ストレス社会といわれる現代社会、寝る時間を割いてでも忙しく働くことを美化するようなこの時代。
睡眠時間が短かった代表的な人物はナポレオンですが、ナポレオンが睡眠時間について「3時間は勤勉、4時間は普通、5時間は怠惰」と言ったことは有名です。しかし、これだけを聞くと、睡眠時間が短いことが良いことだと感じた人は多いと思います。私もその一人でした。
人間の3大欲求は食欲・睡眠欲・性欲と言われるように、睡眠は人間にとっては非常に重要な欲求であることは確かです。では、睡眠は人間だけのものでしょうか。高等脊椎動物などは睡眠をとります。イルカは泳ぎながら、渡り鳥は飛びながら片側の脳を交互に眠るそうです。そこまでしても睡眠は必要なことなのです。
1980年代にシカゴ大学で行われた動物実験では、ラットに断眠させると体温調節ができなくなって体温が下がり、食べる量は増えるのに体重が減少し、運動性が低下するなど恒常性維持機能が著しく機能しなくなり3~4週間で感染症が原因で死んだと報告されています。人間も同じですが、人間の場合は死ぬまでは耐えられず眠ってしまうと思いますが…。
睡眠には意味があるのです。睡眠は体を休めているだけではないのです。私は店頭で相談していて睡眠時間を聞いていますが、少し前まではきちんと睡眠をとることが体に良いことだと勧めていました。実際に睡眠時間を長くすると体調が良くなる人が多くいらっしゃいます。しかし睡眠のことについていろいろ調べていくとまだまだ脳がどんなことを睡眠中にしているのか解らないことが多いようです。それでも睡眠が重要なことや睡眠中の脳の状態が少しずつ解ってきています。
高血圧や肥満、精神疾患、認知症などと睡眠の関係についてはよく言われていますが、不妊やアトピーなどとも大いに関係があると思います。今の睡眠時間を惜しんで人生を短くすることのないように1日7~8時間は眠りましょう。(個人差があります。自分の経験で一番すっきり起きられる時間が目安です。)
今後機会をつくり、睡眠のメカニズムや病気との関係をお話していきたいと思っています。