『昭和堂薬局』

WhatsNew

 

運動が体にいい理由 その2

women-jogging_19-101292

適度な運動を続けていくと、身体は大きな変化をしていきます。
簡単にその変化を紹介すると…

 

神経系
運動によって認知機能が改善します。有酸素運動は特に高齢者の組織力や計画能力、注意力を改善します。
免疫系
定期的な運動は体を炎症から守ります。しかし、過剰な運動は病原体から体を守る免疫力を弱める恐れがあります。
骨格筋
ウエイトトレーニングとバランス運動によって骨折や転倒を予防できます。有酸素運動で筋肉の効率が上がり、日常の疲労が軽減されます。
遺伝子への影響
身体活動レベルの変化によって特定の遺伝子のスイッチがオン・オフされることがわかってきました。その影響は多くの場合、穏やかなものですが広範囲の細胞で起こります。
内分泌系
運動は体のインスリンへの反応を改善し、別のホルモンであるアディポネクチンの量を上昇させます。これらの結果、糖尿病やメタボリック症候群のリスクを減らします。

 

もう少し具体的に運動が認知機能や心血管系、糖尿病にどのような影響をもたらしているのかをみることにしましょう。

 

運動によって集中力や思考力、判断力が高められることがわかってきました。これは、60代70代の120人を対象とした調査により、脳の海馬という記憶をつかさどる領域が大きくなることが示されました。この海馬という部分は神経細胞が生まれ変わることが出来る部分で、その後、動物実験では新しい神経を成長させる脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が運動により高められることが示されました。この運動による脳の変化が認知機能に影響していたのです。

 

以前から、運動により心血管系のリスクが減ることは言われていました。これまではこの血管系には、運動により血圧が下がり、血中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)は増え、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が下がることによると考えられていましたが、運動によるこれらの効果は非常に時間がかかることがわかってきました。また、LDLは濃度の高さよりもLDLの大きさが重要であることがわかってきました。この変化は、運動によりリポたんぱくリパーゼという酵素が脂肪組織や筋組織で活発に働くようになり、LDL分子の大きさを小さくしているようです。これは、コレステロール値が同じ人でも運動量が違えばリスクも違うということです。

 

もう一つが、血糖値に対する作用です。運動が習慣になると、骨格筋に負荷が増え、エネルギー源としてブドウ糖が必要になります。長期的には運動により骨格筋の筋線維がブドウ糖をより効果的に利用できるようになり、筋力が増します。また、運動が日常的に行われるようになると、筋肉はインスリンに敏感に反応するようになり、少ないインスリンでも血糖値が抑えられるようになるのです。

 

現代人の飽食と運動不足は、肥満の増加の原因として社会問題化しています。食べるものはいくらでも手に入り、交通機関が発達したことでほとんど歩かなくても生活できる世の中です。運動は少しの工夫でできるものです。ジムに行かなくても通勤や買い物の時に乗り物ではなく歩いてみるのも良いのではないでしょうか。

 

参考図書;日経サイエンス2014年7月号


昭和堂薬局 | 2014年9月1日

 

運動が体にいい理由

 women-jogging_19-101292


 みなさんは、運動が体にいいことは知っていると思います。
では、「どう体にいいのか」「どんな運動をするといいのか」ということまで認識している方は少ないのではないでしょうか。

 アメリカの大規模調査に基づく「米国運動ガイドライン」の最新版(2008年発表)では、早歩きなどの穏やかな運動を少なくとも1日30分間、週5日以上、あるいはジョギングなどの激しい運動を週75分間、それに加えて30分間の筋力トレーニングを少なくとも2日行うことを推奨しています。

 有酸素運動は筋肉が必要とする酸素を著しく高めるタイプの運動で、肺の活発な働きが求められます。一般的にはこのタイプの運動が健康にいいと言われています。しかし、ウェートトレーニングやバランストレーニングなど、動きの少ない運動にもそれなりの効果があります。
 
 では、どのぐらいの運動が穏やかな有酸素運動で、どのくらいからが激しい運動なのでしょうか。簡単な見分け方としては、「会話テスト」があります。

 穏やかな運動を始めると、心拍数が上がり呼吸が荒くなってきます。体を動かしながら会話や歌が歌えるうちは、まだ穏やかな運動といえます。しかし、一度に一言二言しか発せられなくなると激しい運動です。

 運動をしていくと、神経系は体の器官を活発にし、意識が鮮明になり、心拍数が上がり、呼吸が速まり、軽く汗をかき始めます。それと同時に筋肉の血管が拡張し、酸素を豊富に含む血液が筋肉に行き渡るようになります。

 筋肉細胞に入った酸素は、ミトコンドリアという器官に取り込まれ、そこで酸素を使って食べ物から消化分解されて作られるブドウ糖からエネルギーを作ります。この酸素を使ってできるエネルギーは酸素を使わなかった時の約20倍のエネルギーになります。

 また、運動を続けていくとブドウ糖の在庫がなくなり、脂肪が燃焼されるようになります。こうした体内での燃焼が起こると、乳酸や二酸化炭素などが発生し、これらが血液に入って濃度が上がってくると脳や肺、心臓でさらに生化学反応がおこり、老廃物の除去がより効果的に進むようになって体の負担を減らします。

 運動が日常的になると、大きな負荷に体が順応してスタミナが増します。1回の呼吸で多くの酸素を取り込み、1回の心臓の拍動で多くの血液を送り出すようになります。こうした変化は米国のガイドラインくらいの運動を数週間続けていくと現われ、健康増進につながります。

 次回は、もう少し詳しく運動が体にどんな作用を及ぼすのかをお話したいと思います。


昭和堂薬局 | 2014年8月22日

 

“体外受精の妊娠率”

  最近、子宝相談の多くの方が体外受精をされています。
 体外受精とは卵胞から卵子を採取して体外で受精させ、ある程度分裂した受精卵を子宮に戻す治療方法です。受精した卵子を子宮に戻すわけですから妊娠しそうなものだと思う方が多いかもしれませんが、実際には体外受精・胚移植で受精卵1個あたりの着床率が28.9%、採卵あたりで20.2%です。
 想像以上に低い値ではないでしょうか?
 では、なぜこんなに低い妊娠率なのでしょう。
 着床の制御をしているのは、エストロゲンやプロゲステロンで、エストロゲンにより準備されプロゲステロンが作用して「着床の窓」が出現します。この「着床の窓」は排卵後6日目から9~10日目まで出現しているといわれ、高齢になっていくと期間が短くなっていきます。一般的に「着床の窓」の期間ののちに着床すると流産すると言われています。
 また、それ以外に受精した胚と子宮内膜が交信しあい受精に向かっていくのです。
 体外受精を受けている方々は、受精から子宮に戻すまでの期間があるため、タイムラグが生じ子宮内膜との交信ができないために着床しにくいことが問題視されています。妊娠のメカニズムもまだまだ分からないことだらけです。そのため、まだこのタイムラグを埋めることが出来ないために、体外受精の妊娠率が上がってこないのです。
 不妊にまつわる問題点は、食や生活習慣、晩婚などいろいろなことがありますが、まだまだ西洋医学だけでは満足のいく妊娠率にはならないようです。東洋医学の考え方に基づき妊娠できる身体づくりをして、妊娠の準備をしてみませんか。


昭和堂薬局 | 2014年7月19日

 

血糖値高いと認知症リスク増

 産経新聞に糖尿病と認知症の関連について記事が掲載されておりましたので、紹介させていただきます。

以下記事
 米国ワシントン大学医学部のポール・クレイン博士らの研究グループは、1994~96年および2000~2002年に被験者として登録した、認知症でない65歳以上の高齢者2067人を平均6.8年にわたって追跡調査し、糖尿病と認知症の発症の関連について調べた。
 登録時に糖尿病と診断されていた人は232人、糖尿病でない人は1835人だった。このうち、調査期間中に認知症を発症したケースは、糖尿病群で74人(母数に対し21.6%)、非糖尿病群で450人(同26.1%)だった。つまりクレイン博士らの調査では、糖尿病でない人の方が、若干ではあるが認知症を発症しやすいという意外な結果が出たのだ。
 更にクレイン博士らが血糖値と認知症の発症リスクについて検証すると、興味深いことに血糖値が高ければ高いほど認知症の発症リスクが高まり、低ければ低いほど認知症の発症リスクが低下することがわかった。
 つまり、糖尿病を発症していない人について認知症の発症リスクを調べると、一日の平均血糖値が100mg/dlの人の認知症の発症リスクに対して、105mg/dlの人の発症リスクは10%増加、110mg/dlの人の発症リスクは15%増加、115mg/dlの人の発症リスクは18%増加していることが分かった。逆に、一日の平均血糖値が95mg/dlの人の認知症の発症リスクは14%低下、95mg/dl以下の血糖値では更に認知症の発症リスクは低下していた。
 一方、糖尿病を発症している人について一日の平均血糖値と認知症の発症リスクの関係を調べると、一日の平均血糖値が160~170mg/dlの場合の認知症の発症リスクが最も低く、それより高くても低くても認知症の発症リスクは増加していることが判明した。高血糖値が認知症の発症リスクを増大させるメカニズムは糖尿病とは別である博士は考察、今後の研究課題だと言えそうだ。

 認知症と血糖値の関係は以前から指摘されており、血糖降下ホルモンであるインスリンは血液の中のブドウ糖をエネルギーとして使われるように変え、ブドウ糖を減らし血糖値を下げます。必要なくなったインスリンはインスリン分解酵素の働きで分解されます。インスリン分解酵素の主な仕事はインスリンの分解ですが、インスリン分解酵素は副業として、アミロイドβの分解もしています。
 慢性的にインスリンが多過ぎる状態(この状態を高インスリン血症といいます。)となるような生活をしていると、インスリン分解酵素はインスリンの分解の為に消費されてしまいます。そうなると、認知症の原因物質であるアミロイドβ(この物質が集まったものが老人斑)の分解が手薄になってきます。
 糖尿病で高インスリン血症の人は、脳にアミロイドβが溜まりやすい状態となっており、その結果として認知症、特にアルツハイマー型認知症を発症しやすくなってしまいます。
 記事の疫学調査で、糖尿病で認知症になった人の割合が少なくなったのは、糖尿病で症状が進んでいくと膵臓でのインスリンが枯渇することがあり、この場合必ずしもインスリンの血中濃度は高くなく、インスリン分解酵素の消費が少ないために認知症になる割合が減ると考えられます。
 つまり糖尿病となっていなくても、インスリンを多く使う生活をしていると、認知症になりやすくなるのです。現代の人達は、甘いものを多く摂っています。ジュースやお菓子が気軽に摂れる世の中です。知らず知らずに認知症の原因を作っているのかもしれませんね。
 このようなことにならないためにはどうすれば良いの?という方は店頭にてご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年7月5日

 

東洋医学から診る熱中症対策

 梅雨明け宣言が待ち遠しいくらい大気が不安定な状態が続いています。この梅雨が明けるといよいよ夏本番となるのでしょうが、気をつけたいのが熱中症。ここ数年多くの方がご心配されていることではないでしょうか?

熱中症のことを東洋医学では”中暑”(チュウショ)と呼び、この”中”は、食中毒の”中”と同じで、暑さに中ったという意味で、暑気あたりのことを指し体内に溜まった熱を放散できず、体温の調節ができなくなった状態で、かつては熱射病、日射病、熱けいれん、熱疲労などと呼ばれていました。
では、このとき身体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
東洋医学では高すぎる気温を”熱邪”、特に夏季にのみ存在し高湿を伴う熱邪のことを”暑邪”と呼び、病の原因の一つになるとしています。
それぞれの邪には身体に及ぼす影響に特徴があり、”熱邪”が身体に及ぼす影響は次のようなものがあります。
①熱感があり、身体がほてる、冷たいものを欲する。
②炎上性がある。具体的にはのぼせや目が赤い、口やのどが渇く、頭が割れる様に痛むなどの症状があらわれる。
③神明をおかす。熱邪は精神や意識に障害を与えることがあり、暑くてイライラする、暑くて眠れないなどの現象は熱邪によって神明が影響を受けており、甚だしい場合は意識の混濁や失神等の症状があらわれます。
④毛穴を開泄して大量の汗を出し、必要以上の汗を出すために身体にとって必要な水分(津液・しんえき)を消耗する。またこの際に汗と共に”気”と呼ばれるエネルギーも放出してしまうために疲れやすい、だるいなどの症状をあらわします。
⑤発疹ができたり、出血したりする。具体的な症状としては、あせもや赤い湿疹ができたりアトピー性皮膚炎が悪化したりする。発疹部位から出血したり、熱邪の影響で鼻血がでたりすることです。
⑥けいれんする。熱邪が極まると”内風”という現象が起こります。”内風”とは身体の動きを伴う症状で、具体的には震え、眩暈、痙攣、しびれ、ひきつけ等の症状を指します。
熱中症はこの”熱邪”によって身体が犯されていると捉えています。
では、熱中症に対し東洋医学はどのような対策をしていくのでしょう。
端的に表すと、”身体から排出するもの・失ってしまうものと身体の中に入るもののバランスをとる”ことです。
夏の暑さにより発汗量や呼吸により失うものと、補充するもののバランスをしっかりとれるような漢方が必要ということになります。
水分が失われるので、水分補給や摂取量を増やせばいいのではないか?と思われる方がいらっしゃいますが、実際に汗として排出されるものは単なる水ではなく、あくまでも”津液”と呼ばれる体液です。
失われた”津液”をしっかり補い、補充することが必要になります。
具体的にこの”津液”を補うためにはどうすればいいのでしょうか。
簡単にできる方法としては、ミネラル補給できるスポーツドリンクなどに「麦味参顆粒」や「麦門冬湯」などの体に潤いをもたらす漢方を溶かして服用するのが効率の良い”津液”の補充方法です。
また、夏場は冷たいものの摂取過剰によって胃腸機能が低下し、体内の水分バランスを崩し、体が重く、だるくなったり、浮腫んだりします。
このような場合には胃腸機能を回復させて、偏在している水分を体外に排出し、体のバランスを回復させることが必要で「六君子湯」「参苓白朮散」などの漢方薬が用いられ、胃腸が冷えてしまい吐き気やめまい、下痢が続く場合は「扶陽理中湯」や「回陽救逆湯」などを用いて回復させます。
どうしても、お仕事やお付き合いなどで炎天下の下に行かなくてはいけない場合は、「感應丸(かんのうがん)」や「日水清心丸」という強心・清心作用を持つ漢方薬をカバンの中に入れておき、なんとなく変だなと感じたらすぐに服用できるようにしておくと良いでしょう。
ご自身でできる熱中症対策もあります。ポイントは単純なことで、体に冷えを溜め込まないこと。そして、もし溜め込んでしまったら早めに解消することです。
具体的にはどうすればいいのでしょうか。
答えは、朝一番とお休みになる前は冷たいものを避けて、温かいものを摂取すること。そして、寝ている間にお腹を冷やさないようにすることです。
また水分補給をする際は、一度に大量の水分を摂るのではなく一口ずつ少量の水分をちょこちょこと飲むことです。
これは一度に大量の水分を摂ることで一過性に胃酸が薄められ、身体の恒常性(一定を保とうとする働き)によって胃酸が大量に分泌され、胃粘膜が障害されてしまうのを防ぐためです。
東洋医学の知恵を用いて、夏を元気に過ごしましょう!
どんな対策をしたらよいのかわからない?!という方は、店頭にてご相談ください。
スタッフ一同、ご来店をお待ちしております。


昭和堂薬局 | 2014年6月29日

 

東洋医学から考える梅雨の過ごし方

 梅雨の季節が大好きという方はまずいないと思います。ジトジト、ジメジメして、蒸し暑く、洗濯物が乾かない、また急に冷えたりして体調管理が難しいなど、お悩みの方は多いのではないでしょうか。
 ジメジメして蒸し暑いということで身体がだるく感じたり、食欲が落ちたりするのですが、梅雨の季節は、水分代謝を良くしておかないと、いらない水が体内に貯まります。これを東洋医学では湿邪と呼びます。いらない水を上手に出すことを考えなければなりません。ただ湿邪がある人は、水を取るなと言うことではなく、摂取した水分を使い切れておらず、湿邪となっているためで、有効に活用できるような体作りをして、いらない水を体外に排出できるようにしなければなりません。
 湿邪の影響を受けやすいところは、まず皮膚です。次いで筋肉、関節と続きます。体内に侵襲するときには、胃腸も障害します。次に呼吸器系、腎臓と膀胱に及ぶことがあります。また精神面や神経の領域にも重要な影響を持ちます。
 皮膚は外気を最も敏感に感じ取ります。暑い時は汗腺を開き発汗することで体温を下げ、寒い時には反対に表皮を引き締め、体温を逃がさないようにしています。また皮膚呼吸をして、肺の働きを助けています。湿度が高くなると皮膚の持つ様々な代謝機能が阻害され、数々の弊害が表れます。

梅雨と皮膚疾患
 その第一は皮膚呼吸がうまく行かなくなる為に何となく息苦しく感じたり、重苦しく感じたりするようになります。
 皮膚病については、水虫を始めとするジュクジュクと水を持つ皮膚疾患はこの季節に悪化します。反対に乾燥の強いものは良くなることがあります。この季節は皮膚の働きが弱っているのでちょっとした刺激や食べ物で湿疹ができやすく、また紫外線が一番キツイ季節でもあるため、その影響で皮膚病が悪化する場合もあります。この場合には、刺激の少ないUVカットの日焼け止めを使い、大きなツバの帽子をかぶるようにして下さい。皮膚疾患については、悪化するのは早く、治すのには時間がかかります。専門医に相談することも大切ですし、アトピー性皮膚炎などは漢方療法をお考えになるのも良いと思います。

梅雨のお風呂の入り方
 梅雨の季節の湿度により悪化する神経痛や腰痛、膝などの関節痛や、アトピー性皮膚炎などの皮膚病や喘息の方は、養生法として足湯やお風呂で温まりましょう。
 お風呂の入り方は、40度~39度で15分以上お入り下さい。手は心臓のツボが多いですから腕はつけず、おなかから下で結構です。体を温めると水分代謝も良くなります。これらの病気の予防と改善に役立ちます。是非実行してみて下さい。


昭和堂薬局 | 2014年6月18日

 

何となく気になる便秘も要注意!その便秘「むくみ腸」かも?

 産経新聞やマイナビウーマンなどで紹介された「むくみ腸」。実際、便秘薬を使われている方の内、本当の意味で下剤が必要な方は数少ないのではと思います。便秘は、排便しにくい、排便回数が少ない、便が硬い、残便感がある状態です。しかし、漢方的には、センナなどの便秘薬を使っていいタイプは、熱秘タイプ(身体の熱量が多いタイプ)で大便が乾燥し、腹痛やお腹の張りがあり、赤ら顔で小便は黄色く、口臭があり、口が渇くようなタイプで、舌を見ると赤く黄色い厚い舌苔のある人たちです。冷えていたり、エネルギー不足や血の不足、エネルギーが巡らないなどの便秘に長期間センナなどの便秘薬を使用すると、お腹を冷やしてしまい、消化機能を傷害してしまう可能性があります。
 「読む便秘外来」(集英社)など数多くの著書がある順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、「めまいや頭痛、便秘といった不定愁訴を起こす例が増えているようです。気圧の変動も大きく、自律神経のバランスを崩しがちです。交感神経が優位になり過ぎると血流が滞り、むくみ、冷えといった症状も起こります」と言っています。
 腸が内容物を送り出す「ぜん動運動」は副交感神経が優位なときに活発になります。腸は脳に次いで神経細胞が集まっており、自律神経のバランスを保つことが大切です。腸内環境が悪化すれば吸収された栄養を運ぶ血流が悪くなり、全身の機能低下へとつながっていきます。「大腸では便に含まれる水分を吸収していますが、その水分が排出されないと腸管がむくみます。これが『むくみ腸』です。腸がむくみを起こせば、血流が悪化してエネルギーの消費も悪くなり、肥満にもつながります」
 小林教授は「便が腸内で滞れば腐敗が進み、おならが臭くなり、次第に口臭や体臭にも現れます。毎日お通じがあっても残便感があるのは、腸がむくんでいる場合があります。まず、大切なのは腸内環境を整える食生活と適度な運動を心がけることです。患者さんにもおすすめしているのがヨーグルト。生きて腸まで届くタイプのビフィズス菌がとれるヨーグルトなら、腸内環境を整えるのはもちろん、便通改善にも役立ちますよ。ヨーグルトをとる際、食物繊維を豊富に含むものを一緒にとると、さらに効果を期待できます。食物繊維は便を柔らかくする水溶性の食物繊維と、腸のぜん動運動をうながす不溶性の食物繊維を同時にとれるのでおすすめです」と小林教授。
 実際に、食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖などで大便の出が良くなり、肌の調子などが良くなる人は多くいます。もともと日本人は欧米人に比べ腸が長く、便秘しやすい傾向にあります。そのため、昔の日本人は食物繊維をたくさん摂っていました。しかし、現代人は、欧米型の食事を好むようになり、本来の熱秘タイプ以外の人達も便秘になっているのです。
 食物繊維や発酵食品を摂り、便秘薬に頼らない生活が必要です。
 それでも解消できない方は、その方にあった漢方薬や健康食品をお選びしますので、ご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年6月9日

 

トランス脂肪酸とは

 トランス脂肪酸は、トランス型の二重結合をもった不飽和脂肪酸です。天然の植物油などの不飽和脂肪酸は、シス型の二重結合をもった不飽和脂肪酸でトランス型は含まれません。例外的に、反芻動物(牛、山羊など)の肉や乳に2%くらい含まれます。これは反芻動物がもつ微生物により作られるものです。
 しかし、我々が摂取するトランス脂肪酸は、天然の植物油脂を固めるために水素を付加した時に生成されます。そのため、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれます。また植物油などを加熱することによってもできますので、長期間使用した植物油にも含まれています。
 トランス脂肪酸は構造上直鎖で、シス型脂肪酸は折れ曲がった構造をしています。このためトランス脂肪酸の代謝は、シス型の代謝と違う経路をとるのではないかと言われています。また、脂肪酸は体の中に吸収されるとリン脂質となり細胞膜をつくります。このため、細胞膜を構成する脂肪酸によって細胞の流動性や働きが変化すると言われおり、トランス脂肪酸は、虚血性心疾患や認知機能などに対するリスクが高くなることが言われています。アメリカの疫学調査では、トランス脂肪酸の摂取が多い人は炎症反応を示すCRPなどが高いことが示されました。この炎症状態を慢性炎症といい、慢性炎症は多くの病気の原因であることが最近解ってきました。生活習慣病や脳血管・心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、がん、認知症などの疾患はこの慢性炎症が原因といわれています。これらのことから、トランス脂肪酸の摂取が多くの病気の原因のなる可能性を示しています。
 おそらく、今の日本の食生活を考えた場合、トランス脂肪酸を全く摂らない食生活は不可能だと思います。しかし、出来る限り減らす工夫は必要でしょう。またトランス脂肪酸摂取により慢性炎症を起こすのであれば、炎症を抑制するようにすることが必要です。炎症を抑制していくためには、ω3系の脂肪酸を摂っていくことです。亜麻仁油やシソ油、魚油のEPAやDHAなどがω3系不飽和脂肪酸です。亜麻仁油やシソ油はドレッシングや料理にかけるなど生で使います。EPAやDHAはサバなどの青背の魚に多く含まれています。しかし、亜麻仁油やシソ油などのαリノレン酸は吸収に個人差があるようです。また、小児の臨床試験でトランス脂肪酸の摂取によって、このαリノレン酸の代謝が阻害されEPAやDHAに変換しにくくなる可能性があることが解っています。慢性炎症が関わる病気の人などはEPAやDHAを積極的に摂る事をお勧めします。


昭和堂薬局 | 2014年5月26日

 

小学生低学年の1割が便秘 学校の和式トイレも影響?

 最近、便秘の子供が多くなっているようです。子供は腸内細菌の善玉が多く、腸の環境は良いことが一般的と考えられています。しかし、最近は便秘の子供が多くなっているといわれ始めました。
 実際に小学校低学年児童の1割が、3日以上排便がない便秘傾向にあることが、NPO法人「日本トイレ研究所」と王子ネピアの調査でわかりました。
 その報道の中で、トイレの大切さを学ぶ出前授業「うんち教室」に参加した首都圏の小学校1~3年生599人に聞き取りを行い、「3日以上うんちが出ない日が続く」と答えたのは70人(11・7%)。その内訳は「3日」が45人、「4日」が20人、「5日」が5人。「毎日出る」は215人(35・9%)だったようです。
 便秘傾向の背景には、学校のトイレに行きたがらないということがあるようで、都内の小学生97人に「学校のトイレでうんちをするか」と聞いたところ、22人が「しない」と回答。しない理由は、「和式だから」「落ち着かないから」「休み時間が短いから」などの理由が挙げられたようです。
 最近感じていたのは、子供が便秘傾向だとお母さんも便秘の方が多いことです。子供は、お母さんのお腹に居るときは無菌の状態で、出産時、産道を通るときに初めてお母さんの持っている常在菌に触れ、その後生まれた場所にある菌に触れ、母乳を飲んでいるうちに乳酸菌などの善玉菌が増え始め、その子供の腸内細菌が決まっていきます。そのため子供の便は、大人の便の様な匂いがしないのです。
 腸内細菌の環境が悪くなると、アレルギーになってしまったり、便秘、腸の感染症にかかりやすくなります。少し前の神戸の小学校や静岡で下痢、嘔吐の集団感染症が起こりましたが、今回の「日本トイレ協会」が発表したことと無関係ではないかもしれません。また、この便秘傾向の子供のアレルギーの有無なども調べてみると関係があるかもしれません。
 学校でうんちを我慢することや食の乱れで、便通がいいはずの子供たちの腸内環境が悪くなって便秘傾向になっているのであれば、将来が少し心配です。
 早い段階で腸内環境を整えておきましょう。お気軽にご相談ください。


昭和堂薬局 | 2014年5月21日

 

肥満、第3の要因に「腸内細菌の変化」

 産経新聞電子版に、「肥満やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を引き起こす大きな環境要因に食べ過ぎや運動不足が挙げられる。3つ目の環境要因として、膨大な腸内細菌の集まりである腸内細菌叢(そう)が関係していることが、ゲノム(全遺伝情報)解析が進んだことで明らかになってきた。専門家は健全な腸内細菌叢を保つには欧米型の食事ではなく、伝統的な和食が良いと推奨している。」という記事が掲載されました。
 この記事によれば、昨年9月、米科学誌『サイエンス』に掲載された米ワシントン大のグループの研究論文に着目した。同論文によると、片方が肥満、もう片方が痩せ形の双子4組を選び出し、腸内細菌が大量に含まれるそれぞれの便を無菌のマウスの腸内に移植。すると、太った人の便を移植したマウスは太り、痩せ形の人の便を移植したマウスは太らなかったという。同論文から春日氏は「細菌叢の差違は肥満の結果もたらされたのではなく、肥満を引き起こす原因だったことが示された」と強調する。と言っています。
 以前このコラムでも書いていますが、高カロリーや高脂肪食により腸内細菌が変化し、食べ物の吸収率が高くなることが解ってきています。
 腸には約1千種、重さにすると1㎏の細菌が存在しています。この細菌と共存することで我々の身体は免疫などのバランスを保っています。また、私たち人間の身体では消化できないもの、特に食物繊維などは腸内細菌が消化の手助けをしています。日本人は伝統的な日本食を食べていた時代は、欧米人よりも多く排便をしていたといわれています。そのことから、米国などは日本食を積極的に取り入れています。そして、現在では日本人より多くの食物繊維を摂取するようになりました。
 しかし、逆に日本では、伝統的な食ではない欧米型の食に変化したことで肥満が増えています。産経新聞の記事にあるように「和食」を取り入れて腸内環境を変えることが肥満解決の重要な要素になります。
 当店ではダイエット相談をお受けしていますので、ご相談ください。
記事詳細http://sankei.jp.msn.com/life/news/140506/bdy14050610000003-n1.htm


昭和堂薬局 | 2014年5月12日


横浜ポルタ内にある漢方薬局。あなたの健康な体を取り戻すお手伝いを致します。