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新型コロナウイルス感染症の症状

 新型コロナウイルス感染症の潜伏期は14日以内です。多くの症例はおおむね5日で発症します。発熱、呼吸器症状(咳嗽、咽頭痛)、頭痛、倦怠感などの症状がみられます。鼻汁や鼻閉の頻度は低いと考えられています。下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は10%未満で、SARSやMERSより少ないと考えられています。臨床症状はインフルエンザや感冒に似ていますが、一部に臭覚・味覚異常を訴える人が存在します。この感染症の典型的なのは、その経過で、一部の症例は7日目前後から呼吸器症状が悪化し、さらに重症化すると10日目以降に集中治療室という経過をたどります。

 

 重症化のリスクファクターとして高齢者、基礎疾患(心血管疾患、心不全、不整脈、糖尿病、悪性腫瘍、慢性呼吸器疾患など)が知られています。また、40歳代までの重症化は少なく、50歳代から年齢が高くなるに従って致命率も高くなっていきます。2020年10月時点で、日本での致命率は60歳代で2.3%、70歳代で7.2%、80歳代で17.5%となっています。

 

 新型コロナウイルス感染症から回復しても、60日経過で臭覚障害(19.4%)、呼吸苦(17.5%)だるさ(15.9%)、咳(7.9%)、味覚障害(4.8%)があり、120日経っても、呼吸苦(11.1%)、臭覚障害(9.7%)、だるさ(9.5%)、咳(6.3%)、味覚障害(1.7%)で、急性期にはなかった脱毛が24%でみられました。

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体(IgM、IgG)は発症から2週間で約9割、3週間経過するとほとんどの方で検出されます。しかし、この抗体は発症から数か月で減衰することが報告されています。一度抗体が陽性になっても長期的には陰転化する可能性があります。軽症例よりも中等症・重症が、抗体価が高くなりやすい傾向ですが、長期的には減衰すると考えられています。

 

 日本でもワクチン接種が始まりましたが、まだ、この新型コロナ感染症による不自由な生活はしばらく続くと思われます。自分たちを、新型コロナ(SARS-CoV-2)などから守りながら快適な生活が送れる生活様式を考えていく必要があると思います。 我々が今できる予防は、健康維持ではないでしょうか。バランスのいい食事と適度な睡眠を心がけて、心身ともに「元気」に過ごしましょう。


昭和堂薬局 | 2021年2月20日

 

新型コロナウイルス感染症ワクチンについて

 日本でも医療従事者からワクチン接種が始まりました。今のところ重篤な副反応の報告はありません。一般の方のワクチン接種時期には少し時間がかかります。これから今摂取されているワクチンについてはいろいろな情報が上がり始めると思いますので注目していきたいと思っています。

 

 新型コロナウイルス感染症の流行が自然に収束する可能性は極めて低く、収束にはワクチンの実用化が不可欠であります。現在、世界で開発が進められているワクチンが多くありますが、その中のいくつかをご紹介します。

 

 不活化ワクチン
 不活化ワクチンはホルマリンなどでウイルスの感染性を消失させて、病原体のたんぱく質や成分を免疫原として接種することで抗体を誘導します。このタイプのワクチンは、他の病原体に対し、すでに広く利用されています。

 

 DNAワクチン
 DNAワクチンは病原体のたんぱく質を発現するプラスミドDNAを接種することで、病原体のたんぱく質を体内で産生し免疫を誘導します。このタイプのワクチンは以前から病原体に対するワクチンとして開発が進められていましたが、人においての感染症のためのワクチンとしてまだ実用化されたものはありません。

 

 mRNAワクチン
 mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、病原体のたんぱく質を発現するmRNAを接種することで免疫を誘導します。ファイザー社のワクチンはこのタイプです。

 

 ウイルスベクターワクチン
 病原体の抗原遺伝子を組み込んだ組換えウイルスを感染させることにより免疫を誘導します。ベクターウイルスを感染させて用いるため、2回目以降感染阻害抗体が誘導され感染を阻害されてしますため、複数回接種には不向きです。アストラゼネカ社のワクチンはこのタイプです。

 

 組換えタンパク質ワクチン
 昆虫、植物および哺乳類動物などを由来とする培養細胞で発現させた病原体のたんぱく質を免疫原として用いるワクチンです。

 

 VLPワクチン
 VLP(ウイルス様粒子)ワクチンは、ウイルス粒子の外殻を構成するたんぱく質だけを用いてウイルスの表面構造を再現した抗原を用いたワクチンです。

 

 どのタイプのワクチンが、高い安全性と有効性を示すかは、まだわかりません。副反応の点でワクチン接種を尻込みしている方も多くいらっしゃるような話をよく聞きますが、それなりの有効性と安全性があるワクチンでしたら、新型コロナウイルスに感染し発症してしまうことを考えるとワクチン接種を選択する方がいいのではないかと思われます。(これは個人的意見です。)


昭和堂薬局 | 2021年2月19日

 

新型コロナウイルスについて

 2019年末に中国武漢に出現し、世界中に伝播した新型コロナウイルス感染症。私たちは今までに経験したことがないウイルス感染症と共に生きていくことを強いられてしまいました。そこで、現時点でわかってきたこのウイルスについて簡単にまとめてみました。

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はコロナウイルス科に属するRNAウイルスです。コロナウイルスはヒト以外にもコウモリ、ブタ、ネコ、ネズミ、モグラ、ラクダ、トリなどの動物に病原性を示すものがたくさん存在します。これら多くのコロナウイルスは、オルソコロナウイルス亜科とレトウイルス亜科に分けられ、オルソウイルス亜科はアルファコロナウイルス属・ベータコロナウイルス属・ガンマコロナウイルス属・デルタコロナウイルス属に分類されます。そのうち以前より知られているコロナウイルスは4種類あり、ヒトの風邪ウイルスで軽症の上気道感染症の原因ウイルスでした。これらに加え、2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスと2012年にMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスがヒトに重篤な呼吸器感染症を起こすウイルスとして発見されました。そして今回、ヒトに病原性を示すコロナウイルスとして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が発見されました。このSARS-CoV-2はベータコロナウイルス属で、ヒトのウイルスではSARSウイルスに近い関係にありますが、野生のコウモリから分離されたコロナウイルスとは更に近い関係にあり、このコウモリのウイルスから派生したウイルスが何らかの理由でヒトに感染して流行がはじまったと考えられています。

 

 コロナウイルスは一本鎖のRNAを遺伝子とするウイルスで、ウイルス粒子はエンペローブ(脂質二重膜)に包まれています。ウイルス粒子の表面はエンペローブから突き出したスパイクと呼ばれるSタンパク質の突起物があります。コロナウイルスのスパイクは大きく王冠(crown)のように見えることが名前の由来になっています。スパイクはウイルスが感染するときに細胞上のレセプターに結合する機能を持っています。以前流行したSARSコロナウイルスはアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)をレセプターとして利用していますが、SARS-CoV-2もACE2を利用していることが実証されました。このレセプターは下気道(肺胞上皮)、上気道、口腔粘膜、舌、小腸、心臓、腎臓にも発現しています。

 

 過去の重篤な病原性を持つコロナウイルス(SARS、MERS)の流行はパンデミックに至りませんでした。なぜ今回の新型コロナウイルス感染症がパンデミックを起こしたのか、それは、体内における増殖特性の差にあると考えられます。SARS・MERSウイルスは下気道(肺)で増殖していました。このためウイルスがなかなか体の外に出にくい状態でした。今回のSARS-CoV-2は下気道のみならず上気道でも増殖し、重篤化の前からたくさんのウイルス粒子が上気道分泌液に排出されていたことで、容易にウイルスが体の外に排出されてしまい、従来の感染重症者隔離策では対抗できなかったのです。(SRASはこの隔離策で収束しています。MRASはラクダがウイルスをもってしまったため完全には収束に至っていません。)


昭和堂薬局 | 2021年2月18日


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