『昭和堂薬局』

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咀嚼の重要性

 最近の子どもたちは柔らかいものばかりを食べ、流し込むような食べ物を好むため、噛む回数が減り顎が小さく筋肉が発達していないと言われて問題になっています。
 加工食品やファーストフードは柔らかく食べやすく、精製された旨み成分をたくさん入れ食べたくなるような物ばかりを作ります。こういう世の中がそういう子どもたちをつくりだしているのです。噛みごたえのあるものはおいしくない物ばかりなのでしょうか?
 本当の食べ物の味を覚えなくてはいけない時期に加工食品のような作られた味の食べ物ばかりでは食育という点からも問題有りです。高齢になり歯が悪くなってから柔らかい物を食べればいいではないでしょうか。
 咀嚼の重要性を分かりやすく説明している記事を西日本新聞(食育を子どもに分かるように説明しています)に見つけたので紹介します。


【第3回】かむこと
 「ゆっくり、よくかんで食べるとよ」
 ごはんを食べるとき、おとうさんやおかあさんから、こんなふうに言われたことありませんか? 実はこれ、とってもたいせつなことなんです。きょうのテーマは「かむ」。なぜ、それが正しいのか、いっしょに考えてみましょう。
 じつは、よくかむと、とってもいいことがあるんです。
 一つ目は、食べ物がだ液と混じることで、消化しやすくなること。せっかくの食べ物も、よくかむのと、かまないのでは、からだの吸収が変わってきます。
 二つ目は、だ液がたくさんでるために、口の中がせいけつになり、病気にかかりにくくなることです。
 病気の原因となる、ばい菌やウイルスは、いつもみんなが吸っている空気の中にいて、つねに、人間の体に入り込もうと、すきをうかがっています。とくにねらわれやすいのが「ねんまく(粘膜)」。体の中で、いちばんやわらかなところです。
 なかでも、いちばん空気とふれあうのが口。たとえば、寒い季節になると、おとしよりはよく、はいえんで亡くなります。それは、口に入ったばい菌が、気管からはいに入ってしまうことが多いから。そのばい菌をやっつけてくれるのがだ液。この力はすごい。あのこわい「がん」でさえ、たいじしてしまう力があるともいわれるほどです。
 三つ目が、みんなの頭がよくはたらくようになること。手や足、口のきんにくは、脳とつながっています。だから、それらをよく動かすと、脳もまたよく働くようになるのです。
 さとうのおじさんは、このつながりを歯医者さんから聞いたとき、ピ~ンときました。今まで元気だったおとしよりが、急に体のぐあいがわるくなることがあるでしょう。おじさんのけいけんから言うと、それはだいたい、自分の足で歩けなくなったときと、自分の歯でかめなくなったときだったんです。
 ソフトバンクホークスのホームランバッター、松中せんしゅだって、バットをふるときは、おく歯をぐっとかみしめているはず。口をあけてバットをふってるとこなんて、見たことないでしょ?
 かむことは生きることとつながっている。まずは、ごはんを食べるとき、さいしょの一口だけでも、30回かんでごらん。それだけでも、集中力がつくし、いままでより、べんきょうもスポーツもきっとできるようになりますよ。
 えっ、おじさんはどうしてるって? おじさんのごはんは、みんなが食べている白いごはんじゃなくて、ちょっぴりかみごたえがある玄米ごはん。これをよくかんで食べています。食事のときも、こどもにも「かめ、かめ」って、うるさく言ってるよ。だって、いい子に育ってほしいからね。それが、親のやくめだから、ね。
今回の教訓:
 かむことは生きること。べんきょうやスポーツができるようになりたかったら、よくかんでごはんを食べよう。
【おうちの人へ】
 子どもをかわいいと思うのなら、噛み応えのある食べ物を食べさせてあげましょう。とりあえず口に入れて、牛乳とかで飲み込んだりしてませんか? だから、どうやって食べているか、小さいうちはついていて見てあげることも重要になりますね。やっぱり、孤食はいけません。

 戦前の日本人は1回の食事で1400回咀嚼をしていたのですが、現代人は620回。食の変化で噛む回数が半分以下になっているのです。
 噛むことで①顎を発達させ歯を丈夫にする②噛み砕くことで消化を助ける③唾液の分泌を促進するをしています。その効果としては唾液のアミラーゼで消化を助け、IgA抗体・リゾチーム・ラクトフェリンなどが含まれているため抗菌・殺菌作用があります。
 咀嚼回数を増やすことで脳を刺激し、集中力を高めますし、ストレスも緩和します。
 今までコラムで言ってきたような食事をすることで咀嚼回数を増やさなければならなくなると思います。食を正し、咀嚼回数を増やして健康な体を手に入れましょう。


昭和堂薬局 | 2010年10月19日

 

飲み物の話

私が、店頭で病気の相談を多くしていて思うことは、食べるものや飲むものを気を付けていたらこの人は病気にならなかったのではないかということです。
 逆に言うと、病気の人に漢方薬をいくら飲んでもらっても食事を改善しないと治らなかったり、漢方を飲んでいるときは良くても飲まなくなると元に戻る人が多くいるのです。
 コラムでも食のことを言ってきましたが、西日本新聞で子どもにも分かる様な食育の連載記事を見つけましたので紹介します。
 今回は、飲み物についてで2回分をご紹介します。子供に分かるようになっているので漢字があまり使われていないため読みにくいかもしれませんが…


【第1回】ジュースの話
 はじめまして。西日本新聞で「食卓の向こう側」という連載記事を書いているおじさん(さとうひろし)と、おねえさん(わたなべみほ)です。このコーナーでは、身の回りにある食べ物についていろいろ考えてみようと思います。
 小学校4年生にわかるように書くつもりだけど、ちょっとむずかしいところもあるかもしれません。そのときは、おとうさんやおかあさんに聞いてね。
 1回目は、みんなが大好きなジュースの話。
 これからどんどん暑くなっていくけど、のどがかわいたときに飲むジュースはおいしいよねえ。でも、おかあさんは、「ごはんをたくさん食べなさい」って言うように、「ジュースを飲め飲め」って言うかい? 言わないよね。
 なんでだろう? お金がかかるから?
 それもあるかもしれないけど、本当は、君たちの体のことを考えているからなんだ。
 では、問題です。きみがのんでいる甘いジュースがはいったペットボトル(500ミリリットル)のなかには、どれぐらいお砂糖がふくまれていると思う?
 わからない?
 よし、じゃあ、手を出してごらん。
 おじさんが持ってるこのスティックシュガー(1ふくろが3グラム)を1本ずつ、君の手のひらにおいていくよ。
 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10本。
 いま、何グラムになった?
 そう、3グラムが10本だから30グラムだね。よくできました。
 まだいくよ~。
 11、12、13、14、15、16、17本。
 はい、そうです。答えは17本。甘いジュースの場合、そのペットボトルの量のだいたい10分の1がお砂糖の量なんです。
 思ったより、たくさんはいっていたでしょう?
 はい、じゃあ、大きく口を開けて。このスティックシュガーを全部口の中に入れてあげるから・・。
 ハハハ、じょうだん、じょうだん。
 でも、ふしぎだよね。お砂糖そのままだったら、とても食べられないけど、なんで、ジュースになると、こんなにお砂糖が飲めるんだろうね?
 それは、冷たさ。冷たさが、甘~いと感じる感覚をにぶくしてしまうんだ。だから、こんなに甘くても、ごくごく飲めてしまう。もし、これが温かかったら、べたべた甘くて、とても飲めたもんじゃない。
 では、またまた問題。
 こんなにお砂糖がはいっているジュースを、のどがかわいたからといって、ごはんの前や、ごはんを食べているときに飲んでいたら、どうなると思う
?  そうだね。甘いおかしをごはんの前に食べるのと同じで、もうそれだけでおなかがいっぱいになってしまうよね。
 そうすると、かんじんのごはんが食べられなくなるから、栄養も足りなくなって、病気にかかりやすくなる。元気もでないし、身長も伸びない。あんまり、いいことはなさそうだ。
 そんなのいやだよね。だから、君たちも飲む量や、いつ飲むかとか、そのあたりを考えてから飲んだほうがいいと思うよ。
 おじさんは、決してジュースをのんじゃ、ダメとは言わない。毎日じゃなくて、たまにならいいさ。がぶ飲みしなければね。ただ、おいしいから、ついつい飲みすぎてしまう。そこを注意してほしいって、言っているだけなんだ。
 だから、ふつうに飲むときは、お茶か水がおすすめさ。
 なに? ぼくはスポーツ飲料だからだいじょうぶって?
 ちょっと、待ったー。それも結局は同じこと。なぜかはまた、次の回で、話してあげるね。
【今回の教訓】
 おいしいからって、飲みすぎちゃだめ。なんでも、ほどほどが大切です。
【おうちの人へ】
 実際にスティックシュガーとペットボトルを用意して、子どもの手に持たせてやってみたら、効果的です。また、ペットボトルにどれくらい砂糖が含まれるかを知る方法は、次の回でお教えしますね。

【第2回】スポーツドリンクの話
 はーい、こんにちは。またまた、さとうのおじさんです。
 さて、きょうは、スポーツドリンク(イオン飲料)の話でしたね。
 テレビのコマーシャルを見てると、スポーツ選手とか、タレントさんがスポーツドリンクをごくごく飲んたり、おじいさんがてつぼうでぐるぐる回ってたりするのがあるよね。
 でも、おじさんが、こそっと、Jリーグに所属するサッカー選手と、マラソン選手に聞いたら、スポーツドリンクは決してそのままでは飲まずに、3倍に薄めて飲んでるんだって。
 なんでだろ?。
 理由は、やっぱり、その甘さなんだ。
 例えば、みんながよく知っているあるスポーツ飲料には、6.7%の砂糖が入っている。つまり、1回目でやったスティックシュガー(3グラム)でいえば、500ミリリットルの中に、11本分はいっている。
 だから、スポーツ選手はそのまま飲むと、のどのかわきをいやすというより、逆にのどがかわいてしようがないし、体がうけつけないとも言ってたな。
 なんで、おじさんには、砂糖の量がわかるかって?
 その答えは商品の裏側に印刷されているラベルにある。
 栄養成分表示って、ところを見てみて。100ミリリットル当たりの成分が書いてあるでしょう。
 手元にある商品を見ると、エネルギーが27キロカロリー、タンパク質・脂質0グラム(入っていない、ってことだね)、炭水化物6.7グラムなんていう数字が並んでいる。果汁が入ってたりすると、少し変わってくるけど、この炭水化物ってのが、だいたいお砂糖の量と思っていいんだ。だから、100ミリリットルに6.7グラムなら、500ミリリットルのペットボトルには、その5倍。つまり、33.5グラム分のお砂糖が入っていることになる。
   × ×
 スポーツ飲料については、すごい話を聞いたなあ。
 ある日、おじさんは知り合いの歯医者さんから、「これ、見てー」って、ある3歳児の写真を見せられた。ふつう、3歳児の歯といえば、まるで宝石のような白い歯をしているんだけど、その子の場合は、江戸時代の女の人がしていたおはぐろみたいに真っ黒。
 おじさん「先生、これどうしたんですか」
 歯医者さん「お母さんがね、水がわりに、スポーツ飲料を飲ませていたのよ」
 おじさん「また、どうして、そんなことしたんでしょうか」
 歯医者さん「お母さんはこう言ってたわ。『だってセンセー、水って栄養ないでしょ』って」
 おじさんは、この話を聞いたととき、これは虐待(ぎゃくたい)だって思った。子どもをなぐったりする体罰(たいばつ)や、心を傷つける言葉の暴力も悪いけど、おとなの無知識が原因で、子どもを虫歯だらけにしてしまう。これって、やっぱり、いけないことだと、おじさんは思ったんだ。
 では、なんで、虫歯になりやすいんだろう?
 それは、スポーツドリンクをほにゅうびんで飲ませる場合に特に多い。赤ちゃんをよく見てごらん。あかちゃんは、お母さんのおっぱいを飲んでるときが、いちばん安心するんだ。だから、おっぱいに吸いついたまま、ねむってしまうこともある。じゃあ、あまいスポーツ飲料が入ったほにゅうびんを口にふくんだまま、寝てしまったら・・。起きていたときに出ていただ液が止まって、虫歯になりやすくなる。
 こうしたげんしょうを歯医者さんは「ボトルカリエス」という。ボトルはびん、カリエスは虫歯のことさ。
  × ×
 ここからは、特に注意して聞いてほしいんだけど、おじさんは、決してこうした飲み物をこうげきしているわけではない。おじさんも甘いものはほしくなるときもあるし、甘いから悪いとは思わない。ただ、飲みすぎがいけないって、言っているだけなんだ。
 スポーツドリンクも同じで、決して”毒”じゃない。かぜをひいたときなんか、お医者さんが飲みなさいって言うしね。おじさんも、それは、決してまちがいじゃないと思う。
 でも、それはあくまで病気したときだろ。普通のときに、水代わりに飲むのはすすめないなあ。のどが渇いたら、水かお茶。これが基本だと思うよ。
 自分の体は自分で守る。「宇宙船地球号」ということばを使った科学者のバックミンスター・フラーさんはこう言っている。「もろもろの汚染の中で、もっともしんこくなのは、消費者の頭の中の汚染である」ってね。
【今回の教訓】
 スポーツドリンクを水代わりに飲んじゃいけません。のどがかわいたら水かお茶。これが基本です。
【おうちの人へ】
 ラベルの見方、分かりましたか。これも、実際に手にとってチェックしてください。それから、ここでいう糖分は、サトウキビやテンサイから作った砂糖のほか、コーンスターチなどを異性化させて作ったブドウ糖果糖液糖というのもあります。いずれも純度が高く、人体への吸収が早いので、ここではわかりやすく「砂糖」と言っています。

 これを読んで、びっくりした方も多いのではないでしょうか。
 これだけの糖をしかもすぐに吸収できる形で摂ると、急激に血糖値が上昇してしまい、この急激な変化に体が反応して対処しているのです。体にとってはものすごいストレスなのです。
 毎日何本も飲んでいたら…
 キレる子どもの原因はペットボトルや缶ジュース(コーヒーなども)にあると言われていますし、糖尿病などの原因にもなります。ましてや毎日何本も買っていたら、お金も掛かります。お茶を水筒に入れて持って行くのが流行っていますが(私は流行る前からやっていました)良いことだと思います。
 知らず知らずの良くない習慣を直して自分の体をいじめるのをやめにしましょう。


昭和堂薬局 | 2010年10月7日

 

低価格食品はほんとに得?

高級ブランド品のお店がにぎわい、町でも高級バッグを持った人ばかり。その側で食料品は安売り合戦…
 食品は安ければいいのか?
 食べるものは自分や家族の体をつくる素です。常識外れの価格で売られているものにはからくりがあります。以前コラムで書いたように、添加物だらけのミートボールやチーズ・アイス・バターもどき(チーズもどきの見分け方が良く分からないのですが、バターもどきはマーガリンやファットスプレッド、アイスもどきはラクトアイスで植物油脂を使っています。植物油脂はリノール酸〈オメガ6系〉の油で炎症体質にします。)はスーパーの価格競争やコンビニの低価格品が生んだものですが、私達が価格で食品を選ぶことも、それに拍車をかけているのです。
 無農薬の米や有機野菜、無添加の調味料などを使うとそんなに負担増なのでしょうか?ペットボトルの飲み物や缶ジュースを毎日何本も買うことを考えれば…また、ご家庭で野菜を腐らせたりして無駄にしてませんか?良い物を工夫して使うことで無駄を省けたら…
 私の店に健康相談に来る方たちに最初に言うことは食のことです。多くの方はインスタント食品やスナック菓子を悪いことをしていると思わず食べています。医食同源という言葉がありますが、食を疎かにすると病気になり、食を大切にすると病気になりにくいのです。病気になればお金も掛かります。結局、負担増になってしまうのではないでしょうか?
 総務省の家計調査では1世帯が1年間に買う米代は、お菓子代の半分以下という恐ろしい結果も出ています。日本人の主食代よりお菓子代が二倍以上多いのです。
 何度も言いますが、食べるものは自分や家族の体をつくるものです。簡単ですぐ食べられるものは便利ですが、自分や家族がそれを続けると病気になるとしたら…
 アトピーや花粉症、不妊、うつや不安障害など、食と関わりがあまりなさそうな病気も食の乱れが関係していると思います。殺人事件や子どもの虐待事件がこんなに多いのも食の乱れが関係しているのではないでしょうか。
 良い食材を大事に使い、少し手間をかけて自分たちの体を守りましょう。病気になってしまうと手間とお金がかかります。年齢によって養生をすることも大切なことです。漢方にも養生法がありますが、食生活と生活習慣を改善することが一番の養生ではないでしょうか。ちょっとした工夫で心と体を元気に保ちましょう。



昭和堂薬局 | 2010年9月30日

 

亜鉛が注目されています

 亜鉛が注目されている
 私が大学を卒業し、病院に勤めはじめたころ、耳鼻科からよく亜鉛の水剤(液体の薬)が処方されていました。私は何のために処方されているのか分かりませんでしたが、先輩薬剤師に味覚異常は亜鉛不足が原因であることを教えられました。その後、中心静脈栄養(高カロリー輸液を中心静脈に直接入れる)や経腸栄養(簡単に言うと液体の栄養)が普及していき、微量栄養素の欠損による症状が明らかになって、研究が進み亜鉛の欠損症が注目されました。
 亜鉛の生理作用は、胎児の発育、皮膚の新陳代謝、生殖機能、骨格の発育、味覚および臭覚の維持、精神神経・行動への影響、免疫機能の維持などがあります。亜鉛の欠乏により起こることは、性的発育の遅れ、精子の減少、無月経、貧血、免疫機能低下、夜盲症、脱毛・皮膚炎、慢性下痢、創傷治癒遅延、精神異常、異常行動などがあります。
 亜鉛欠乏の原因としては、インスタント食品や加工食品の摂取、ダイエット、食品添加物の摂取、一部の薬や高齢者の食べ物の量的不足などがあげられます。また、亜鉛は人にとって必要不可欠な微量元素で、300余りの酵素の活性中心元素として働いています。これらのことからも、亜鉛不足はいろいろな病気に関係しているのです。
 胃潰瘍治療剤のポラプレジンク(亜鉛製剤・病院の薬)の発売により、臨床の現場で、胃潰瘍だけでなく多くの病気の治療の可能性が言われいています。代表的な物は、味覚異常・口内炎・褥瘡・糖尿病・慢性肝炎・炎症性腸疾患・胃潰瘍・不妊や妊娠の維持などがあります。
 では、亜鉛不足にならないようにするにはどうすればよいか?
 インスタント食品や加工食品、食品添加物を含む食品を避け、海産物(カキや海苔など)を摂るように心掛ける。無理なダイエットはしない。食べ物の量的な不足になりがちな高齢者などは亜鉛の入ったサプリメントを摂ると良いかもしれません。
 正しい食事を心がけることが病気にならないことの最善策です。自分の食事をもう一度見直してみてください。


昭和堂薬局 | 2010年9月24日

 

秋の養生法

“収穫の秋”と言うように、自然界では秋は、収穫の季節です。米をはじめ粟(あわ)、黍(きび)、稗(ひえ)などが実り収穫の時期を迎え、夏の陽気が盛んな季節から、少しずつ陰が盛んになっていきます。昔から、”食欲の秋”や”読書の秋”と言うように、夏の暑さで疲れた胃腸の働きも盛んになりはじめ、蔵の季節である冬に備える季節で、人間のエネルギー(気)は内向きになり、エネルギーが旺盛で活発な夏に比べ、活動が控えめで、気分も落ち着いてくるので、”食欲の秋”や”読書の秋”と言うのでしょう。
 秋に気をつけなければいけないことは、乾燥と冷えです。秋になると朝晩が涼しくなり、湿度も下がってきます。そのため、秋の臓である肺の病気が増えてきます。風邪やアレルギー、皮膚の乾燥などが起こってきます。また、中医学では肺と大腸は密接な繋がりがあるため、便秘なども起こりやすくなります。
 肺や大腸を補う辛味の物を摂ると良いでしょう。辛味の食材は、ねぎ、生姜、わさび、唐辛子、大根、たまねぎ、しそ、にらなどがあります。
 最近の日本人の食事は、欧米の影響で脂っこい物や動物性のタンパク質を多く摂るため、夏の暑さで弱った胃腸に負担をかけます。辛味の食材をうまく取り入れ、肺と大腸を補う事が重要になります。肉にこしょう、刺身にわさび、すしにわさびと生姜、油ののったサンマに大根おろしが添えられるのも、理に適った事なのです。
 今年は残暑きびしく、暑い日が続いていますが、季節は確実に秋を迎えています。暑いからと言って、冷たいものばかりを摂るのはそろそろ控えて、陽の季節から陰の季節になる変わり目をうまく迎えましょう。
 地球温暖化が言われていますが、日本では確実に季節は巡っています。秋は訪れているのですから、何千年も前から言われている養生をしていくことが、元気で長生きの秘訣だと思います。


昭和堂薬局 | 2010年9月15日

 

五十肩になったらしい

 2日前にガソリンスタンドにガソリンを入れに行き、中拭き用タオルを渡され少し変な体勢で車内を拭いたら右肩の痛みがおこりました。その時は気にもしていなかったのですが、家に帰っても痛みは一向に治らずますます痛みはひどくなってきました。もしかして…。
 ご飯を食べていても、パソコンを使う為にマウスを動かそうとしても、飲み物を飲むために腕を伸ばしてコップを持ち上げても、ちょっとした動作で痛みがおこります。
 しかし、振り返ると思い当たることがいろいろ…。
 整体師の友人が以前五十肩は横を向いて寝ていることが原因で巻肩(?!そう言っていたと思う)で起こると…。確かに私は右肩を下に寝ています。
 それと、東洋学的には五十肩は冷えと腎虚(老化)により血流が悪くなり痛みが起こりますが、私は最近パソコン向かって仕事をすることが多く、パソコンが置いてある机にちょうどエアコンの風が当たるのです。気にはしていたのですが、リビング(パソコンが置いてある)の隣の和室が一番下の娘の部屋でその部屋にはエアコンが付いていないため、暑くて眠れないと言う娘のためにリビングのエアコンの冷気を娘の部屋に届けられるようにしていたため右肩にエアコンを受けて冷えたのです。
 まず、風呂で肩を十分に温め、下肢が冷えるのを防ぐため5本指の靴下は履いていたのですが、上はティーシャツだけだったため、パヂャマの上も着るようにし、痛いからと言って肩を動かさないと肩関節の癒着を起し肩が動きにくくなるので、ストレッチや痛みはあるのですが、なるべく普通に肩を動かすようにしていますが、まだ痛みは良くならないので、明日から漢方を飲もうと思っています。 一般的には、腎を補い血流を良くし痛みをとる独活寄生丸などを使いますが、火神派と言う漢方理論が最近注目されているので温める力の強い麻黄附子細辛湯を飲んでみます。
 結果は後日報告します。


昭和堂薬局 | 2010年9月9日

 

昭和堂薬局がお勧めする病気にならない食事№4

 私たちの周りに、偽物が多くなっています。
 安くする為に、安くできる代替食品。私たちは生きていく為に食事をしますが、その中に知らず知らずに、体をむしばむ偽物の食べ物が増えていたら…。
 消費者は安いものを求め、企業は安く売れて採算がとれるものを開発する時代。自然で、手間のかかる本物は、高くて売れない。
 私たちの体は、食べ物からつくられています。そこに不自然な食べ物が入ることで、知らず知らずに健康を害するものが体に入って健康を害していたのなら…


 安くてたっぷり使いたい
 「安いのをたっぷり」が現代人の病気のもと
 とろんと溶けた様子は本物そっくり。味はやや淡白だが、じっくり味わわないと違いに気付かない程度だった。
二〇〇八年、メーカー数社が発売し、外食や加工食品で需要が伸びたという”代替チーズ”を試食してみた。主原料は植物油脂。値上げされたチーズより、二,三割安いのが売りだ。
「コンビニなどから『値上げしたチーズをサンドイッチの具材から外したい』という話が出た。これまで通り、たっぷり使ってもらえるように代替品を開発しました」と、あるメーカーの広報は言う。
 手ごろな”代替品”があれば、いつでもたっぷり食べられる。そんなニーズに応えた食品は、見慣れた中にもある。
 マーガリンも、もともとは「人造バター」と呼ばれた代替品。最近では、さらに安価な「ファットスプレッド」(マーガリンより水分量が多い)が売り場を占める。
 生クリームの半値のホイップクリームも主原料は植物油脂。アイスクリームの約五分の一で買える「ラクトアイス」も、主原料は糖類と植物油脂だ。
 ”本物”なら時々しか買わないものも、これなら買い物かごに二、三個入れられることになる。
 「和食を基本に。でも、サラダを食べるならシソ油がいい。アレルギーを抑える『α(アルファ)-リノレン酸』が豊富ですから」
 山口県の下関中央病院。1万人以上のアレルギー患者を診てきた医師永田良隆(68)が、アトピー性皮膚炎の子どもの母親に油の使い方を説明していた。
 一般の植物性に多い「リノール酸」は体に必要なものだが、摂り過ぎはアレルギー性疾患やがん、動脈硬化などの原因になると指摘される。
 「でも先生、シソ油って高いですよね」
 「『安いのをたっぷり』が現代人の病気のもと。『良いものを控えめに』でいけば、生活習慣病にもならないですよ」
 外来が終わり、永田はこう振り返った。
 「昔、油は高価だった。私は子ども時代を佐賀県の唐津で過ごしましたが、天ぷらは『おくんち』のごちそうだったと、よく覚えています」
 小売物価統計(東京都区部)を参考に試算すると、永田が二十歳だった1960年、食用油一リットルは米二キロ分とほぼ同じ価格。今で言えば、油一リットルが約千円することになるが、実際、昨年の油は一リットル約三百五十円。多用しやすくなった結果、加工食品を含めて一人が食べる植物油脂量も、六〇年の約四倍に膨らんでいる。
 地元で取れた菜種を低温で焙煎、プレスすると、琥珀色の油が滴る。
 福岡県築上町では今、昔ながらの菜種油づくりが復活している。〇八年に取れた油は、「幅二十メートルの五十メートルプール」と同じ面積(十アール)の畑当たりで約九十リットル。
 一方、大量生産の食用油では、同量の菜種からより多くの油を搾れるよう、高温焙煎したり、溶剤のヘキサンを使ったりする方法が一般的だ。
製法が違えば、価格も変わる。最近の菜種油の相場は、一リットル換算で約二百三十円。築上町の菜種油は一リットル千円だが、「香りがよくておいしいと好評で、大事に使ってもらっている」(生産している湊営農協組合)。
 六〇年以降、急速に原料輸入が拡大した植物油脂は、いまや自給率3%。「良いものを控えめに」という食べ方は、菜種畑の風景とともに、私たちの心から消えていったのかもしれない。

 これは、西日本新聞(価格の向こう側)の抜粋です。
 私達は、安い物を求めることで、本物を忘れかけています。
 食事は、”命をいただく”と言うことです。生きていくための体に、自然界にはないような物から命がいただけるでしょうか?
 本物を知り、健康的な生活が送れるように、もう一度食について、考える時期に来ているのかも知れません。


昭和堂薬局 | 2010年8月31日

 

世界保健機関(WHO)が、抗生物質適切使用を、新型耐性菌で初勧告

 ほとんどの抗生物質が効かない新型耐性菌が問題になってします。
 この問題に対し、WHOは抗生物質の安易な使用が耐性菌の発生につながることから、各国に抗生物質の適切な使用など対策を講じるように初めて勧告をした。
 耐性菌については、私が大学を卒業し病院勤務をしていたころには騒がれていたので二十数年前(もっと前かも)からありました。耐性菌が出ると新しい抗生物質が開発され、一時はいいのですが、また新しい耐性菌が出るという事を繰り返しています。
 細菌は自分の身を守るために抗生物質が効かないように自分の形を少し変えます。これが耐性です。安易に抗生物質を使うことで耐性ができやすい状態にします。特に日本では、風邪の二次感染予防など感染が確認されていない時や感染の可能性が低いような時でも抗生物質を使う事が多く世界の中でもその使用量はかなり多くなっています。
 また一方では、無菌加工品や過剰な除菌により世の中がきれいになり過ぎて人の抵抗力(免疫力)が必要なくなり、細菌に対する力が弱くなったことや過剰なストレスにより免疫の低下が起こったことも人間を弱くしていると思います。
 では私達ができることは何でしょうか?
 手洗いうがいという事も大事でしょうが、適度な運動と栄養バランスに優れた日本の伝統食を心がけると腸内環境が良い状態になり、抵抗力が上がります。
 腸管免疫は全体の60%を占めているので、非常に重要です。善玉菌を増やし悪玉菌を減らし、便通を良くするように心がけましょう。(肉の摂りすぎや野菜不足は腸内環境を悪くし、便秘の原因です。)
 人間の歴史の中で感染症(チフスなど)の大流行で多くの人の命が失われ、その救世主である抗生物質に助けられてきたことも事実です。しかし、抗生物質は万能薬ではないので適切な使い方が必要なのです。


昭和堂薬局 | 2010年8月25日

 

食育について

 「食育」とは、国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習等の取組みを指します。
 (財)食生活情報サービスセンターのホームページ記述です。
 食育基本法は、平成17年6月10日に成立し、その後、食品関連企業が食育についていろいろな活動をしているようですが、「あれ?それが日本の食育?」と思いたくなる事もあります。
 食育についての私の解釈は、欧米食が日本に入ってきたことで脂質が過剰になり、肥満や糖尿病などいわゆる生活習慣病が問題になってきたことで、日本の伝統食をもう一度見直すために言われていることだと思っています。
 日本の生産者が苦労して作った食材が家庭に届き、その食材で食事をつくり、私たちがそれを食べるという流れを中心に、食生活の重要性を学ぶことだと思います。
 健康相談に来る人たちの食生活を聞いて驚くことは、食べられて空腹が満たされればなんでもいいのかなと思うような食べ物が普通に食べられていて、良くない食事だと思っていないことです。病気を治すのに食事と生活習慣の改善は非常に重要です。例えば、アトピーを漢方で良くしようとした時、食生活が乱れていると良くならないことを経験してきました。
 中医学(漢方)では、人間は自然界からの影響を受けて生きていると考えます。ですから、季節や食べ物の影響を向けて成長してきているのです。南育ちの人は南国の食べ物、北育ちの人は北国の食べ物が一番体に合うのです。日本人は日本の伝統食がいいのです。
 日本での食育とは日本の伝統食だと私は思います。ご飯とみそ汁、焼き魚に海苔や納豆、お新香、酢の物などなど日本の伝統的な食事がいいですね。
 しかし、フランス料理やイタリア料理を食べてはいけないと言っているのではなく、日本の伝統食を中心に食すことが日本人には良いと思っているのです。
 今、好んで食べているものが本当に良いのか考えてみてください。日本には日本の、夏には夏の、冬には冬の食べ物があり、夏野菜は体を冷やし、冬野菜は体を温めます。
 こんな事を参考に食を見つめてみると見えてくるのではないでしょうか、意識してみてください。日本の伝統食。



昭和堂薬局 | 2010年8月17日

 

日本人は”植物性”がお好き?

 日本人は「植物性」という言葉に対し、健康に良いというイメージがあるようです。
 過去には、植物油から作られたマーガリンが代表的ですが、これについては以前のコラムに書いたように、トランス脂肪がたくさん含まれます。植物性ということで医師が薦めていた時代があったくらいです。
 最近では、植物性乳酸菌。乳酸菌とは糖から乳酸をつくる菌のことで、植物性乳酸菌ラブレとはラクトバチルス・ブレビスという菌で、漬物のほか人や動物の腸など自然界に広く棲息する菌種です。ラブレがたまたま京漬物から発見されたので植物性と言われたにすぎないのです。そして大ヒット。
 私もそうですが、健康に良い食事について話す時、必ず野菜を摂るようにすすめています。
 野菜を摂るという事と、植物性の油や乳酸菌を摂るという事は話が違います。その事を日本人は勘違いしているのです。
 しかし、植物性乳酸菌が体に良くないと言っているのではありません。植物性と言うだけで体に良いとイメージすることが良くないのです。
 油についても言えることで、紅花油・コーン油など植物性の油=体に良いではないのです。
 油には大きく分けると飽和脂肪酸(バター・ラード・牛などの脂・ココナッツオイルなど)と不飽和脂肪酸があります。不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸(オメガ9:オリーブ油やキャノーラ油など)と多価不飽和脂肪酸があり、さらに多価不飽和脂肪酸はオメガ6(紅花油・コーン油・大豆油など)とオメガ3(フラックスオイル・シソ油・青背の魚油など)に分けられます。
 現代人は欧米食が多く、特にオメガ6系の油を多く取る傾向にあります。オメガ3とオメガ6の比が1:1~4が理想ですが、現代人は1:10~50と言われます。
 この二つの油は細胞膜を構成し、柔らかさと固さを調整しています。ですからこの比が崩れ、オメガ6が多くなると細胞は固くなります。オメガ3とオメガ6は拮抗関係にあり、この二つからできてくる物質もオメガ3系は炎症抑制・血栓抑制・血管拡張にオメガ6系は炎症促進・血栓促進・血液を固めるように働きます。バランス良く1:1~4で摂れていれば問題ありませんが、オメガ3とオメガ6を1:10~50で摂ることで炎症系の病気が増えているのです。
 このように植物性と言うだけで油を選ぶことはいけません。油の正しい摂り方を簡単に言うと、炒め物など火を使う油はオメガ9、ドレッシングなど生で使う油はオメガ3、オメガ6は自然に摂れてしまうので極力減らすと良い比になります。
 植物性の物がすべて健康に良い物ではありませんからそのイメージは捨てるべきです。植物性に惑わされることなく正しい認識を持ちましょう。


昭和堂薬局 | 2010年8月10日


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