アルツハイマー病や精神疾患に見られる認知機能の低下は、脳を保護するためにある血液脳関門の機能不全によって、引き起こされている可能性があることがわかってきました。
脳血管の壁は、沢山の細胞が詰まってできており、血液脳関門と呼ばれるフィルターを形成しています。正常に働いている血液脳関門は、酸素やブドウ糖などの生命活動に重要な栄養素を通過させ、脳神経を傷つける恐れのある病原体や血中タンパク質、末梢の免疫細胞などを通さないようにしています。このフィルターは脳全体に及んでいます。
認知症や精神疾患などは、このフィルターの一部分が障害を起こすことにより、通常ブロックされる物質が通過してしまう。これが脳内の炎症から神経の損傷、認知機能の低下を引き起こしていきます。
その血液脳関門のバリア機能の低下は、強いストレスや体の炎症、感染、老化などが考えられています。いま世界で流行っている新型コロナ感染症の後遺症による認知機能低下もこのメカニズムである可能性が強いです。
きっかけになるストレスや老化などは、ある意味防ぎようがないことかもしれません。しかし、以前から瘀血の漢方薬がよくつかわれてきました。現代医学的な表現だと血管・血流を改善する漢方薬です。少しでも血管を護ることができれば進行を抑えられる可能性がありますね。