店頭に立っていると、『便秘のお薬ください。』とおっしゃる方が非常に多いです。さらに、その大半の方は『漢方の便秘薬って優しんですよね。』なんておっしゃいます。この言葉をかけられるとすごく不安を覚えます。確かに、当店でお勧めする便秘薬は、お腹が痛くなりにくく、しっかり効いてくれるものをご提案していますが、漢方薬とはいえ、下剤は下剤です。お薬の力で便を出しているにすぎません。
便秘の原因には、食生活をはじめ生活習慣や社会的ストレスなどが関係しています。これらの要因に長くさらされることで、腸内環境が劣悪化し、腸がうまく働いてくれなくなってしまっているのです。さらに、下剤を使い続けることも、腸がうまく働かなくなる原因となってしまいます。
『腸の働きって何?排便してくれるとこでしょう?』と思われる方も多いでしょう。確かに、便をつくって排泄するだけなら、下剤を使い続けることでもいいかもしれませんが、腸には他にも重要な役割があります。そのひとつに免疫器官としての役割(腸管免疫)です。人間の免疫力の60%以上が腸管免疫です。腸内環境が悪いということは、免疫のバランスが崩れ、アレルギー(花粉症・アトピー・喘息など)などの免疫疾患を引き起こす可能性が非常に高いといえます。また、抵抗力が落ち、風邪を引きやすくなっている人もいます。
また腸は、老廃物を排泄するだけでなく、必要な栄養分を消化吸収する器官でもあります。血行が良く、肌のキレイな方は、腸管からの栄養補給がスムーズな方がほとんどです。
腸を単なるゴミ(老廃物)溜めだと考えて、掃除しないでいると、美肌が得られなくなるだけでなく、腸管内に悪玉菌が増殖して腐敗物質を産生し、それが血液循環に入り込み、血流が悪くなり、血栓ができやすい体質となり、高血圧・動脈硬化や肝機能障害など様々な病気を引き起こしてしまいます。
腸は老廃物の処理だけでなく、私たちの健康維持に大きく関わっている器官です。腸内環境を変えることは可能です。まずは、毎日便通がある方でも、出ている便の状態をしっかり観察して、腸の環境がどんな状態なのかチェックしてみてください。
目指す便は『臭みがなく黄金色でバナナ状のふわりと浮く便』です。