自己免疫疾患には、色々な疾患タイプがありますが、基本的には自己反応性T細胞(自分を攻撃してしまう免疫細胞)が中心的役割を担っています。私が数十年前に大学にて免疫学を学んでいた時には、胸腺で自己抗原高親和性T細胞(自分に強く反応してしまう免疫細胞)は除去されることになっていました。しかし現在の免疫学では、胸腺での自己抗原高親和性T細胞の除去は完全ではないことが解ってきました。また末梢でのチェック機構として、抑制性T細胞(免疫反応を抑制する免疫細胞)による自己反応性T細胞の不活化です。
なぜ、これらのチェック機構をかいくぐって、自己反応性T細胞の活性化が起こるのでしょう?
通常、健常な方の体にも自己反応性T細胞が存在しています。しかし、健康な人たちの自己反応性T細胞の大部分は未活性T細胞として存在しているため、自己を攻撃しないのです。
なぜ自己免疫疾患は起こってしまうんでしょうか?
何らかの影響で、未活性T細胞が活性化してしまうことが一番の原因です。
どうして活性化してしまうのでしょうか?
何らかの遺伝的影響もあると思いますが、環境的原因としては体の中で炎症が起こったことで眠っていたはずの未活性T細胞が、その影響を受けて活性化してしまったことです。
なぜ、炎症が起こったのか検証が必要ですが、食の乱れやストレスによって腸内細菌叢が変化しても炎症は起こります。また末梢の抑制性T細胞は、腸内細菌が作る短鎖脂肪酸(特に酪酸)の刺激により誘導されることが解ってきました。
どんなことをするといいんでしょうか?
腸内細菌叢を良い方向に変えることができれば、炎症を抑えることができる可能性があることと短鎖脂肪酸酸性菌が増えれば抑制性T細胞の誘導もできる可能性があります。
また、すでに起こってしまっている炎症を抑えていく可能性があるものとして炎症抑制性の脂質(ω3系脂質)を摂ることです。この脂質は、αリノレン酸で亜麻仁油、えごま油に含まれ、体の中で変化するとEPA・DHAになります。EPA・DHAは魚にも多く含まれる油です。
この様な体を作ってしまった一つの原因(きっかけ)は食事です。食べるものの質、脂肪酸の摂り方など食事を見直していくことで体は変わります。炎症を痛みとして感じる関節リウマチの人は、食事を変えることで痛みが軽減します。
この機会に、自分の食生活を見直してみるのはいかがでしょうか。