春めいた日が、少しずつ増えてきました。
そろそろ春に増える病に備えておきたいですね。
年間を通して漢方相談で多いものは、不妊などの婦人科疾患、アトピーやニキビなどの皮膚疾患、うつなどのメンタル疾患です。その中でも春に増える相談がメンタル疾患です。
メンタル疾患の訴えの中で「不安」「恐怖(怖い)」という症状がよく聞かれます。これらは情動です。
脳機能の中に情動(感情の一種)の制御があります。ここ数年の研究によって免疫系や腸内細菌叢がその制御に影響を及ぼしていることが明らかになってきました。
感染症や自己免疫疾患、神経変性疾患などの病気では免疫系の活性化と共に心理変化が起こることが知られています。情動に関しても例外でなく、免疫系の活性化する多くの疾患において情動の変化が報告されています。
このメカニズムを簡単に説明すると、腸内細菌が作り出す物質(リポ多糖など)により免疫が活性化し、免疫細胞の分泌する炎症性サイトカインが神経に作用し不安行動を亢進していることが明らかになってきています。これは腸内細菌叢の影響以外でも、他の原因で免疫系が活性化しても起こります。また、活性化した免疫細胞がその細胞内にアミノ酸を取り込み、脳での神経伝達物質濃度が減少して不安や恐怖という情動に影響していることも分かってきています。
以前からコラムでも述べてまいりましたが、病気の大多数に炎症が関係しているのです。メンタル疾患も例外ではないのです。この炎症を起こしやすい環境をつくっているのが食事だと考えられ、食の欧米化や添加物の影響などが炎症を起こしやすい環境をつくっているのです。
漢方相談でメンタル疾患に脾胃(胃腸)経の処方をよく使うのも、この事実からも頷くことができます。