『昭和堂薬局』

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麦味参顆粒(生脈散)って凄い!

 イスクラ産業(漢方メーカー)さんから、週1回漢方の情報がメールでやってきます。今回、生脈散(麦味参顆粒)について興味深い記述がありましたのでご紹介します。

 

 以下が紹介された記述です。
 中国清代の康煕帝(こうきてい)、雍正帝(ようせいてい)、乾隆帝(けんりゅうてい)(1711年~1799年)までの祖孫三代では、孫の乾隆帝は一生のうちに20人を超える子宝に恵まれ、世に17人の皇子を残しました。

 

 かなり強いパワー(力、元気)を持っていたと言われています。

 

 中国に、歴代の皇帝は600人近くいましたが、70歳を超えて健在だった皇帝は9人のみでした。長寿の養生を研鑽し続けた乾隆帝は89歳まで生きて、中国歴代の皇帝の中で最長寿の皇帝となりました。

 

 そのパワー(エネルギー)の源はどこにあるのでしょうか。

 

 乾隆帝は文武両道で、狩猟、乗馬、作詩、書道、絵画、音楽等々、学問だけでなく様々な技芸にも精通していました。また、よく地方へ巡幸し、精神的な刺激を受け、体も鍛えました。精神的にも体力的にもよく鍛え、整えられていたに違いありません。

 

 実は、超多忙の日々を送る乾隆帝には、漢方養生にこだわりがありました。宮廷侍医のお薦めを聞いて、長期間にわたり、ほぼ毎日「生脈散」を服用していたのです。

 

 生脈散は、中世から近世の救急漢方として知られた処方です。

 

 清の汪昂は著書『医方集解』の中で「人間が死にそうで脈が絶える時、これ(生脈散)を飲んだら、蘇ることができるので、その功績はかなり大きい」と、生脈散を高く評価しました。

 

 確かに、歴代皇帝が重篤な病で命が危うい時には、延命措置として生脈散がよく処方されています。

臨終前の光緖帝(1871年~1908年)を診ている6人の名医の一人、杜錘駿が『徳宗請脈記』に光緖帝の病状、治療経過及び光緖帝の臨終前の病状を下記のように詳しく記しています。

 

 「皇帝が寝台に横になっている。私が手で脈を取ると、驚いたようで、口・目・鼻が突然動いた。これは間違いなく、肝風によるものと思って…。すると、「とても重篤なので、生脈散を処方する」」

 

 輸血・酸素吸入・注射治療などの現代医学の救急措置がない時代は、生脈散は宮廷の救急薬として使われていたことが、ここから伺えます。

 

 800年余りの歴史を持つ生脈散は、現代では、養生にはドリンク剤、救急には注射液といった使い方が、中国では当たり前になっています。
(中医学講師 陶 惠寧(とう けいねい))
ここまでが紹介された文章です。

 

 以前、私も生脈散の点滴は、聴いたことがありました。それは、日本の大学病院で日本に来ていた中医師が行ったものでした。だいぶ昔に聞いた話でどんな病状だったのかは覚えていません。

 

 現代的には、熱中症予防で有名になった処方ですね。大汗をかいて、気と陰を消耗した人や暑い時期に大汗をかいてしまいそうなときに服用します。(ポカリやOSワンなどと飲むとより効果的です。)
また、秋に乾燥して風邪を引きやすい時期に粘膜を潤し、気を補って風邪と戦う力を補うために服用したり、単に疲れなどにも使います。

 

 これから、暑い時期が増えるため、この処方が活躍しそうですね。

 この処方は、多くに方にお試しいただける、あまり飲む人を選ばない処方ですから、お気軽にお試しいただけるといいと思います。


昭和堂薬局 | 2024年5月1日

 

オンラインでアトピーの講演しました。

少し前になってしまいましたが、今月の8日に、日本薬局製剤研究会の神奈川支部で「アトピー性皮膚炎の漢方対応」について、オンラインでしたがお話しさせて頂きました。

 

実際、皮膚科領域でも少しずつですが、色々な新しい薬が出て来ています。アトピー性皮膚炎の病態は非常に複雑で、人によって違いが合ったりします。

 

アトピー性皮膚炎の方々の共通したところは、1つは皮膚のバリア機能が弱い、もう一つは、一般的なアレルギーは獲得免疫系で起こりますが、アトピー性皮膚炎の場合は、自然リンパ球による自然免疫が、炎症の中心だったりします。かゆみも、他のアレルギーのようにヒスタミンという物質で起こるのではないので、普通の痒み止めでは効果はありません。

 

漢方対応は、脾(簡単に言うと胃腸)が弱く、食べ物から、「気」や「血」を作る力が弱く、皮膚に栄養を届けたり、老廃物を排泄したり、皮膚の防御力を強化したりすることが出来ないために、外からの刺激である外邪の影響を受けてしまうのです。

 

漢方的治法としては、補血(補陰)、清熱解毒、疏肝、祛風、扶陽などをしていきます。(皮膚の状態や年齢、性別などでも薬が違ったりします)

成人型のアトピーは、若い方ほど綺麗に治ります。40歳を超えると皮膚の老化も伴って中々良くなりません。(本人はよくなっていると言う人は多いですが…)

 

また、重症の方は必ず、皮膚科を受診してほしいです。何年も漢方相談を通じてアトピーの人達を見てきましたが、軽症から中等症は、養生も一緒にやっていたがければ何とかなると思っています。でも簡単には行かないですよ。(漢方卒業しても養生とスキンケアは一生続ける必要があると思います。)


昭和堂薬局 | 2024年4月24日

 

同じ漢方処方でもメーカーが違うと効き目が違う

 当店の顧客が、2人続けて「◯◯湯」を飲んでいますとドクターに申告したために、その人が意図しないT社の同じ漢方薬が処方された。ところが、処方された漢方を服用したが効果が感じられず、以前から服用していた当店が採用している漢方薬を購入して行きました。


 こんな話は時々あるんですが、続けてだったのでご報告させていただきます。

 

 2人とも以前から飲んでいた処方なので効果の違いに気がついたんでしょうが、初めて服用した人だったら、「漢方は効かない」って事になりますよね。

 

 また、当然お医者さんが出した漢方薬ですから医療用の100%のエキスです。当店が出していたのは、メーカーの違う100%のエキスの物と60%のエキスの物です。ですから、濃度が濃いから薄いからと言う事で効き目が違う訳では無いんです。

 

 実際、当店でも良かれと思って採用した漢方薬が全然効かなかったと言う事もあるんですよ。そのような時は当然メーカーを変えて効く物に変更します。

 

 同業者のご子息が大学で成分比較をしたという話を聞きましたが、だいぶ違う様です。この結果になってしまうのは、使用する生薬に質の違いと製造の仕方じゃないんですかねぇ。

 

 有名漢方メーカーだからいい訳でもなく、処方によっては、この生薬が入った処方はここのメーカーの物ががいいという場合もあります。

 

 当店ではその辺を吟味して選んでいるつもりでいます。

 

 折角、漢方を試して見るんだったら効きそうな漢方薬にしないとその処方が合っているのか分からないですよ。


昭和堂薬局 | 2024年3月14日

 

活血の漢方で「瘀血」を解消しよう。

前回の続きです。

 

 さまざまな原因で引き起こされる「瘀血」を解消して、本来の血液の流れに戻す働きが「活血」です。活血は日々の生活習慣改善が重要ですが、漢方薬の「活血剤」の力を借りることも一つの方法です。ただし、漢方だけに頼るのでなく生活習慣も改善する必要がありますが…

 

 その中でも、近年注目されているのが「丹参」です。日本ではまだあまり知られていませんが、「丹参」には優れた活血の働きがあり、中国では古くから使われてきた生薬です。また「川芎」「芍薬」「紅花」なども活血の働きがあります。

 

 瘀血はストレスなどによる気の滞りが原因になることもあります。気の滞りには「木香」「香附子」などがよく用いられます。


昭和堂薬局 | 2023年12月5日

 

今、多くなっている「瘀血」

 最近、コロナをきっかけにライフスタイルが変化しています。世の中はほぼコロナ前に戻ってきて、繁華街の人出は以前に戻りつつありますが、仕事はリモートで家から出なかったり、必要のないと出かけないなど体を動かすことが少なくなっている人達も多くいらっしゃいます。それに伴い気血の滞りで体調を崩す方も多く見受けられます。

 

身に覚えのある方も多いんじゃないでしょうか。

 

 漢方医学に「瘀血」という漢方用語があります。これをわかりやすく表現すると、うっ血や血行障害など血の滞り、血管外に漏れた血などのことです

 

 脂肪や塩分が多く、カロリーの高い食事や職場や家庭でのストレス、運動不足などの生活習慣が瘀血の発生原因になります。外傷や一部の病気が原因になるケースもあります。その瘀血は病理産物であると同時に、瘀血が新たな病気の原因になることもあります。

 

 そのような中で、活血化瘀剤が注目されています。この活血化瘀剤は、血液がドロドロしたような状態をスムースに流れるようにする働きがあります。まさに瘀血を改善する漢方薬です。

 

 肩こりや頭痛、心筋梗塞や脳梗塞、痛みの疾患、子宮筋腫などの女性の疾患など、瘀血と関わりのある疾患は少なくありません、活血化瘀剤を有効活用して、病気の治療や予防に、そして健康で穏やかな生活のために利用してみるといいのではないでしょうか。


昭和堂薬局 | 2023年12月4日

 

今、注目されている慢性子宮内膜炎

 今、不育症や着床障害の原因として慢性子宮内膜炎や子宮内フローラが注目されています。
 しかし、まだ慢性子宮内膜炎や子宮内フローラ検査の診断基準は定まっていないのが現状です。盛んに研究されていることは事実ですが、子宮内フローラが正常な症例と異常な症例で妊娠率に有意差があったとする研究も今のところ少ないようです。

 

 着床するために子宮内の免疫細胞が関係していることは事実です。そのことから考えると、子宮内フローラが着床のために何かをしていることも事実なのではないかと思います。

 

 そのことから考えると、ご夫婦で腸内環境を整える食生活や生活習慣、或いはプロバイオティクスやプレバイオティクスを飲んでみるのもいいのではないかと考えます。

 

 実際に、ご夫婦の健康面から見てみると、腸内細菌叢がいい状態が、将来の病気の予防にもなるのですから、やって損はないはずです。

 

 また、生まれてくる子供の腸内環境も意識していただきたいです。子供の腸内細菌叢は、胎児期から生後2歳くらいまでに確立します。また、お母さんからの影響が大きく、出産方法(自然分娩か帝王切開)や母乳か人工乳かなどいろいろな影響を受けます。その腸内細菌叢がいい状態だと健康な子ともに成長していくでしょう。

 

 子供の腸内細菌叢が、あまり良くないとアレルギー疾患や免疫系、炎症性腸疾患などのリスクが高まります。

 

 あまり、脅かしたくはないのですが、腸内細菌叢が脳の発達に重要なことが言われています。腸内細菌叢の異常と自閉症スペクトラムの関係が研究されています。

 

 自分達の未来のために、少し腸内環境のことも気にかけていただきたいと思います。


昭和堂薬局 | 2023年10月2日

 

9月25日に厚生労働省は、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認しました。

 認知症は高齢者の5人に1人と言われています。その中で、アルツハイマー型認知症は厚生労働省によりますと、2060年には800万人に上るといわれています。

 

 今回承認されたアルツハイマー型認知症治療薬は、原因物質ではないかといわれているアミロイドβ(ベータ)を除去する薬です。(この病気まだわかっていないことが多いんです。)

 

 しかし、アルツハイマー病の原因は多岐にわたっていて、アミロイドβの蓄積はその一つに過ぎないことから、治すものではなく、進行を遅らせるくらいです。あまり大きな期待はできません。それでも、既存の認知症治療薬よりも病気の根本に作用する薬ですので、ある意味、画期的だと思います。

 

 アルツハイマー病も含め、認知症という病機の背景には、慢性炎症があるといわれていますので、食生活、運動などで予防に努めることが一番いいんでしょうね。

 

漢方では、老化や脳に関係する「腎」を補う事と活血が中心になります。

 

 


昭和堂薬局 | 2023年9月26日

 

40代からの妊活を成功させるために

 今までも40代の妊活相談を多く受けてきました。そして妊活に成功する方達を見て来て思うことは、決して可能性がなく諦めなければいけないという事はありません。私も、多くの方に喜んで貰えるように、もっと良い提案があるんでわないかと、研鑽しています。

 

 私が40代の人達を見て来て思うのは、所謂体の老化度は、非常に個人差があると言うことです。その年齢迄の歴史が現れるのかもしれません。早期閉経など、特殊なケース以外は前向きに取らえて欲しいと思います。

 また、40代になったからと焦る必要はありません。ただ、たっぷり時間があるわけではないので、状況に応じて早めに取りかかりましょう。絶対に体外受精をしなくてはいけない訳でもありません。タイミングで妊娠される方もいらっしゃいます。

 

 一つ言える事は、年齢を巻き戻す事は出来ないので、もっと早く子供をつくることを考えていれば良かったなど、後ろ向きにならない事です。

 

 卵子の老化は、漢方で考えると、生殖を主る臓腑である「腎」の衰えです。補腎の漢方を中心に、その方にあった漢方薬を考えていきます。

 

 また、タイミングから始めようと思っている方も、不妊の検査はしておいた方がいいと思います。卵管の通過障害などがあってタイミングでは難しいケースもあります。卵管の通過障害が片方だけの場合は、通っている方が排卵するときにタイミングをとると妊娠可能です。

 

 私が担当した妊活相談で、出産の最高年齢は45歳です。現在、45歳以上で妊活相談にお見えになっている方が、数名いらっしゃいます。

ここまで、女性の話をして来ましたが、不妊の原因は、男性側にもあります。

 

 是非、ご夫婦でいっしょに取り組んで下さい。

 

 排卵している限り、何歳でもお手伝いさせて頂いています。


昭和堂薬局 | 2023年9月6日

 

妊活漢方相談を手掛けて20年のおじいちゃん薬剤師が思う妊活のコツ

 世界的に体外受精をするようになって40年くらいになるそうです。私の薬剤師の歴史と同じくらいなのですね。その頃は病院に勤務していたのですが、体外受精に関しては全然知りませんでした。
 漢方業界では、20年前くらいから漢方療法推進会という組織が妊活漢方に力を入れ始め、それから当店でも、積極的に妊活相談をするようになりました。それまでも妊活漢方の知識は多少あったのですが、桜木町に薬樹堂という漢方薬局がありそこの先生が妊活漢方のパイオニア的存在で、妊活しているお客様が多いと聞いていたのでウチには相談のお客様は来ないのではないかと思っていました。
実際に手掛けてみると多くの悩んでいるお客様がいらっしゃることに気が付き少しでも力になれるように努力をしてきました。

 

 過去の時代背景と今では、不妊に対する理解度が違いますが、大分世の中的に不妊で悩んでいる人達の気持ちを理解するようになって来たと思っています。
最近の妊活相談で意外と多いケースが、不妊専門のクリニックでしっかり検査をせずに何も問題がないと思っている方がいらっしゃいます。状態が改善しているのに中々妊娠しない場合は、専門のクリニックに行くことをお勧めしています。すると卵管の通過障害があったり、ピックアップ障害が疑われるような場合があります。不妊専門のクリニックは、今、非常に混んでいるようですが、説明会などに参加すると早めに予約できますので行くことをお勧めします。

 

 漢方的にで妊活を考えると、生殖を主る臓腑は「腎」であるため補腎が中心になります。但し、「肝」や「脾」という臓腑のかかわりがありますのでそれらの臓腑のバランスは問診して確認します。また、妊活で相談に来られる方ほとんどが、血流が悪いので活血薬も必要になります。これは、子宮や卵巣に栄養を届けるという意味合いがあります。

 それと、もう一つはメンタルのケアは絶対に必要です。妊活の悩みは自分だけで抱えていないで、私たちに話してください。話しただけでもスッキリしますよ。
簡単に書きましたが、個人個人でタイプが違うので、それぞれの方にあった漢方をお選びしるのですが…(これが、コツなんでしょうね)

 

 一人のお子さんを預かるのにどのくらいの卵胞が必要だと思いますか?
 2016年にアメリカとヨーロッパの学会が発表した論文によると、平均で25.1個必要なんだそうです。
30~34歳:12.2個
35~37歳:13.6個
38~40歳:22.4個
41~42歳:40.2個
43~44歳:94.3個

 

 予想以上に多くの卵子が必要なんですね。

 

 漢方的に言うとこれだけ「腎」を働かせないと、お子さんを授かれないということなんでしょう。
この様な観点から言っても漢方を使ってみることをお勧めします。


昭和堂薬局 | 2023年8月31日

 

夏の体のダメージ解消しときましょう

 まだまだ、暑い日が続いていますが、少しずつではありますが朝晩は涼しく感じる日が出てきています。また、8月8日(立秋)から暦の上ではもう秋です。秋は肌の悩みが増えやすい時期です。涼しくなるにつれ、肌のくすみやカサつき、ゴワつきといった不調が気になり始める人も多いのではないでしょうか。

 

 こうした肌トラブルは、夏に受けたダメージが主な原因になります。真夏に浴び続けた強い紫外線、発汗やエアコンによる乾燥といったダメージが肌に蓄積されます。その結果、メラニンが蓄積され、肌の保湿機能やバリア力も低下して、シミやくすみ、カサつきなどが起こりやすくなるのです。

 

 夏に受けた身体のダメージを解消して寒くなって行く季節の準備をしなくてはいけません。

 

 秋は「肺」と関係が深く、肺は皮膚や体毛をコントロールし、肺の異常は空気の出入りする鼻に表れるとされます。また、肺は五臓の中で一番高い場所にあるので、「五臓六腑の蓋」と呼ばれ、気管やのどを通じて外界に直接接しているので、外気の影響を受けやすい臓器です。そのため、秋は大気の乾燥の影響を受け易く、秋に起こりやすい咳、鼻炎、喘息、皮膚のかさつきなどの症状は、乾燥した大気を取り込むことにより肺が乾くことが原因で起こるのです。

 

 一方、外から見えてしまう肌についていうと、肺は肌のバリア力や保湿力、解毒力を支える「気(エネルギー)」の生成や、潤いのもととなる「津液(体に必要な水)」の配る臓でもあります。そのため、乾燥で肺がダメージを受けると、バリア力や保湿力、解毒力が低下し肌の不調を招いてしまうと同時に、呼吸器系も弱くなりやすくなります。これらの力が落ちるとターンオーバーが乱れ、メラニンの代謝が遅れてくすみやシミの要因になります。また、潤い不足や保湿力の低下から、乾燥やかゆみを招くこともあります。

 

 このように、くすみや乾燥といった秋の肌トラブルには、体内の不調も大きく関係しています。スキンケアはもちろん、肺の潤い補給にも気を配り、体の中と外から透明感のある健やか美肌をつくりましょう。
これから冬を迎えると、肌にとってはさらに過酷な環境に。不調を放置すると、乾燥や冷えで肌の老化が加速する心配もあるので、夏の疲れはこの時期にきちんとケアしておきましょう。

 

 秋にとれる旬の食べ物には、「肺・大腸」の働きを補うものがたくさんあります。
そのひとつが梨です。年中見ることの多くなった果物のなかで、梨は店頭にのぼる時期も限られ、旬を感じることのできる数少ない果物のひとつではないでしょうか。最近は収穫が早まり、夏の果物というイメージが強くなりましたが、本来は秋が旬。九月から十一月にかけて収穫されます。水分をたっぷり含み、シャリシャリとみずみずしい梨には、肌に潤いを与え、のどの渇きを止め、声がれや咳を止める効果があります。まさに「燥邪」による秋のトラブルを防ぐのにふさわしい旬の食べ物といえましょう。

 

 同じく秋が旬の果物である柿も、咳を抑え、口の渇きを止め、乾燥による呼吸器系の働きを助けます。「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、鼻やのどの粘膜を健やかに保ち、免疫力を高めるビタミンCも豊富に含み、寒さの厳しくなる冬に向けて、風邪をひきにくい体をつくるのに大いに役立ちます。
また、いも類や大根をはじめとする根菜類も「肺・大腸」に働きかける旬の食材です。たとえばさつまいもは口の渇きを止めて肺を潤すと同時に、便通を改善して大腸の働きも活発にします。豊富な食物繊維と緩下作用のあるヤラビンという物質の相乗効果により、腸内環境を整えて便通を促してくれます。

 

 その他、食べ物では、豆腐、豆乳、チーズ、手羽先、豚足、鴨肉、きのこ類、松の実、れんこん、モロヘイヤ、白きくらげ、すっぽん、ゆり根、里芋、長芋、海藻類、卵、梨、柿 など
 生薬では、余甘子(よかんし)、沙棘、西洋人参、紅景天、黄耆、枸杞の実、ツバメの巣、哈士蟆油(はしまゆ)、亀甲(きこう)、鼈甲(べっこう) などがおすすめです。


昭和堂薬局 | 2023年8月26日


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