系の協調が必要です。
胎盤の発達と機能の詳細はまだ不明な部分が多くあります。大きな謎は、何が分娩を引き起こすのかという疑問です。分娩の時期が来ると休止状態にあった子宮筋が、大きな力で収縮して赤ちゃんと胎盤を押し出します。その時までしっかり子宮とその血管にしっかり結合していた胎盤がどのようにして分離するのだろうか?また、胎盤は通常病原体や毒素をブロックしているのに、いくつかのウイルスや炎症性物質は胎盤を通過し、胎児に達し異常を引き起こすのだろうか?
まだまだ、不思議なことが多い妊娠ではありますが、もしかすると、母体の環境が大きく関係している可能性もあります。妊娠前から、血流を良くしておくこと、腸内環境を良くしておくこと、食生活などは見直しておくことが必要なのでしょうね。