まだまだ、暑い日が続いていますが、少しずつではありますが朝晩は涼しく感じる日が出てきています。また、8月8日(立秋)から暦の上ではもう秋です。秋は肌の悩みが増えやすい時期です。涼しくなるにつれ、肌のくすみやカサつき、ゴワつきといった不調が気になり始める人も多いのではないでしょうか。
こうした肌トラブルは、夏に受けたダメージが主な原因になります。真夏に浴び続けた強い紫外線、発汗やエアコンによる乾燥といったダメージが肌に蓄積されます。その結果、メラニンが蓄積され、肌の保湿機能やバリア力も低下して、シミやくすみ、カサつきなどが起こりやすくなるのです。
夏に受けた身体のダメージを解消して寒くなって行く季節の準備をしなくてはいけません。
秋は「肺」と関係が深く、肺は皮膚や体毛をコントロールし、肺の異常は空気の出入りする鼻に表れるとされます。また、肺は五臓の中で一番高い場所にあるので、「五臓六腑の蓋」と呼ばれ、気管やのどを通じて外界に直接接しているので、外気の影響を受けやすい臓器です。そのため、秋は大気の乾燥の影響を受け易く、秋に起こりやすい咳、鼻炎、喘息、皮膚のかさつきなどの症状は、乾燥した大気を取り込むことにより肺が乾くことが原因で起こるのです。
一方、外から見えてしまう肌についていうと、肺は肌のバリア力や保湿力、解毒力を支える「気(エネルギー)」の生成や、潤いのもととなる「津液(体に必要な水)」の配る臓でもあります。そのため、乾燥で肺がダメージを受けると、バリア力や保湿力、解毒力が低下し肌の不調を招いてしまうと同時に、呼吸器系も弱くなりやすくなります。これらの力が落ちるとターンオーバーが乱れ、メラニンの代謝が遅れてくすみやシミの要因になります。また、潤い不足や保湿力の低下から、乾燥やかゆみを招くこともあります。
このように、くすみや乾燥といった秋の肌トラブルには、体内の不調も大きく関係しています。スキンケアはもちろん、肺の潤い補給にも気を配り、体の中と外から透明感のある健やか美肌をつくりましょう。
これから冬を迎えると、肌にとってはさらに過酷な環境に。不調を放置すると、乾燥や冷えで肌の老化が加速する心配もあるので、夏の疲れはこの時期にきちんとケアしておきましょう。
秋にとれる旬の食べ物には、「肺・大腸」の働きを補うものがたくさんあります。
そのひとつが梨です。年中見ることの多くなった果物のなかで、梨は店頭にのぼる時期も限られ、旬を感じることのできる数少ない果物のひとつではないでしょうか。最近は収穫が早まり、夏の果物というイメージが強くなりましたが、本来は秋が旬。九月から十一月にかけて収穫されます。水分をたっぷり含み、シャリシャリとみずみずしい梨には、肌に潤いを与え、のどの渇きを止め、声がれや咳を止める効果があります。まさに「燥邪」による秋のトラブルを防ぐのにふさわしい旬の食べ物といえましょう。
同じく秋が旬の果物である柿も、咳を抑え、口の渇きを止め、乾燥による呼吸器系の働きを助けます。「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、鼻やのどの粘膜を健やかに保ち、免疫力を高めるビタミンCも豊富に含み、寒さの厳しくなる冬に向けて、風邪をひきにくい体をつくるのに大いに役立ちます。
また、いも類や大根をはじめとする根菜類も「肺・大腸」に働きかける旬の食材です。たとえばさつまいもは口の渇きを止めて肺を潤すと同時に、便通を改善して大腸の働きも活発にします。豊富な食物繊維と緩下作用のあるヤラビンという物質の相乗効果により、腸内環境を整えて便通を促してくれます。
その他、食べ物では、豆腐、豆乳、チーズ、手羽先、豚足、鴨肉、きのこ類、松の実、れんこん、モロヘイヤ、白きくらげ、すっぽん、ゆり根、里芋、長芋、海藻類、卵、梨、柿 など
生薬では、余甘子(よかんし)、沙棘、西洋人参、紅景天、黄耆、枸杞の実、ツバメの巣、哈士蟆油(はしまゆ)、亀甲(きこう)、鼈甲(べっこう) などがおすすめです。