和食や玄米・分搗き(ぶづき)米を食すよう、これまで店頭やコラムで薦めてきました。
お米は精米度により、籾米→玄米→1分搗き→3分搗き→5分→7分→白米と変化していきます。玄米の食物繊維を1とすると白米は0.3、他のビタミンやミネラルなどの栄養素も3分の1くらいに削り落されてしまいます。(外側の糊粉層の方が栄養素が多いと言われているのでもっと少ないかもしれません)
玄米食もいいのですが、よく噛んで食べないと消化によくない上あまり美味しくないのです。この点、食べやすい分搗き米なら普通に炊け、栄養素もしかり残っています。 そしてついに、玄米・分搗き米の良さが栄養価以外にも科学的に証明されました。
高血圧 原因ホルモン活動抑制
白米とぬかの間にあり、精米によって失われてしまう「亜糊粉層」に、動脈硬化などの心臓血管疾患を予防する効果があるという研究が、4月に米国の実験生物学会で発表された。研究論文が科学雑誌に掲載されるなど、注目が集まっている。
和歌山県立医科大の宇都宮洋才准教授(細胞生物学)や和歌山高専の奥野祥治助教(工学)、米ペンシルベニア州立テンプル大の江口暁准教授ら研究グループが2008年頃から、栄養価が極めて高く風味が豊かな組織層「亜糊粉層」で研究を始めた。高血圧や動脈硬化などの原因となるホルモンの一種「アンジオテンシン2」に着目。生後12週間のラットの胸部大動脈から培養した細胞を、亜糊粉層成分を抽出した液に加えたものと加えなかったもので比較。亜糊粉層成分がアンジオテンシン2の活動を抑制する作用があることを初めて確認した。
亜糊粉層は玄米や胚芽米では残っているが、通常の精米による白米では大半が失われる。今後は治療薬などの可能性も研究するという。宇都宮准教授は「米食は健康に良いと言われるが、その根拠を科学的に明らかにして消費拡大につなげたい。精米技術も日々向上しており、亜糊粉層が残るような方法も推奨したい」としている。
日本食生活指導センターの野々村瑞穂会長の話「米には未知数の可能性があり、日本の食文化が見直されていくのではないでしょうか。玄米は消化があまりよくないので、白米で採れればなおのこと良い」
(2010年8月2日 読売新聞)
私の友人のお米屋さんに聞くと、最近の精米はより白い米にするため削りを多くし、昔は残っていた亜糊粉層まで削ってしまっているものが多く見られるそうです。
そのお米屋さんが取引している大学病院でも入院食に分搗き米を使うことになったそうです。
いろいろな分野で注目されている米の栄養価。毎日でなくていいので玄米や分搗き米を取り入れてみませんか。