花粉症の漢方薬といえば、日本では小青竜湯が有名で、服用したことがある方も多いと思います。しかし本来漢方治療は個々の症状・体質によって異なり、様々な処方を用います。小青竜湯が奏効するパターンは少ないのではないかと思います。
花粉症(アレルギー性鼻炎)は東洋医学上、「鼻きゅう(ビキュウ)」といい、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・涙目・目や喉の痒み等を共通の主症状としますが、それ以外に付随する症状から病態の分類を行い、きちんと漢方的に分類する事が治療する上で最も重要となります。
東洋医学では花粉症を津液(しんえき/「水」とも云われる)が過剰に存在するか分布異常を起こし、花粉の刺激によって、この過剰に存在している津液(痰飲と呼びます)が体外に溢れ出ると考えています。
では、この津液は何故過剰に存在するようになってしまうのでしょうか?
答えは胃腸に原因があることが多く、古典には「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」と書き記されており、胃腸において余剰な水が発生すると説いています。
例えば、元々胃腸が弱く風邪をひきやすい、口内炎ができやすい、ちょっとしたことですぐに疲れてしまう、手足や顔色が黄色味を帯びているなどがあると、飲食物から得た水分を代謝することができずに、結果として痰飲が発生し、花粉症やアレルギー疾患を発症します。
自分は胃腸が丈夫!胃腸のことで困ったことは無いという方でも油断大敵です。胃腸が丈夫な方ほど飲食が不適切であったり、夜更かしをして身体の疲れが溜まっていても、風邪も引かずに過ごせるために無理をしがちです。しかしこの時、胃腸は体の恒常性を維持するために一生懸命に働き、少しずつ疲弊していきます。そして私たちの気が付かない間に少しずつ「痰飲」が発生し、ある日突然に花粉の刺激を感受し花粉症が発生してしまうのです。
花粉症について様々な情報がもたらされる中に”疲れをためないこと・睡眠をよくとること”とあるのは、胃腸を休ませることに他ならないのです。
現代社会に生きる私たちは保存技術や輸送技術の発達により食べるものに不自由なく生活することが可能になりましたが、食べ物の質はどうでしょう?
このコラムにもよく登場する「慢性炎症」。高栄養食によって腸内環境が悪化することで発生します。現代医学で注目を集めている分野ですが、東洋医学は古来から胃腸がアレルギー疾患に関わっていることを示していました。
適切な飲食・睡眠をとることで胃腸をしっかり休め、「痰飲」を発生させないような生活を心がけましょう。
すでに発生してしまった「痰飲」を解消するには漢方薬や腸内環境を改善するものを使い、花粉症の時期を楽に乗り切れる身体づくりのお手伝いをさせていただきます。ぜひ店頭にてご相談ください。