最近、子宝相談を受けることが多く、不妊に悩む人が多いことを感じます。その人たちの中には流産を経験されている人たちも多くいらっしゃいます。
3年程前、漢方療法推進会の全国大会を企画した際に不妊関連の講演を検討していた折り、クラシエ薬品から”不育症”はどうですかと提案され不育症を知りました。
その時の学術講演は当時東海大学に居られた杉俊隆先生の講演を拝聴したのですが、私自身あまりピンときていなく”そーなんだー”くらいのものでした。
その後、店頭で漢方相談を受けていると”不育症なんです。”といって相談を受けることはないのですが、流産の経験がある方が多いと感じる機会が増え、しかも複数回流産を経験されている方が以外に多くいらっしゃるのに驚きます。
不育症はここ数年で言われるようになったもので、厚生労働省の不育症の研究班がスタートしたのも平成20年からのようですので、まだ世の中に広く浸透している言葉ではないようです。
では不育症とはどういう病気かというと”妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡を繰り返して結果的に子供を持てない場合、不育症と呼ぶ。”と定義するそうです。流産は妊娠の15%程度で、妊娠の年齢が高齢になると流産率は増加して40歳以上になると40~50%に増加するそうです。近年は晩婚化で妊娠年齢が高くなっているので流産が多く感じるのかもしれません。
不育症の原因は妊娠初期の流産で大部分が胎児(受精卵)の染色体異常が原因で、両親が原因のケースは少ないようですが、流産を繰り返す場合は夫婦の染色体異常や女性側の子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常、免疫異常などいろいろな要因が考えられます。しかし、詳しく原因を調べても分からないケースが35~60%あるようです。偶然起こっているケースが50%あるそうで、胎児の染色体異常が偶然起こり自然の摂理により流産が起こるのです。
不妊症は母体の心身が妊娠に適した状態ではない時に身体が妊娠しないようにコントロールしているのですが、流産も同じで胎児が生まれるのに適した状態でないために起こっているのです。不育症は原因にもよりますが、最終的には80%以上の方が出産しているそうです。
ご夫婦の心身を健康な状態に保つことが元気な子供を授かるための近道になります。ストレス、生活習慣や食生活を見直し心身をより良い状態にしましょう。漢方薬で心身のバランスをとるのもよいと思います。